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富山での暮らし 〜アイスクリーム事情〜


みなさま、こんにちは。
このとやま移住ブログの中で「富山での暮らし」を担当しています、フリーライターのmakiと申します。

お風呂上がりにアイスクリームを食べたくなる季節がやってきましたね。
私は季節に関係なく年がら年中食べていますが、ある時すごく好みのアイスクリームに出会ったんです。
その商品が、富山のアイスクリームメーカーで作られていることを知り、ちょっとした感動と衝撃を覚えました。
しかも、創業から約65年と、アイスクリーム業界の中でも長い歴史のある会社なのです。

そのアイスクリームが、上の画像。
富山県黒部市にある「横山冷菓」さんの「深層水塩ソフト」です。
富山湾の海洋深層水から採取した塩がおいしさのポイント。
酸味と甘みのバランスが絶妙で、一気に食べられます。後味もさっぱり。
アイスクリームとはいえ、全然こってりしていないので、食べた後に喉が乾かないのもいいんです。

1.横山冷菓の常務取締役・横山栄一郎さんにインタビュー!


アイスクリームについてお話を聞くなら、横山冷菓さんしかありません!
そこで、常務取締役・横山栄一郎さんにインタビューをしました。

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1981年生まれ、富山県黒部市出身の横山栄一郎さんは、青山学院大学を卒業後、井村屋製菓(現:井村屋)での勤務を経て、横山冷菓に入社したというUターン経験者。2013年に現在の常務取締役に就任しました。趣味はスポーツ観戦と、特に野球に関する情報収集です。


2.富山市の人がアイスクリームをよく買うのは、なぜ?


―いきなりですが、日本アイスクリーム協会が調べた「都市別一世帯あたりのアイスクリーム支出金額」によると、2013年、2016年に富山市が全国1位を獲得しています(https://www.icecream.or.jp/biz/data/expenditures.html)。その理由について、どのように考えられていますか?

横山さん 大きな理由は、割引かなと思っています。日曜にスーパーマーケットへ行くと、アイスクリームが半額になっていることがありますが、他県では珍しいことなんですよ。


―スーパーでアイスクリームが安く買えるのは当たり前だと思っていましたが、富山の特徴だったのですね。

横山さん そうですね。割引が始まったのは、アイスクリームの劣化を防ぐためと言われています。アイスクリームには賞味期限がありませんが、だからといって時間が経つと品質が落ちるので、値引きをして早く売り切って、売り場を空にして新しい商品をまた販売するということが目的だったようです。


―県内でアイスクリームが最も売れるのは、何月ですか?

横山さん 7・8月ですね。これは富山に限った話ではなく、全国的にそうです。1番売り上げが低いのは1月で、それと比べると3〜4倍は違うんじゃないんですかね。商品にもよりますが。あと、全国的に1番人気の高いフレーバーは、バニラですね。


―時代の流れとともに、アイスクリームはどのように変化していますか?

横山さん 大きくいうと、世の中のトレンドに沿っています。例えば、2018年はマカロンがブームだったので、アイスもマカロンのフレーバーがすごく売れたんですよ。今だとピスタチオがそう。ブームにのっかるという側面はあると思います。

3.アイスクリームをおいしく食べる方法


―アイスクリームの上手な保存方法はありますか?

横山さん マイナス20度ぐらいの冷凍庫で、扉の開け閉めをしないことが大事。ただ、家庭用の冷凍庫では、頻繁に開閉をしてしまうので、無理ですよね。なので、私は買ったらすぐ食べているんですよ。アイスクリームはマイナス18度以下で保存しなければいけませんが、冷凍庫を開けた瞬間に庫内の温度が一気に上がるんです。しかも、家庭用のものは取り出しやすい造りになっているので、なおさら暖気が行き渡ります。マイナス18度を超えると、ちょっとずつ溶けていくので、とにかく保存しないことがおすすめ。置けば置くほど味が落ちると思っていただいて結構です。


―なぜ、賞味期限が書かれていないのですか? 

横山さん 基本的に賞味期限がないからです。マイナス18度以下を保っていれば、細菌や微生物が繁殖することがないので、品質は時間が経つにつれて劣化しますが、安全性にはまったく問題ありません。例えば、アイスクリームだと、1回溶けた後に20〜30度になれば微生物が繁殖して食中毒の恐れが出てきますが、そこまで温度が上がってしまうと形が完全に崩れて、一目で「食べない方がいいな」と判断することができます。見た目で分かることも、賞味期限を打たなくていい理由になっているのだと思います。

4.アイスクリーム1本で約65年


―貴社に対して、一番多い質問は何ですか? 

横山さん 「製造工場って、寒いですよね?」とよく聞かれますね。でも、室温はほぼ18〜20度の間に調節しているので、そんなことはありません。それ以上に暑いとカビが繁殖しやすくなりますし、それより低いと単純に寒いので、その辺りに保っています。夏も冬もほぼ同じ温度ですね。


―県内に同業他社は、あるのでしょうか?

横山さん 森永乳業グループの「森永北陸乳業」さんがあります。街のジェラート屋さんや牧場でも作られていますが、スーパーやコンビニエンスストアに出荷できるほどの生産量を維持できるのは、県内では森永北陸乳業さんと弊社だけだと思います。


―1日にどのぐらい作られているのですか?

横山さん オリジナル商品の「深層水塩ソフト」をはじめ、「富山県産こしひかりソフト」「富山県産こしひかり最中」「立山高原ソフト」「立山高原みぞれ」は1日にそれぞれ約3万個作っています。

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―横山冷菓さんが、大事にされていることは?

横山さん 弊社の創業者である私の祖父は、「多角化はしない」を信条としていました。その意思を代々受け継ぎ、アイスクリーム1本だけで事業を展開しています。ですので、アイスクリームを通じて、配送業の方、小売店の方、弊社従業員、お客様、すべての人に幸せや喜びをお届けすることを追求しています。


横山栄一郎さん、ありがとうございました! 
横山冷菓さんのオリジナル商品は、コンビニエンスストアやサービスエリア、道の駅などで販売しているので、ぜひ!
富山のアイスクリームは、ちょっとした手土産にも最適です。

番外編「横山冷菓・横山さんの思う富山のいいところ」

「富山はなにもないところ。でもそれがいい。来たらわかるさ。サイコー富山!」



[ライタープロフィール]
maki

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富山県砺波市を拠点にライター、コピーライターとして活動しています。写真は、今度食べたいもの。横山冷菓さんで製造・販売している「立山高原ソフト」のカフェオレ味です。その他チョコ、抹茶、バニラ味も。興味を持たれた方は、ぜひ!

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