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ストーリーから世界を救うには?陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」

今回は、話題の新刊『ストーリーが世界を滅ぼす』をピックアップします。

ソーシャルメディアのような新しいテクノロジーが瞬時に情報を拡散させ、事実と作り話を区別することが困難になりつつある現代。
そこでは「物語」が私たちの心を狂わせ、それぞれを異なる現実の中に閉じ込め、社会を分断しようとしているーー。
本書では、「物語の力」が持つ驚くべき事例と、人々に与える影響を解き明かしていきます。

物語の語り手を絶対に信用してはいけない

私たち人間を含む動物は、生きるために日々コミュニケーションを行います。その中でも、物語を道具のように使うことができるのは人間の特徴でしょう。それは、「他人の心に影響を与え」、「他人の行動を自分の思うように動かす」ためです。

優れたストーリーテラーが物語の力を正しく使い、人に何かを教えたり、相手を理解したり、共感してもらったりする一方で、物語の力はダークサイドにも使われることがあります。
つまり、物語は人を操作したり洗脳したりするのに最適な道具でもあるということ。その代表的なものの一つが、陰謀論です。

私たちの心の機能を奪う「陰謀物語」

現在進行形で信じられている陰謀論の一部を見てみましょう。

・アメリカ人の半数が、何らかの形で「911陰謀論」と「ケネディ暗殺陰謀論」を信じている
・共和党支持者の1/3が、エリートたちが牛耳る「闇の政府」が存在するという説を信じている
・アメリカでは成人の2%にあたる約600万人が、「地球平面説」を信じている ...etc

客観的・科学的に考えたらおかしいと思うようなこれらの陰謀論を、なぜ少なくない数の人々が受け入れてしまうのでしょうか?
その理由の一つが、本書では次のように描かれています。

謀論的世界観はエゴを満足させる。この点が、ひとたび陰謀論の世界にはまった人を現実に引き戻すのが難しい理由の一つだ。
陰謀論のナラティブの中にいる限り、そこではヒーローでいられる。自分が間違っていると認めれば、信じていたものとは違う物語の中にずっといたことを認めるはめになる。

人間の根源的な欲求を満たしてくれる陰謀論の力はとても強大で、気付かぬうちに飲み込まれてしまうのです。

ストーリーテラーが世界を支配する時代を生き抜くために

私たちを狂わせ残酷にしているのはソーシャルメディアではなく、ソーシャルメディアが拡散する物語である。

私たちを分断するのは政治ではなく、政治家たちが楔を打ち込むように語る物語だ。

地球を破壊する過剰消費に私たちを駆り立てているのはマーケティングではなく、マーケッターが紡ぎ出す「これさえあれば幸せになれる」というファンタジーだ。」(「序章」より一部抜粋)

今や私たちは、陰謀論やフェイクニュースが一瞬にして広まり、簡単に情報に踊らされてしまう世界に生きています。
本書を通して、様々な情報が溢れる現代で生き抜くための力を身につけませんか?


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