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恋愛短歌②

経験を積んでいくことでしか、恋愛面での成長は得られないように感じる。でもそれは同時に「慣れていく」ということでもあるよね。十分な恋愛経験を積んでしまったら、初恋の甘酸っぱさを思い出すのにも苦労するようになる。まぁでも青春に日々に感じた切ない気持ちを保存しておく方法はいろいろある。インスタで写真を投稿するなり、ツイッターで赤裸々に語るなり、短歌詠むなり。

①「かっこいい」と君に言われて
ついガッツポーズするかっこよくない男

素直に、かっこいいと言われるのは嬉しい。言われて嬉しい形容詞ランキング1位だ。ちなみに可愛いと言われるのも嬉しい。こちらは4位だ。別に誰に言われても等しく嬉しいが、意中の人に言われてしまうと申し訳ないが他の「かっこいい」はアンモナイトの化石ばりに色褪せた言葉に感じてしまう。そんな最高の「かっこいい」を受け取ったら思わず大はしゃぎしてしまうと思うが、本当にかっこいい奴はそこでもクールに努めるんだろな。僕はそうはなれないので、「おっしゃあ!」と誰も見てないところで声に出して言う。

②「また電話しよう」と言わなかったこと
後悔したまま大人になった

僕は学生なので、夜中に電話とか寝落ち通話とかガキっぽいことをするのが好きな年頃だ。僕の大好きなOne Directionの“A.M.”という歌にも“Won't you stay 'til the A.M.? All my favourite conversations always made in the A.M”(日付が変わるまで起きててくれない?僕の好きな会話はいつも日付が変わってから生まれるから)という歌詞がある。夜中の会話は1Dも言う通り楽しい。午前3時ごろのテンションはまるで魔法がかかってるみたいだ。でも一旦眠りについて魔法が解けると、そうそうまた同じ人と電話をするきっかけは生まれない。せめて前の通話で「また電話しようね」とか言っておけばこんなことにならなかったのではないか。あの時そう言っておけばまた電話できて、もっと仲は発展してたかもしれない。そんな後悔を抱えて年月は経ち、大人になっても忘れられないままでいたりする。

③ねえ君は一度も「好き」と言わないが
どうして僕の部屋で寝てるの

「付き合おう」って話にならないのに体の関係だけあるのはもうそれは恋人候補でもなんでもなくただのセフレだという話をどこかで聞いた。言わんをや、「好き」とすらも言われてなければそれは恋愛の関係には全く至っていない。そんな恋愛関係でもない相手の部屋の、相手のベッドで寝る気持ちはあまりわからない。でもなんか、エモい関係なのかもしれない。こっちは恋愛感情あるからそう感じるだけかも。


④花火よりしっかりと目に焼き付けて
おくべきものが隣にあった

花火は、言ってしまえば炎色反応観察でしかない。じゃあなぜ人は花火を見たり花火をするのかといったら、花火を「体験」するためだと思う。誰と行くにしろどこで見るにしろ何をするにしろ、花火を見た・したという思い出を手に入れんがために人は花火に惹かれるのではないか。恋人と花火を見に行けば「恋人と花火を見た思い出」が手に入る。だからぶっちゃけ花火自体に価値はそんな無さそうだ。もっと価値があるのは、一緒に花火を観に行った恋人のはずだ。花火は来年も見れる。でも来年も恋人と見れるかはわからない。花火を思い出に残そうとするより、花火を見る恋人の顔を目に焼きつけておいた方が、価値のある思い出になるんじゃないかな。

⑤君という素敵な人にふさわしく
なかった自分を抱えて生きる

「別れよう」って言う側も言われる側も、きっとその責任は自分にあるってまず考えると思う。言う側は「君はこんなに素敵な人なのに、ごめん」とか、言われる側は「君の理想の人になれなかった、ごめん」とか。こうして迎える破局は、ほんとに、ほんとに悲しいと思う。きっとその時感じた責任は時と共に薄れていく。そんでもってそのうちいい巡り合わせが来る。その時まで、もしかしたらその時が来た後も、大事だった、素敵だった人にふさわしい相手になれなかった「自分」という存在を抱えて生きていくことになる。

最近、友人カップルが別れたんだが、彼らの事を考えて最後の⑤の短歌を見ると泣きそうになる。どんな気持ちで世の中の人は、恋愛を乗り越えていくんだろう。失恋は何歳になってもきっと慣れない。

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