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週刊金相場展望 2021年8月23日号


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投資日報社の代表取締役社長であり、サイクル分析の大家でもある、鏑木高明が毎週執筆を行っている金相場展望のレポートとなります。

鏑木高明 プロフィール
関西学院大学経済学部卒。1995年に世界的に著名な米国のマーケットアナリスト、レイモンド・メリマン氏と提携、国内初の相場サイクルとアストロロジーレポートを発行。


現在、投資日報社 代表取締役 

投資日報出版 代表取締役

(株)ワカバヤシ エフエックス アソシエイツ取締役、日本テクニカルアナリスト協会会員。


サイクル、アストロロジーを活かした相場分析には定評がある。
投資日報α編集長


米カンザスシティー連邦準備銀行は20日、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた措置として「ワイオミング州ジャクソンホールで対面形式での開催を予定していた経済シンポジウムについて、オンライン形式に変更して27日に開催する」と発表。パウエルFRB議長は27日、オンラインで経済見通しに関して講演する予定。


 この変更は、FRBが感染力の強い新型コロナの変異型「デルタ株」をかなり警戒していることが判る。実際、米ダラス地区連銀のカプラン総裁は20日、感染力の強いデルタ株が経済に与える影響を注視しており、経済成長が大幅に鈍化するようであれば、金融政策に関する自身の見解を「多少」調整することもあり得るとの考えを示したという。大方の市場の見方ではFRBは年内にもテーパリングに着手すると予想しているが、大幅な縮小になるとは想定していないようだ。このあたりが、今回の議長講演でどこまで市場は織り込むか、注目される。


 10年債利回りは変動幅が大きくなりつつあり、今月に入って、テーパリングを織り込み始めたものの、12日1.379%を付けた後はデルタ株の感染拡大を受け低下傾向を強めている。冒頭で述べた経済シンポジウムのオンライン形式への切り替えは、金融政策への多少のヒントを与えるかも知れない。つまりFRBはデルタ株の感染拡大が経済に多少なりとも、負の影響を与えるのではとの懸念を強めていると考えられる。


NY金相場は8月に入っての金利の動きに素直に反応している。言うまでもなく金相場は、金利上昇に対してインフレ懸念が芽生えるまでは弱気に反応する。金利は4日1.127%とダブルボトムを付けた後は、テーパリングを織り込み始めた12日にかけて急上昇し、その間、金相場は4日の高値1,800㌦台から9日にかけて1,676㌦と今年3月以来の安値まで落ち込んだ。


しかし金利が12日に頭打ちして以来、金相場は反発に転じ、先週は1,800㌦近くまで上昇。テーパリングに対する金利上昇分を金相場は9日の下げで織込んだと言える。そして今週、オンライン形式での経済シンポジウムのパウエル議長の講演がFRBの金利政策に関して、ある程度の道筋を付けるヒントを提供してくれると考えられるが、その内容次第では金相場は上にも下にも行くだろう。筆者はかなりハト派のコメントが出るのではないかと期待しているが、その場合1,800㌦を超えてくるだろう。 


一方、ドル指数は先週、年初来高値を付けた。これは金相場に対しては弱気に働く。先週、金相場が1,800㌦の抵抗を超えられず、停滞した理由の一つに、ドル高の影響もあったと考えられる。しかしドル上伸に対する金の急落は免れ、それは先週の金利低下分でドル高が相殺された形になった。

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