現代文というサバイバルスキル - 大学受験編
ぼくはボランティアで大学受験を教えています。
最近、現代文を教えはじめたのですが、自分でもほとんど忘れていた大切なことを思い出しました。それは大学受験において文章を構造的に読むと言うことを考えた時に、英語と現代文ではそもそもの試験の前提として下記の大きな違いがあるということです。
英語 : 全体の構造が掴みやすい問題が出る
現代文 : 全体の構造が掴みにくい問題が出る。部分の構造を掴まなければならない
これは原因は明らかで、現代文は日本語がネイティブの生徒を主な対象としたテストだからですね。要は英語の方はある程度全体の構造が掴みやすい文章を出題者が選んでいるわけです。一方現代文の方はそもそもネイティブを主な対象とした試験なわけですから、容易に全体の構造を掴めるような文章では試験になりません。
さらに平たく言ってしまえば、あまりに当たり前ですがこういうことです。
英語 : ネイティブが読んだら、あっという間に文章全体の構造が掴めてしまう
現代文 : ネイテイブが読んでも難解で、文章全体の構造を掴むのは難しい
大学受験で出るような英語長文は、全体の構造の種類が大抵30種類程度で、それを覚えてしまえば論理展開などは予測出来てしまえます。が、現代文だとちょっと別の構造をしています。全体の構造の種類で捉えようとすると、それは膨大な数となります。論理展開を分類しようとしている本も見受けられますが、それは「うまくいくときもある」程度の方法論でしかありません。現代文は文章全体の構造を容易に掴むというのは難しいのです。
文章全体の構造を掴むのは難しい時にどうしたらよいのでしょう、部分の構造を掴むことをやればいいですね。困難は分割せよ by デカルトなわけです。
ところで、なぜこれほどいちいち面倒な手順を踏まなければならないのでしょう。それは「人間の頭は一度に沢山のことを同時に考えられない」からです。試験を突破するということを考えた時に、この重要性は計り知れません。ぼくは富田一彦 さんの『試験勉強という名の知的冒険』を読んでいた時に次の一文を読んで、「いや、流石の観察力だな」と心から感心しました。
トップ層の高校生は、自分の頭がすぐいっぱいになってしまうことを知っているだけなのだ
これは凄く大事なことです。トップコンサルタントは「人間の頭は一度に沢山のことを同時に考えられない」というルールは必ず遵守します。これは絶対に守らなければいけない前提条件として、すべての物事や会議を進行させます。この本は凄く面白いので、一読を勧めます。
要はここで出てくるような「部分構造」の特定を丁寧に丁寧に行っていく必要があるということです。
こういったことをゼロから学べるような本がないかとちょっと本屋に行ってみた所すぐにこの本が見つかりました。
とにかく構造が見えきっているというのが重要です。構造が見えきっていたら、背景知識と語彙力の問題です。これは英語において、英文法が体系として完全に身についていたら、ぶっちゃけ後は単語力だけというのと非常に似ていますね。そこさえ完璧なら、読解は後からいくらでも対応出来ると言うのが実態でしょう。
ところで国語力というのは社会人にこそ重要ですね。社会人版はこの3冊がとてもオススメですが、これについてはまた解説します。
・東大入試に学ぶロジカルライティング (ちくま新書)
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・論理トレーニング101 野矢茂樹
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