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夜のホームで見かけた可愛い女性がカッコよくて

去年の冬のこと。クソみたいな案件の、カスみたいな納期が近づいていて毎日のように終電近くに帰宅していた時だった。錦糸町のホームで電車を待っていると、素敵な格好をした女性が目に写った。
とても可愛い女性だった。冬の寒い時期、しかも夜中である。どう考えても寒いを通り越して痛いの域に到達しているだろうに、足を晒して厚底の靴を履いていた。
モデルのように細く、でも健康的な体型。誰が見たって「おしゃれ」だと思うであろうその姿に僕は驚愕した。
凄いと思った。この女性から滲み出る努力が伝わってくるように感じた。服装をあれこれ考えて、スタイルを維持するために努力して、寒い中でも平気なように真っ直ぐ立って…顔はよく見えなかったけど、おそらくメイクも時間をかけてこだわっているのだろう。
自分を可愛くなるための手間を彼女は惜しんでいなかった。そんな女性が凄くキラキラして見えた。カッコいいと思った。
その時の僕は、多分ひどい格好をしていたと思う。下手すればジャージにパーカーだったかも。流石にどんな格好をしていたかは覚えていない。
けど酷く惨めというか、凄く情けない気持ちになったことはよく覚えている。
仕事が忙しいからと、自分には縁のない話だからと、そうやって言い訳と諦めで酷く見すぼらしい自分と、自分のために投資をしている女性。
僕もそんな風になってみたいと思った。その時はまだそれで行動に出たわけでは無かった。でも、そんな生き方をする人達が羨ましくて、憧れた。

今僕がおしゃれを目指す意味。黒っぽくて、カッコよくて、可愛くなるための努力。今まで、なんでそれを目指しているのか自分でも分からなかった。
ふと寒さに体を縮こませた時、あのときホームの階段を登った先で見たあの素敵な女性の光景が目に浮かんだ。あの時見たカッコいい女性が、多分僕がオシャレになりたいと思う出発点だったんだろう。
自分でやってみて改めて分かる。自分を可愛くするためにはお金も時間も手間もかかる。努力がいる。順調には中々いかない。
だけど、僕は僕を好きになりたい。あの日見た逞しい彼女を追いかけて、今日も息を切らしている。

可愛いはカッコいいよ

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