50.負の連鎖

50.負の連鎖

私のように我が子を誘拐された者の多くは、この国における現行の離婚後単独親権制度が事実上子どもの誘拐を多発させていることを知っている。現状の少子化で年間に誕生する子どもは100万人どころか90万人を下回る事態であり危機的水準だ。

乱暴な推計だが今の時代結婚した夫婦の3分の1が離婚している。その全てに子どもがいるワケでもないし、いわゆる熟年離婚と言われるような子どもがいても既に成人を迎えているケースもあろう。合計特殊出生率の1.53ショック以降の少子化もあって婚姻数は年50万組、つまり100万人ほどである。まあ少子化の要因は合計特殊出生率の低下やその要因である晩婚化というより未婚化の方が実は大きい。

内閣府男女共同参画局の統計に言う両親の離婚を経験する子どもの総数が年あたり約20万人ほどだ。この国の20万人が両親どちらかとの関係を失う絶対数が年あたり約10万人以上生じている事になる。

本題的なところで母子家庭、父子家庭の子は身を持ち崩す可能性が極めて高い。これは各種統計などからも明らかなのだが人権上の問題も孕むため、この国で強調される事は極めて少ない。当たり前だが両親の経験は成功体験だけでなく、人生の岐路での失敗談の裏返しなども含めてかなりの影響を子ども自身に及ぼす。

色眼鏡と言われるだろうが実際に少年院に入所する少年の半数はいわゆるひとり親というか最近ではステップファミリーなどとかっこつけて言われる再婚だ。大学進学率も約60%、不登校は3倍。これは根拠なく言っているのではなく、国の機関である独立行政法人・労働政策研究機構の正式なものから判明したものだ。

わかりやすくに言えば、この日本という国の法制度の不備で子どもが社会の一部から排除されたための結果と言う事だ。家庭の構造面の要因なのだが、表向き「子ども・家族の専門家」の看板を掲げる木村なんとか真実(実態はカネのために「子どもを焼き殺そうとした」だの大嘘をつき親子を引き裂く悪徳弁護士)とかいう御仁は知っているのだろうか。

その統計にある少年院、つまり触法少年の更生施設の入所者は時期に拠る変動もあるが概ね約10万人で推移している。その約60%つまり約3分の2は両親の揃っている世帯、約35%が片親世帯、約5%が再婚世帯。確かに両親揃っている少年が最も多いのだが、少年全体でみても両親ありの世帯で暮らしている者が大半なのだから当たり前でベース人口で対比させた割合(出現率)は当然にハネ上がる。

簡単に言えば両親のある世帯の子が少年院送致となる可能性は100人に1人以下で0.6615%(約150人に1人)、片親世帯で2.11%(約50人に1人)、再婚世帯で4.44%(22人に1人)。

家族の親密さ、養育態度と子どもの非行の関係を簡単に言う事は出来ないとしても明らかに有意な差になっている。まあ少年犯罪と言っても万引き程度のものからそれこそ殺人事件まであるのだが、ここでも凶悪餡や粗暴犯に分類される重罪の傾向が更に高い事も注視される。

私の場合もいわゆるステップファミリーだ。現代の核家族(いわゆる村社会ではない近代の家族を中心とした生活様式)の中で子どもの表出的機能、分かりやすい言葉で言えば情緒安定を図る本質的な部分なのだが、ここには両親双方が大きく影響を与える。 片方の親の不在によって生活態度が不安定化した子どもが、心の空白を満たすべく盛り場などに繰り出し、何らかの非行誘発要因に遭遇なんて言うのが典型例である。

ちなみにだが両親から溺愛されて育った場合、溺愛と言っても様々だが末っ子の小山田くん(実子誘拐の実行犯)のような偏狭かつ行き過ぎた溺愛、まあ幼少期に父親を失うと言う不幸もあるから一概に悪いとばかり言わないにしてもそうしたケースでは性犯罪へ走るケースが非常に大きくなることも明らかとなっている。小山田くんの場合は取り敢えず事業を起こし収入も安定させ貧乏ではなくなったから性犯罪に走る必要もなかったのだろうがその「片鱗」(子どもよりも性欲を重視)は十分に感じるところだ。

こういうのはいわゆる「負の連鎖」でもある。

家族構成と犯罪・非行の関連については、当局も関心を寄せていて、だからこそその統計がこの国の警察庁(警視庁ではない!)の犯罪統計にも記されている。

片方の親の不在と非行がどう関連するのかを明らかにするのは難しいが生活の主要な場である家庭において、情緒安定機能が十分に果たされないことが原因だとよく言われる。私はまさにその典型例だと自分で思う。

この事を当事者(私のように我が子を誘拐された親)が「片親疎外」と言うが、ここはもっとシンプルである。変に片親疎外として様々な事象を繰り返し示すより、単に「愛情遮断」だ。

両親の離婚には様々なケースごとにそれぞれの事情があり、これを防ぐ手立てというのがあるワケじゃないが、少なくとも少年非行の問題と言うのは洋の東西を問わずどこでも深刻な問題となる。少年犯罪の撲滅は不可能だとしても有意な犯罪率低下に成功した国が着目したのが離婚後も両親との関係性の維持、早い話が面会交流なワケだ。

とは言え関係のぶっ壊れた元夫婦間の調整と言うのは簡単なものではない事は確かだが、現状はここに行政などの公の期間が介入する事がない。一方で少年犯罪率低下に一定の成果を上げた国はこうした部分にこそマンパワーを投入している。

この国の場合、離婚後の世帯への支援は薄っぺらい経済面のみだ。もちろん全くないよりはマシであるが実に片手落ちだと感じている。現在でもそうした世帯への支援を行うべきサポート資源は取り敢えずあるといえばあるワケでその一つがSSW。ところがこれが現状全く機能していない。日本人がお得意の「アリバイ作り」というやつか。SSWとSLは協調関係のハズだが、多摩地区のSLが、悪徳弁護士の木村なんとか真実だし、これじゃ機能しないのも然り。

別に支援利用はひとり親・離婚世帯だけじゃないはずだ。いわゆるデュアラーと呼ばれる世帯が活用しても良いわけだ。これも政府の言う女性活躍、男女共同参画社会じゃないのか。

子どもの教育や心理について専門的な知識を持つ人材は極めて少ない。そもそも学問としてはニッチだし、専門的な大学・学部もない。強いて言えば教育学部はその一端なのだろうが我が国の教育学部単なる教員養成機関に過ぎない。

この国では何かあったときに言われるのが「自己責任」。いやいや、そんなところに矮小化するからこの問題がなくならない。

この国の国民として生まれてしまった自分の運命がつらいと感じるのは、私だけであろうか。

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