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【気まぐれエッセイ】自分より若い子が言う「歳とったな〜」について思うこと

あなたが初めて「歳とったな~」と感じたのは、またそう言い出したのは、いくつのときだろう? 10代の頃から口癖のように言っている人も、いくつになってもそう感じない人もいるんだろうけど。


私が中学生の頃、一足先に高校生になった2つ上の先輩が、昨年まで自分も着ていた制服を着ている私たちに向かって「若いね~。歳感じるわぁ」などと言っていた。私はそれを内心笑っていたのをよく覚えている。

あぁ、言いたいんだなぁ(笑)って。

10代、20代前半の子が言う「歳とったな」は、すべて「私(俺)、もう大人だから」に変換できる。


そういうカッコつけとは別で、本当の意味で年齢を感じ始めるのは、早い人だと20代半ばを過ぎた頃ではないだろうか? それくらいの年頃から、良くも悪くも「もう若くないから」と本気で言い出す同年代の友人がちらほら出てきた。

だけど幼い頃から大人への憧れが強かった私は、25歳を過ぎてもまだ、自分を大人とカテゴライズすることにすらどこか気恥ずかしさを感じるほどだった。それは中学生の頃、先輩の「歳とった」という言葉にこっぱずかしさを感じていたことや、子どもの頃、お化粧してみたはいいけど大人に見つかると恥ずかしかったのと同じ意味で。

「背伸びしちゃって」って揶揄が、どこからか聞こえてきそうな気がしてさ。


それくらい私は大人に憧れていたと同時に、いつか必ず失われることは分かっているはずの ”若さ” については、当たり前のように感じていたんだ。


そんな私が初めて年齢を感じたのは、29歳のとき。29、30歳の2年間は、歳を重ねることに対して初めてネガティブな感情を抱いた。そんなモヤモヤはいつしか通り過ぎて、31歳の今、ようやく自分を「大人」と表現することを、気恥ずかしくも、また得意にも思わなくなった。数年前まで ”若い” ということに対してそうだったのと同じように。


そして気づけば、自分より若い子が「歳とったな~」と言っているのを耳にする機会が増えていた。

それを聞いて少し前までの私(厳密には29、30歳のモヤモヤ期の私)は、「じゃあ、彼女たちの目に、彼女たちより年上である私はどう映っているのか」と思ったものだ。もう人生終わっていると思われているのだろうかと。なるべく彼女たちの視界に映りたくなかった。また彼女たちのセリフを聞いてそう感じている私を、私より年上の人たちはどう思っているのだろうとも考えた。

そして、なら、自分の年齢に焦りを覚えている私は、私より年上の女性たちをどう思っているの? と問うてみた。


で、出た答えが、特になんとも思っていない、だった。


いくつであろうが、男であろうが女であろうが、老若男女問わず人は、自分のことで精一杯なのだ。30歳の人を見ているのと、自分が30歳になるのとではまるで話が違う。

素敵な年上の女性を見て、「あんな大人素敵。あんなふうに歳を重ねたい」と憧れていたのに、いざ自分がその年齢を迎えるとなると受け入れがたい。そんなものなのだ。

そのことに気づいてから私の中で何かが吹っ切れたようだ。自分より若い子が言う「歳とったな〜」について、私は特に何にも思わなくなった。



P.S. 10年後、20年後の私がこの記事を読んだら、「背伸びしちゃって」と笑うだろうか。





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