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内面は夜に隠され、不透明な奥行きが現れる

鴨川でぼうっと、月を眺めていると、気づく。
水鳥のシルエットが時たま浮かび上がる。
正体不明の虫がパタパタと空を飛ぶ。
 
はてあれは何だろうか?
知りたくなる。
その正体を、そのシルエットの向こう側を覗きたくなる。
どんな鳥も虫も、月の下にいるものはみな奥行きのあるように見える。
いま目に移るその向こう側に、広がっているであろう何かを知りたくなる。
暗闇に光るネコの眼のような、キラッとしたものが見たい。
 
 
 
知りたい。知りたい。知りたい。
逃さないように、急いで飛びついて捕まえてみようか。
 
 
いや、いけない。
そんなことをすれば彼らはずっと黒のマントを羽織ったまま、拒絶の仮面を被ってしまう。
そうして、今後、その先を知る喜びは、それを得られる機会は、永遠に失われる。
 
 
待つのだ。
じっと堪えて、その時がやって来るまで。
あるいは、パンでも買ってきて彼らの興味を引く。
そう、これまでとは一変して、彼ら側からの興味の視線がこちらに向いてくる。
そう、そう、そう、慎重に。
 
 
その内に自分の興味がなくなってしまったなら、それはそれでいい。
どうってことなかったということで、いい。
その時はその時でまた他の面白いことに目が向いているはずだ。
 
 
内面は夜に隠され、不透明な奥行きが現れる。
僕の鼻から出て行く白い煙だって、5秒もしたらどこかへ消えていってしまう。
(煙に奥行きはあるのか?)
なんとも巨大な、1000mもありそうなプールが見えて、興奮して飛び込んだそこは水のない空っぽのプールで、寂しく残念な想いをすることはある。
何にもなさそうな砂漠に、一輪の飛び切り綺麗な花が咲いていることだってある。
夜に艶やかに舞う虫も、光を当てればその正体は蛾であることだってある。
 
なんだって、ある。
なんだって、あるのだ。
だから、見てみる。ひとまず、見てみる。
それからそれから。
 
夜に隠された繊細な内面は、ふいに壊れることもある。
慎重に、慎重に。

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