教養強化合宿・完全再現(もくじ)

 【外山恒一の「note」コンテンツ一覧】

 「一般向けにも〝教養強化合宿〟をやってくださいよ」
 ということをよく云われる。カネなら出す、とまで云われる場合もある。すべてテキトーなことを云って断っている。無理だからである。
 一般向けとなれば9泊10日の合宿形式で、というわけにはいくまい。じゃあ無理なのである。それでも参加するという〝一般人〟など大ブルジョアの有閑階級と、ニートと失業者と、あとは正体を隠した某部署の公務員ぐらいのものだろうし、1人あたり100万円ぐらい取らないとモチベーション的にやってられない。
 「〝出張版〟を」
 「〝1日講座〟的に」
 なんて話は論外だ。ナメてんのかという話である。そんなお手軽にできることを〝教養強化合宿〟ではやってない。
 しかしまあ、気持ちは分かる。合宿を体験した若者たちにはおおむね大評判なのである。「歴史嫌いが劇的に直った」、「文系偏差値が一気に上がった」、「あんなに難解な気がしていた蓮實重彦の文章が、合宿から帰ってみると嘘のようにスラスラと……」、「問題文を読んだ瞬間、あっ、合宿で出たところだ!」、「友達ができた」、「自我が目覚めた」、「便秘が治った」などという、にわかには信じがたいような証言の数々を目にし耳にすれば、半信半疑ながらもちょっと覗いてみたくなるのが人情というものだ。「学生の時に参加しておくべきだった!」と今さら悔やみもしよう。
 本当は私だって、そうしたケナゲな人民の願いに応えてあげたいのである。どうにかしてやれんものかとあれこれ考えた結果、こうしてやろうじゃないかというのが、この「教養強化合宿・完全再現」という大変なテキストなのだ。
 はっきり云って、これを私の指示どおりの作法でコツコツ読めば、わざわざ福岡くんだりまではるばる出かけて合宿に参加する必要などない。いやむしろ、合宿に参加して私の話を耳で聴くより、このテキストをじっくり読んだほうが〝教養強化〟の目的には合致しよう。これを読んでなお合宿に何か効能があるとすれば、「友達が増える」ぐらいのものである。

 上記「私の指示どおりの作法」とは……
 【教養強化合宿では10日間で4冊のテキストを消化します。この〝実況版〟の内容を本当に〝身になる〟ものとするには、その4冊のテキストを入手して、並行して読む必要があります。ただし、4冊のうち唯一のオリジナル・テキストである『マルクス主義入門』は市販されておらず、noteで別途購入していただかなければなりません。他の3冊は、立花隆『中核vs革マル』上巻(講談社文庫)、笠井潔『ユートピアの冒険』(毎日新聞社)、絓秀実『1968年』(ちくま新書)です。『ユートピアの冒険』は現在入手困難ですが、図書館にはわりとあります。それらをあらかじめ読んでから〝実況版〟に進むのではなく、〝実況版〟の中で適宜、「では第何章第何節を読んでください」と指示が入りますので、〝身になる〟ものとしたければ、素直に指示に従ってください】

 「教養強化合宿・完全再現」なるテキストは、まあ云えば合宿の〝台本〟のようなものだ。もちろん私はこれまで〝台本〟なしにレクチャーを続けてきたのだが、頭の中にはこういう〝台本のようなもの〟は存在していて、要するに私は10日間ぶんの〝同じ話〟を過去30回以上、繰り返してきたにすぎない。
 合宿OB・OG諸君がこれを読めば、デジャヴーの嵐に見舞われるだろう。いや、合宿では聞かなかった話まで書いてあるはずだ。
 ここに再現された私のレクチャーは、あくまでも理想型である。リアルの合宿では、時間が足りず、ところどころハショったりすることになる。ただし過去の合宿で一度もしなかった話はほとんど書いていない。私のレクチャーはよく脱線するが、それだって毎回決まったところでわざと脱線しているのである。毎回云ってる決まったギャグまで再現してある!(笑) ……などといちいち「(笑)」を入れるのは、まあ対談や座談会のテープ起こしでは私は「(笑)」を多用するが、今後も何十年もやり続けるつもりのレクチャーの〝台本〟に「(笑)」を入れるのは、ここで笑えと強要しているようで恥ずかしいから今回は禁欲して封印する。読んでる側で勝手に笑ってほしい。
 とにかく、過去のレクチャーで一度でも云ったことをなるべく全部かき集めての「完全再現」である。本当はすべての合宿をこの〝台本〟どおりにやりたいのだが、必ず時間が足りず、その場の判断であちこちハショるわけだ。どの箇所をハショるかは個々の合宿ごとに異なるので、聞いた話と聞いてない話の差分結果は参加した回によって違うし、単に寝坊したり居眠りしたりで〝聞いてない話〟が多い者もいよう。
 毎回同じ話をしていると云っても、レクチャーをやっている私自身が日々すくすくと成長の盛りなので、回を重ねるごとに少しずつ新しい情報が付け加えられたり、解説の手順が変わったり、稀には間違ってた箇所が修正されたりすることもある。初期何回かの合宿は現在の9泊10日とは違って7泊8日でテキストに絓秀実の『1968年』は含まれていなかったし、現行合宿の1冊目のテキストであるオリジナルの『マルクス主義入門』もまだ用意されていなかった。だいたい新左翼運動史の細部に関する私の知識自体、第1回合宿の時点ではまだかなり怪しかった。〝少しずつ〟の進歩にすぎないとはいえ、それを30回以上も重ねれば、第1回合宿と現在の合宿とでは〝同じ話〟も〝だいぶ違う話〟にはなっている。
 したがって、合宿に参加しえない者はもちろん、すでに合宿を体験した者にも、この「完全再現」は有益なはずである。ただし、これから合宿に参加するつもりの者は、これを先に読んでしまうと本番の合宿のほうがちっとも面白くなくなってしまうので、読まないほうがいいだろう。

