出版業界のPDCAサイクル遅すぎ問題

みなさん、こんばんは。
今日は出版業界に転職してから、日々感じているPDCAサイクル遅すぎない・・・?と、その諸問題を、共有したいと思います。

うわっ・・・、私のPDCAサイクル、遅すぎ・・・?

すみません。冒頭からボケをかましました。しかし、おきている問題はボケでもなんでもありません。

自分はこの業界に入ってから、半年以上がたちましたが、入ってきて一番驚いたのが、PDCAサイクルが遅いことです。以前、広告業界に居たのでめまぐるしい世界に慣れているというところもありますが、想像していたよりもスローペースです。

自分は作家のエージェントという仕事をしていますが、あまり下積みを経ずに入って数ヶ月で書籍企画を立てたり、営業をしたり、編集協力をしてきたりしています。

新卒で出版社に入った編集者のように、制作管理や先輩編集者のサポートという、成長のための迂回を経てから、企画~出版までのルートをたどって来ているわけではありません。

また、通常の編集者なら年次にもよると思いますが、年数冊(平均6-7程度?)の刊行が目標値かと推測されます。自分はこの半年程度で、出版決定に10件程度決めていますが、知見がたまるのが遅いなと感じています。

執筆に時間がかかるのは、ある程度しょうがないのですが、計画してからの実施までがずいぶん遅すぎて、計画時に思いもよらなかった乱数が発生することが多く、そもそもの計画に狂いが出ることもあります。

たとえば、企画を通している間に、似たような発想の本が出るとかがそれにあたります。社会情勢が変化して、古くなってしまうということもあります。

書籍はネットのようなスピーディーさが求められるネタではなく、王道のものや古びない内容で出す、ということは定説として言われています。ですが、王道とだろうと思っていたものを支える世間の常識も、ものすごい勢いで変化しており、ある程度先読みしていかないと、刊行時に古びてしまうと感じています。

これは本当に過剰表現ではなく、2・3歩先を行ったと思っているぐらいでないと、市場に出たときに、思ったほどの価値をもたらせないと思っています。もちろん、普遍的で古びにくいコンテンツはあるとしても。


そして、planからdoの時点で問題があることは、今述べたとおりですが、
もうひとつの問題は、checkとactionにこそあるでしょう。普通は、結果(実売)を受けて、当初の計画とおりに行ったのか?またはなにか違う結果になったのか?そうだとしたら、何が起きたのかの検証が行われます。

この場合の計画通りとは、売れたか売れてないか、に集約されます。

売れた場合は、どうなるのかというと、似たような類書が他社からも雨後のたけのこのように発生します。きっちり分析したうえで、成功のセオリーを真似したものもありますが、装丁やテイストの類似にとどまっているレベルのものもあります(特に他社でまねる場合)。

本来、ターゲットやターゲット心理を考えると、「おや?」というレベル感でまねただけの書籍になっていることもあります。これは、自分も気をつけねばなりません。「流行っているから」「これが今風だから」で、止まるのは自戒すべきところです。

ただ、必ず成功するセオリーというものも、いまどきは無く、これをすればうまくいくという方程式がないのも事実だと思います。うまくいかないポイントの理論は多数あるとしても。

では、売れなかった場合は?というと、類似の企画に手を出すことがなくなってしまうんですよね。

これは自社でも他社でもそうで、類似の書籍でうまくいっていないと、もう手を出すことは無くなってしまう。こういう理由で売れていなくて、こうすれば売れるはず!という目算を出しても、嫌がられるケースが多いです。営業や宣伝部に、類書が売れていないということが、最大限に響いてしまうからです。

類似書籍がうまくいっていない同ジャンルや近いテーマで、改善案を出して成功に導く、というケースはまれなのではないでしょうか。それは、実際に刊行するまで市場の反応は分からないので、危険性のあるものに時間をお金を投資するのは、もったいないという判断だとは思いますが。

自分の中で、成功のための方程式が、磨くのに時間がかかりつかみがたい。
まだ、研鑽の毎日です。


記事は基本的に無料公開ですが、もし何か支援したいと思っていただけましたら、頂戴したお金は書籍購入か、進めている企画作業に当てさせて頂きます。