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<読書録:21世紀の啓蒙④>〜温室効果ガスと環境問題 〜


目次-------------------------------
・「啓蒙主義」人が生きる意味とは?
・問題は貧困であって格差ではない
・農業技術の革新の不当な認知と攻撃がなぜされているのか
・温室効果ガスと環境問題 
・なぜ人は正しく認知できないのか
・平和と富と民主主義の関係


<温室効果ガスのもたらす世界 >

■温室効果ガスが引き起こすもの


温室効果ガスの排出がこのまま続けば、21世紀の終わりには、地球の平均気温は産業革命以前の水準から少なくとも1.5度、おそらくは4度かそれ以上上昇すると予測される。そうなれば今以上に過酷な熱波に襲われる頻度が増し、湿った地域では洪水が、乾燥した地域では干ばつがおこりやすくなるだろう。ひどい嵐や激しいハリケーンも発生し、温暖な地域では作物の収穫量が減り、多くの種が絶滅し、サンゴ礁が失われる。

さらには陸氷が融解し海水の体積が膨張するせいで、平均0.7度から1.2メートルの海面上昇が起きるとも考えられている。そうなると低地は水浸しになり島国は波の下に消え、広大な範囲で農地が耕作できなくなる。そしてまた何百万もの人が立ち退きを余儀なくされるだろう。

22世紀以降、状況はさらに悪化するとされ、理論的にはメキシコ湾の消滅や南極氷床の崩壊などの大異変を引き起こすこともありうる。

世界がどうにか適応できる気温の上昇は2度が限度とさており世界銀行の2012年次報告書の言葉を借りれば4度以上の上昇は断じて起こしてはならない。気温の上昇を2度未満に抑えるには、世界は21世紀半ばまでに最低でも温室効果ガスの排出量を半分かそれ以上削減し、22世紀に代わる前には0にしなくてはならない。

 

■温室効果ガス排出の内訳

重工業20%、建築業18%、運輸業15%、土地利用の変化15%、エネルギーを供給するためのエネルギー13%、畜産5.5%

航空機は1.5%

ここから自分たちが海外への移動等を辞めても温室効果ガスの影響について大したインパクトはない。

 

■生活や生産活動の高密度化・脱物質可が重要

どうすれば環境汚染と自然生息地の損失を最小限にしつつ、安全で快適な生活を送ることができるのか?それを考えるのである。

解決のカギの一つは資源と生産性を切り離すこと、すなわちできるだけ少ない物質やエネルギーからできるだけ多くの人類の利益を得ることになるだろう。

例えば

・農業の品種改良・遺伝子組み換えによって、少ない土地、水、肥料から多くのエネルギーの取れる作物を作る。使わずに済む土地が増えればそれらは自然環境に戻していくことが可能。

・一極集中で住む

田舎の土地が解放されるうえ、都会では建築や暖房にかかる資源が少なくて済むだろう。通勤にかかる資源も少なくなる。

・科学の発展(デジタル化等)

少しのものから多くを得ることができるようになった。

 

■環境問題は解決できる課題だ

また人類が環境に与えるダメージは技術の力で小さくできる。どうすれば環境汚染を減らし、少ない資源を活用しながら、より多くのカロリーや光や熱量を創り出せるのか。あるいはコンピューターの処理能力を上げ、車の走行距離を延ばせるのか。こういった問いそのものは技術的な問題であり、世界が解決しつつある問題である。

 

1970伝以降、アメリカでは人口が40%以上増加し、車の走行距離は2倍になり、人々は2.5倍豊かになったが、エネルギー利用は横ばいで、二酸化炭素の排出量でさえ峠を越しつつある。

これは重工業の拠点を発展途上国へ移転させたから起きたわけではない。二酸化炭素排出の多くは運輸・暖房・発電から生じていて、主にエネエルギー効率が良くなったり、排出規制が前進したおかげである。

脱成長以外に環境汚染を食い止めるものはないという環境保護運動の典型的な主張が誤りだといえる。一方で環境保護は経済成長を阻害し、国民の生活水準を引き下げるという右派の典型的な主張も誤り。テクノロジーの発展により両立ができる問題である。

農業の効率が増すにつれ、農地は温帯林に戻されつつある。熱帯林に関してはいまだ破壊がはなはだしいが、20世紀半ばごろと21世紀への変わり目頃を比べると、そのペースは3分の2低下した。

アマゾンは1995年が破壊ピークで、2004年と2013年を比べると、そのペースは5分の4低下した。(※直近の森林火災の影響は試算に含まれていない)

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<読書録:21世紀の啓蒙①>~「啓蒙主義」人が生きる意味とは?~

<読書録:21世紀の啓蒙②>~問題は貧困であって格差ではない~


<読書録:21世紀の啓蒙③>〜農業技術の革新の不当な認知と攻撃がなぜされているのか〜


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