見出し画像

山梨県中央市「輪になろう中央市民のつどい」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、テレワークなどオンラインを活用した働き方が広がりをみせ、これをきっかけとし、国は目的としていた「都市集中型」社会から「分散型」社会の転換を図りました。

コロナ禍中期までの2019年~2021年において、東京都の転入超過数は減少しましたが、神奈川県、埼玉県、千葉県など東京近郊の県や、大阪府、福岡県、北海道など人口の多い都市部を有する道府県は転入超過数が増加し、山梨県や栃木県、茨城県などの地方では転出超過幅が縮小するという変化となりました。

このデータから見てとれるように、東京都への一極集中は収まりをみせたものの、首都圏や第二都市の人口が増加するという、首都圏および第二都市への「分散型」社会となり、地方の人口は、変わらず減少の一途をたどっています

当初、コロナ禍における「分散型」社会への転換は、地方にとって大きなチャンスでしたが、結果として、今も地方の力は弱いままに、人口や財源は非常に苦しい状況が続いています。

前置きが長くなってしまいましたが、今回は学生ボランティアとして参加した、山梨県中央市の「輪になろう中央市民のつどい」という地域イベントを通じて、地域活性化の可能性について書いていきたいと思います。

1. 山梨県中央市

中央市は、釜無川、笛吹川の一級河川に挟まれる形で位置しています。

田園や山などの自然環境が豊富な環境で、トマト、なす、きゅうり、スイートコーンなどの農産物の栽培 しています。
また、スイートコーンの「ゴールドラッシュ」は全国各地から買いに来る方も多く、中央市が誇る特産品と言えます。

その一方で、都市機能を併せ持っています。
医療施設には山梨大学医学部附属病院があり、商業施設には大型商業店舗があるため、地域住民にとって暮らしやすい地域となっています。

流通、工業団地や食品工業団地など、商工業集積地としての一面もあり、雇用にも富んでいます。

2027年には、先行開業が予定されているリニア中央新幹線の「山梨県駅(仮称)」が中央市に隣接することが決まっており、各方面からのアクセスがしやすくなります。

2. 「輪になろう中央市民のつどい」

中央市には、子どもから高齢者、障害者、外国籍の方など様々な人々が暮らしています。
中央市は特に日系ブラジル人や在日ブラジル人の方が多く居住していることが特徴であり、「フェニックスブラジル」というお店ではブラジルの食材やお弁当、お菓子などを販売しています。

そこで、中央市社会福祉協議会が主催となり、人や文化の違いを認め合いながら、ネットワーク(輪)を広げ、皆さんがより住みやすい中央市を築くことを目的としたふれあいの「場」として、「輪になろう中央市民のつどい」を企画されました。

イベントでは、地震体験をはじめ、手話や点字、昔ながらの遊びなどの体験から、中央市の食材を使った食べ物、中央市で活動するサークルや団体による発表など、皆さんが楽しめる充実した内容となっています。

輪になろう中央市民のつどい|社会福祉法人中央市社会福祉協議会|福祉事業|山梨県|中央市

3. 当日の様子

コロナ禍のため、開催が中止されていたこともあり、4年ぶりの開催ということで、来場者数は1,000人を超える盛況ぶりでした。

市内外から親子連れや友達同士で遊びに来た小中学生、お孫さんを連れた高齢者の方々。
さらに、外国の方々も多く来場されていました。

大学生をはじめ、小中学生の学生ボランティアも参加しており、学生さんとの交流を通じて、今の学生さんたちを知ることができ、楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

そして、今の学生さんたちは本当にすごいです。

3-1. 学生ボランティア

小学生のボランティアの子たちは、礼儀正しく、毅然とした態度で対応してくれました。
気配りも完璧であり、何よりも一生懸命な姿に心を打たれました。
また、保護者さんが遊びに来た時に、誇らしげに頑張っている姿を見せようとするのも愛くるしかったです。

