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超短編小説『ナンセンス劇場』046

【適材適所を見極めろ】

 時限爆弾があと30秒で爆発する。
「誰かー! 助けてくれー!」
 そこに1人の男が現れた。
 爆弾処理の技術を習得した一休さんだ!
「あわてないあわてない。一休み一休み」

 ”ドカーン”

 半径50メートルが吹っ飛んだ。


【お笑い魂】

「とうとう親父、売れない芸人のままで終わっちまったな…」

「そうね。でも人一倍お笑いを愛していた人だったわ。
 お医者さんから癌の告知を受けた時も『ガーン』なんて言って大げさに驚いたりして…。
 使い古されたギャグで面白くもなんともないけど本当にお笑いを愛していなければ癌の告知の時に実際にこのギャグを言える人なんていないと思うわ」

「ああ、そうだね」

「それにあんたは死に際に立ち会えなかったけど、お父さん、意識がなくなる直前に私を呼んで耳元でこう囁いたのよ、
 『あのよぉ』って。
 自分が死ぬときには絶対にこれを言うんだって若いころからずっと言っていたわ」

「本当にお笑いが好きだったんだな、親父…」


【飛び立ちの日】

「体に気を付けて、あまり無理しないでね」

「ああ、それじゃーな」
“スタスタスタ”

「毎日電話するからね~!」

「分かった~!」
“タッタッタッタッ”

「休みが取れたら遊びに行くから~!」

「待ってるぞ~!」
“ピョ~ン”

「え!?」

“バサッバサッバサッ”

「ええ~~~!?」

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