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40代って楽しいよね、という姿を見せることが、私の大事な役割です

シリーズ累計50万部のベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の最新版『LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2):100年時代の行動戦略』が話題沸騰中です。

「40代って楽しいよね、という姿を見せることが、私の大事な役割です」
そう語るのは、ワーキングマザーのためのキャリアコンサルタントとして活躍中の株式会社MYコンパス代表取締役・岩橋ひかりさん。独立して現在に至るまでのお話をうかがいました。

profile
キャリアコンサルタント
株式会社MYコンパス代表取締役
岩橋ひかりさん

いわはし・ひかり●新卒2期生として株式会社セブン銀行入社、企画、広告、人事部門などを経験。
「女性がライフステージの変化に柔軟に、才能を活かしながら幸せに生きていける社会」を目指し、第二子出産後に独立。
2017年よりオンラインを活用してキャリア講座を運営し、国内外400名以上の女性が受講、ライフキャリア教育を通じて、自分らしく輝く人生へと導いている。
著書に「最強のライフキャリア論。」(時事通信社)。
国家資格キャリアコンサルタント

ワーママが「自分らしい人生」を追求する時代へ

私は2010年に長男を出産し、いま40代に突入したところです。私のすこし上の世代の女性は、がっつり働くか、専業主婦になるかのどちらかに分かれていました。

出産した当時も、周囲には仕事を辞めるか続けるかを真剣に悩む女性が多い状況でしたが、私の世代はちょうど「普通の女性が出産して、普通に働く」という第一陣でもあります。それから11年経ち、今では、ワーママは当たり前の存在になっています。

2016年に出版された前作『ライフ・シフト』では、「教育→仕事→引退」という3ステージの人生が変化していくと提唱され、当時の人々にとっては「えっ?」と思うような内容でした。

私は、会社を辞め、独立してキャリア支援の仕事を細々としていた時に読みました。

「キャリアは人生そのものです」「自分らしく生きましょう」といったメッセージは、いまでこそ世間に浸透していますが、その頃は、私が発信していた「ワーママでも、自分らしく生きよう」のメッセージはまだ時期尚早で、ドキドキしながらブログを更新していたのを記憶しています。

でも、本の内容に共感し、自分は間違っていないと勇気づけられ、背中を押されていました。それから5年たち、本のメッセージも浸透して、時代的にも「そういうものだよね」と受け入れられるようになった気がします。

今作『ライフ・シフト2』でも、「人生の物語を紡いでいきましょう」「ありうる自己像を書き出していきましょう」など、表現は違っても、私が発信してきたメッセージと似たことが書かれています。自分自身の活動の裏付けとなるようで、心強く感じています。

新しいことへの挑戦「失うものはない」

――岩橋さんは、「MYコンパス・アカデミー」を通して、個人の問題にフォーカスを当てたキャリアコンサルタントとして活動されてきましたが、現在は、全国に女性リーダーを輩出する「L470」プロジェクトを提唱されるなど、社会問題の解決へと視野を広げられていますね。

この5年間、「MYコンパス」を通じて行ってきたことは、個人を変革していくことです。

最近、卒業生400人にアンケートをとりましたが、「受講直後よりも、さらに良くなっている」というデータが集まってきています。やってきたことがその人の中で持続していて、人を本質的に変化させることができたんだという確信も持てています。

その一方で、限られたアプローチしかできていないという思いもあります。

ジェンダー・ギャップや、ダイバーシティといった話は、カンファレンスで議論される「大きな話」です。そして大抵、「女性はこうですよね」という概念的な話だけに終わっています。

しかし、やはり、個人の1人1人が変わるしかありません。全国各地に、ライフキャリアのプロフェッショナルとして活動してくれている人たちがいますし、私は「L470」プロジェクトを掲げることで、企業やメディアを動かしていくことを考えています。

地方での働き方や学び方などについては、今後、私たちと目指すところが似ている会社さんとタッグを組んでやっていこうと考えています。これは、私自身にとっても挑戦です。

――新しいことに挑戦することには、二の足を踏む人が多いですが、岩橋さんの原動力は何ですか?

失うものはない、と思っていることですね。

独立した当初は、ブログで「モニター募集します」という記事を出すということだけでも、挑戦でした。そこから、ブログに自分自身の写真を掲載したり、本を書いたり、小さな挑戦をこれまで積み重ねてきた中で、いまは支援者や仲間が増えています。

私は、先陣を切る、旗を振るという役割をやったほうがいいと思ってきましたし、企業さんも、新しいネタはいつも探していらっしゃるでしょう。「面白いことに取り組む」というのは、挑戦しても失うものはないことだ、と思っているんです。

「40代って楽しい」というポジティブな姿を私が見せることが、大事な役割のひとつだと思っていることもあります。

『ライフ・シフト2』では、年齢や長寿について強調されており、特に、自分の年齢についても、他人の年齢についても、考え方を改めなければならないと書かれています。子育てがすこし落ち着いて、40代に入り、年齢を感じはじめていた私にとっては、とても刺さる内容でした。