 通常は、前半3分の1か4分の1ぐらいは無料で読めるようにして、残りを読みたければ有料、ということにしているが、今回に限っては完全に有料とする。今後の合宿に参加するつもりの者への〝ネタバレ〟を避けるためだ。
 そして今回は、いつも以上に実質高額である。すでに購入している者には関係ないが、同じくnoteで有料公開してある合宿用オリジナル・テキスト『反共ファシストによるマルクス主義入門』を別途購入してもらわなければならないからである。
 そしてとにかく長い。まず書いてみた、リアルの合宿では初日の約3分の2のカリキュラムにあたる、『マルクス主義入門』前半部についてのレクチャー再現だけでも原稿用紙換算で300枚近くになった。私のnote有料記事は機械的に原稿用紙1枚ぶん10円の値段をつけているから、これだけでも3000円近い。最終日のカリキュラムまで全部再現し終わった暁には、たぶん5000枚ぶんぐらいにはなっているだろうから、約5万円である。
 しかしこれは破格に安いのである。もっと莫大なお金をかけて学校に20年ぐらい通うよりも、この「教養強化合宿・完全再現」を熟読したほうが圧倒的な人文系教養を身につけることができるからである。しかも主には新左翼運動史のレクチャーであり、参加者を募集する際にもそう云っているのだが、実際は思想史や前衛芸術史はおろか、演劇史やポップ・ミュージック史、果ては古代史に至るまで、まんべんなくいろんな話をしているのである。
 読み終わってから、「カネ返せ!」と文科省なり大学当局なりに抗議してほしい。


 テキスト1冊目
 外山恒一『反共ファシストによるマルクス主義入門』

 その1(原稿用紙換算約17枚分)
 その2(原稿用紙換算約29枚分)
 その3(原稿用紙換算約30枚分)
 その4(原稿用紙換算約20枚分)
 その5(原稿用紙換算約39枚分)
 その6(原稿用紙換算約52枚分)
 その7(原稿用紙換算約15枚分)
 その8(原稿用紙換算約36枚分)
 その9(原稿用紙換算約26枚分)
 その10(原稿用紙換算約15枚分)
 その11(原稿用紙換算約28枚分)
 その12(原稿用紙換算約19枚分)
 その13(原稿用紙換算約43枚分)
 その14(原稿用紙換算約21枚分)
 その15(原稿用紙換算約10枚分)
 その16(原稿用紙換算約56枚分)
 その17(原稿用紙換算約13枚分)
 その18(原稿用紙換算約55枚分)
 その19(原稿用紙換算約60枚分)


 テキスト2冊目
 立花隆『中核vs革マル』上巻

 その1(原稿用紙換算約14枚分)
 その2(原稿用紙換算約45枚分)
 その3(原稿用紙換算約26枚分)
 その4(原稿用紙換算約27枚分)
 その5(原稿用紙換算約11枚分)
 その6(原稿用紙換算約23枚分)
 その7(原稿用紙換算約30枚分)
 その8(原稿用紙換算約35枚分)
 その9(原稿用紙換算約21枚分)
 その10(原稿用紙換算約40枚分)
 その11(原稿用紙換算約32枚分)
 その12(原稿用紙換算約32枚分)
 その13(原稿用紙換算約23枚分)
 その14(原稿用紙換算約30枚分)
 その15(原稿用紙換算約11枚分)
 その16(原稿用紙換算約20枚分)
 その17(原稿用紙換算約29枚分)
 その18(原稿用紙換算約11枚分)
 その19(原稿用紙換算約25枚分)
 その20(原稿用紙換算約26枚分)
 その21(原稿用紙換算約18枚分)
 その22(原稿用紙換算約19枚分)
 その23(原稿用紙換算約30枚分)
 その24(原稿用紙換算約29枚分)
 その25(原稿用紙換算約30枚分)
 その26(原稿用紙換算約33枚分)
 その27(原稿用紙換算約36枚分)
 その28(原稿用紙換算約37枚分)
 その29(原稿用紙換算約34枚分)
 その30(原稿用紙換算約22枚分)
 その31(原稿用紙換算約30枚分)
 その32(原稿用紙換算約21枚分)
 その33(原稿用紙換算約30枚分)
 その34(原稿用紙換算約26枚分)
 その35(原稿用紙換算約19枚分)
 その36(原稿用紙換算約19枚分)
 その37(原稿用紙換算約28枚分)
 その38(原稿用紙換算約31枚分)
 その39(原稿用紙換算約33枚分)
 その40(原稿用紙換算約20枚分)
 その41(原稿用紙換算約16枚分)
 
  〈以下、鋭意執筆中〉


 テキスト3冊目
 笠井潔『ユートピアの冒険』


 テキスト4冊目
 絓秀実『1968年』


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