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140字小説集

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140字小説だけ集めたもの。コメント欄に設定付き。
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2016年4月の記事一覧

「あのですね、こ、これから先輩がすげー驚くこと言います。俺…先輩のことが、好きだ」
「知ってるけど」
「は?」
「だいぶ前からバレバレですけど」
「(ガーン)」
「だから今更っていうか」
「(ガーン)」
「待ちくたびれちゃったよ」
「…それって」

「知らなかった?…大好きだよ」

どしゃぶりの雨が室外機を鳴らしている。雫の斜線。雨に閉じ込められたみたいだ。突然の着信音が薄い膜を切り裂いた。『花見行くぞ』「今日?」『雨粒にぶつかって散る桜が見たいんだ。30分後に駅集合な』風流なのか悪趣味なのか。窓の外では雨が僕待ち。閉じ込もっていただけ。さあ、濡れる用意を。