K-3IIIと福岡天神を歩く
ペンタックスの"PENTAX体験会スペシャル”にて,K-3IIIをお借りしました.撮った写真を振り返りながら,このカメラについて少し考えてみたいと思います.
使用した機材はK-3IIIとHD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRです.
このカメラは本当に使っていて楽しいカメラですね.ファインダーは下手すりゃフルサイズの一眼レフよりも見やすいし,シャッターフィーリングも最高.描写もJPEGで満足できるものです(今回の記事ではすべてJPEG撮って出しの写真を使用しています). まさに撮影体験を楽しむためのカメラだなあと.
私は広角が好きなので,APS-Cのカメラはあまり好きません.センサーは大きければ大きいほうがいい.早く中判カメラが使いたいものです.そういうわけでK-3IIIを購入することはありえませんが,このカメラは間違いなくペンタックスの今後を占うカメラでしょうから,一度使ってみたかったんです.
このカメラが発表される直前にPENTAX STATEMENTが発表されました.ざっと内容をまとめると,ペンタックスは撮影体験を楽しむためのカメラを作ります.そのために,絵は印象色をベースにするし,ミラーレスに移行せず光学ファインダーにこだわるし,Limitedのような現代レンズとは風合いの違うレンズも発表します,と言った感じ.K-3IIIはいわばPENTAX STATEMENTを体現する一台.つまり,PENTAXの未来を示したカメラなわけです.SP,K2,LX,K10D,K-7,K-1に並ぶエポックメイキングな存在になるべくして生まれたカメラ.それがK-3IIIです.
私は今α7RIIというミラーレスカメラとK-1という一眼レフの二台を運用しています.確かに失敗写真が少ないのはαの方です.ミラーレスのほうがAFの精度がいいし,ファインダーには完成形が表示されますから,躊躇なくシャッターが切れます.しかしながら,撮っていて楽しいのは絶対に一眼レフのほうなんです.確かにファインダーには撮れるであろう絵が表示されるわけではないのですが,かえってそれがいいんです.どんな色が写真に乗るかなあと考えながら撮っても,大抵想像とは少し違う色の写真が生まれます.答えの決まっていないからこそ,ファインダーを覗くのが楽しいんです.
シャッターフィーリングもレフ機のほうがずっといいですよね.確かに,技術的な話をすれば,シャッターショックのないミラーレスのほうが有利な部分が多いでしょう.でも,レフ機のシャッターを切ったときの爽快感は何にも変えられません.
ペンタックスは,おそらくこのような感性に響くものをこれからも大切にしていきますということなのでしょう.
この写真を見ると,あれ,私の知っているペンタックスの色じゃないなあと.確かに美しい描写なのだけれど,私の知ってるペンタックスの青色と緑色じゃないんです.K-1やK-5なら,緑色はもっと青っぽく写るし,青も深い色のはず.この写真はどちらかというとスッキリした描写ですよね.K-1のようなペンタックスらしい色じゃない.
この色,何に似てるんだろうなあとしばらく考えていたんです.少しくすんだ色はパナソニックに近いか,いやパナほどくすんではいない.ライカほどシャドーが重いわけでもないし…と.30分くらい考えてやっとわかりました.GRですよこの色.GRのそれです.なるほど,ペンタックスは今はリコーのブランドですから,無理もありません.もちろんGRの色よりも明るくて鮮やかなのだけど,K-1に比べると絶対にGRの色に寄っています.
GRにはペンタックス譲りの手ブレ補正がのり、ペンタックスの色はGRのそれによっていく。GRとペンタックスのシナジー効果によりリコーはペンタックスを存続させることができるのだろうか.そんなことを考えながら天神を撮りました.
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