中学生ボランティアの子は、コミュニケーション能力に長けており、小学生や大学生、大人とも会話を弾ませていました。
また、1日の中で、部活だけじゃなく、習い事もやっていて、勉強時間も確保した上で、しっかりとドラマや流行のコンテンツも追っていました。
中学生はこんな忙しいスケジュールで活動しているのかと驚きました。

大学生ボランティアの方たちは、来場者に対しての接客対応のスキルはもちろん、付加価値としての気遣いまでさらっとこなしていました。
将来設計に関しては、自己分析を踏まえた自身のキャリアモデルについて詳細に設計されているだけでなく、高校時代に資格を取得するなど、すでにステップアップを実現し始めているという行動力も備えていました。

どれも自分と比べてしまいおこがましい限りですが、それでも本当にすごいなと感じたので書かせていただきました。

3-2. 様々な体験

社会福祉協議会や実行委員会の方々が中心となり、市の協力も得ながら開催されている「輪になろう中央市民のつどい」では、子どもから大人まで様々な体験をすることができました。

災害対策・体験として、山梨県立防災安全センターの地震体験車や災害ボランティアによる避難準備体験をすることができ、中央市での震災や水害に対して対策を考える貴重な機会でした。
近年、震災や水害など自然災害が全国で発生しており、今の時代において、災害対策は必要不可欠であるため、こちらの体験は大変にありがたいです。

障害者とのコミュニケーション手段として手話、点字の体験もできます。
点字では実際に自分で点字を打って読むという体験ができるため、仕組みなども理解することができました。
また、点字には日本語だけでなく、数字やアルファベットも、かぎ括弧などもあり、点字のコミュニケーション手段としての深さを知ることができました。

高齢者との交流もあり、昔ながらの遊び体験として、コマづくりなどがありました。
他にもけん玉や缶ぽっくりのようなものも体験できるようでした。
昔のおもちゃは非常によく考えられて作られていて、昔の人の知恵には驚かされるばかりです。

飲食では、障害者が働く就労継続支援A型事業所で生産された菌床しいたけが販売していたり、ブラジルのお店で販売している商品が紹介されていたり、地元で飲食店を経営している方が手作りお弁当を販売しているなど、食べ物を通じて中央市を知ることができました。
キッチンカーも複数台設置されていて、よりお祭り気分を味わえました。

3-3. 地域サークル・団体の発表

イベントでは、ステージが用意されており、地域で活動する外国人のサークルや高齢者の団体、小学生のスクール、保育園児などによるステージ発表がありました。

幅広い年齢層で様々な分野の発表であり、どの時間帯でも楽しく飽きさせない演出が施されていました。

炎天下の中、ステージの上は熱かったと思いますが、どの発表も素晴らしいクオリティで感動しました。

4. 地域活性化の可能性

今回、「輪になろう中央市民のつどい」に参加し、中央市の力を直接肌に感じました。

中央市社協を中心とし、実行委員会や小中大学生のボランティアが一体となってイベントを運営し、行政や地域で活動する団体、飲食店、事業所などが多数参加し、イベントを盛り上げました。さらに、幅広い年齢層や世代、外国の方々も多く来場してくれて、中央市全体で素晴らしいイベントを実現することができました。

しかし、中央市の人口を考えると、今回の来場者はまだまだわずかであり、イベントが認知されていないということが分かります。

そして、地域活性化の可能性は、地域で暮らす住民が地域のことをどれだけ知っているかに掛かっています。
住民が地域を知るということは、地域の現状、問題を把握するということであり、実情を理解することで活性化に向けた対策を講じることができます。

地域を知る機会の1つそれが、地域イベントであり、実際に参加することで幅広い世代の方との交流社会資源を視ることができます。

まとめ

全国的に人口が減少している地域は多く存在し、地域活性化に向けて取り組んでいるかと思います。
しかし、多くの方はその取り組みを知らず、一部のみが進めるため、持続性のない取り組みとなってしまっています。

まずは、地域住民に地域を知ってもらうよう行動を働きかけ、本当の意味で地域住民、地域の一員になってもらうことから始めていきましょう。

そして、住民は自分が暮らす地域をより暮らしやすい地域にするため、積極的に地域を知る行動をとりましょう。

ご高覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?