見出し画像

「子供を殺してください」という親たち①

こちらの本を12巻まで一気読みして思ったこと。
それは「子供の病って家族の病なんだな」ってこと。

まれに先天的に精神病質の人もいるけれど、それ以外の多くは、いや先天的に精神病質の人でさえ、その後精神病が発病するか否かは育った家庭での生育環境が大きく影響しているように感じた。

精神的な問題を持つ子供を抱える親の多くは、自分の理想を押し付けて子供を抑圧していたり、子供よりも世間や家の価値観を優先したり、子供に過干渉だったり無関心だったり、親自身も問題を抱えていたりする。
その結果としての子供の病気なのだ。突然降って湧いたわけではない。

しかしこの本に出てくるどの親も、自分の責任には無自覚で、とにかくこの状況から逃れたい一心だ。自分のことしか考えていない。

散々臭いものに蓋をしてきた結果、もうどうしようもなくなって現れた子供の病気に対しても、自分が目の前の危機から逃れることだけに必死で、自分の責任を顧みることがない。俯瞰してみる視点に欠けているのが特徴だと感じた。

ひた隠しにしてきた家族の闇が子供を通して浮き彫りになる。本当は子供が発病するもっとずっと前から病は始まっていたんだ。

この本には夫にそっくりな人が出てきたし、最近共依存しかけた人にそっくりな男性も出てきた。実母や義母にそっくりな人も出てきた。

私の中でいろんなパズルのピースがはまった。ずっと知りたくて、でもどこで誰に聞けば分かるのかさえも分からなかったことの答えが書いてあった。

病識のない精神病患者をどうやって適切な医療と繋げるのか(そもそもそんな方法はない。なくてみんな困っているから、こうやって民間の移送業があって、それが本にまでなっているんだ)

結局、夫は何の病気だったのか?
鬱なのか発達障害なのかモラハラなのか境界性パーソナリティー障害なのか性依存なのか、それとも元々が精神病質だったのか(だぶん全部だった、その全部が絡み合っているのが精神病なんだ)

そして誤った子育てをした結果、大切な子供をモンスターにしてしまった親が、なぜどこまでも無自覚なのか(無自覚な親だからこそなのだ。自分の責任に気が付いている親なら、ここまで子供を追い込むことはしない)

本当に私の知りたかったことがここに書いてあった。読むのにだいぶ体力のいる本ではあるけど、この本を生み出してくださった押川剛さん、鈴木マサカズさん、岩坂朋昭さんに心からの感謝を捧げたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?