従来の概念だと、「もう40だからね」というあきらめのような感覚を植え付けられがちでしたが、私自身は「まだ40だよね」と感じていますし、「40代って楽しいよね、こんなのって良くない?」という姿を見せていきたいですね。

仲間と自己理解し合えるコミュニティ

「MYコンパス」は、コミュニティ型のオンラインアカデミーの形をとり、これまで400名以上の女性のライフキャリアを変えてきました。

もともとは、1対1のコンサルティングだったのですが、いくらその時間に良い話を聞いても、本人が納得して、本質的に変えていく意識がないと難しいと感じました。ダイエットと同じで、知識はあっても実践を続けることが難しいんです。

1対1の形式は、カウンセラー側にとっても危険な部分があります。悩める人が自分に依存してくれるわけですから、気持ちよくなってしまうところがあるのです。もしかすると、これは支援ではなく、私のエゴ、自己満足ではないかと悩んだこともありました。

そこで、ご本人が、変化について意識し続けるにはどうすればいいのかを考えたところ、他の人とのかかわりを増やし、伴走してくれる仲間がいると良いという結論になり、コミュニティを作ったのです。

ダイエットも、1人でやるより、仲間と一緒にやるほうが励まされますし、相談相手や愚痴を言う相手もいたりして、良いところがありますよね。

意外なことに、自分のことって自分では気づかないものなんです。特に、自分の強みや、得意なことというのは、当たり前すぎますからね。

でも、相手のことなら、「声がきれいですね」「話し方が素敵ですね」など、キャリア支援のプロかどうかに関係なくわかることがあります。他人の存在を、お互いの自己理解に使い合うわけです。これを「N対N」と呼んでいます。

意識の変化は、シャンパンタワーのようなものです。「MYコンパス」に集まる人から変わってゆき、彼女たちがそれぞれのコミュニティで波及させていきます。

家庭では、お母さんの変化に影響されて、子どもや夫にも波及していきます。職場でも「この人変わったね」という印象が生まれ、「ワーママも色々できるんだな」という影響を与えられるのです。

「変わりたい」という意識をもって、表現しながら変わっていくしかありません。

大手町のカフェで…「私のように悩む人とつながりたい」

アカデミーの卒業生同士のつながりができるのもいいところです。お互いの報告を聞けますし、地方でも海外でも、声をかければすぐに会える仲間もいます。

――地方にも海外にも仲間がいるというのは、オンラインコミュニティの醍醐味ですね。

でも、最初は、地方に広げようという目的でオンラインを選んだわけではないんです。

実は、会社員時代、私自身が、いつも一人で悶々として、同じように感じている人とつながりたいと思っていました。

昼休みはだいたいいつも大手町界隈のカフェで一人過ごしていたのですが、そこには同じように一人で黙々としている人がたくさんいました。私は、今のままで本当にいいのだろうかと、ノートに自分の思いを書き綴っていました。

そして、このカフェのなかにいる人たちの中にも、絶対に共感できる人がいる、誰かとつながれたら……という気持ちでコミュニティをはじめたのですが、東京以外の地方や、海外からも参加してきてくれて驚きました。

真剣に生きていれば、相手も変わる

――ジェンダー・ギャップの問題に取り組まれていますが、日本の年配男性についてはどう感じていますか?

変わりたくない人を変えるのは大変ですが、相手がどんな人であっても、真剣に生きている者とぶつかれば、違ってくると思っています。

前職時代のことでした。当時の経営層の方が、社内のダイバーシティ推進プロジェクト報告会議の場で、このような発言をしたんです。

「女の人が子どもを持っても働き続けたいというのは、ワガママだ。子どもは、お母さんに『ただいま』と待っていてほしいに決まっている。」

その発言に私は大きな衝撃を受け、その日の昼休みノートはかなりダークな内容に。この事件が、私が退職、起業を考えるきっかけにもなりました。

ところが、それから5年経ち、本を出版してから、その方のもとへ挨拶に伺ったところ、意外なことを言われました。

「僕は、自分の発言を反省しているんだ。あなたの本に書かれているのは、僕のことだよね」

実はその後、私の本を読んで、まずかったと気がつき、女性経営者の話を聞きに行ったり、女性向けセミナーにおじさん一人で参加したりして、考え方を改めたと言うのです。

驚きましたが、自分がそのことに真剣に向き合っていれば、たとえ時間がかかっても、伝わることがあるのだと心が震えました。また、会社の女性活躍推進、ダイバーシティ推進の状況もかなり進展しているようで、振り返ってみれば当時の出来事にも大きな意味があったのではないでしょうか。

『ライフ・シフト2』では、「社会的開拓者」が重要なキーワードですが、これから「L470」プロジェクトで、たくさんの開拓者を生み出せたらと、楽しみです。

ライフキャリアについての悩みは、実は、幸せが行きついた先の生きがいを求める、という意味で、見方によってはある種ぜいたくな悩みでもあります。

今後、中国や東南アジアでもライフ・シフトがはじまると見込んでいます。そのために、グローバルに展開できるメソッドにも挑戦していきたいです。楽しいからこそやってみる。誰もやったことがないからこそやってみる。ワクワクしますね。

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