見出し画像

何銘柄投資するのが最適?

個別株に投資する中で悩むのが「投資する銘柄数」です。

1.「分散投資は無知へのヘッジ」という言葉の意味

一般的には
<集中投資>
・価格上昇による上がり幅が大きい
・効率よく資産上昇するので、資産を拡大するのに向いている
・マイナスの影響も受けやすい
・倒産リスクが大きい

<分散投資>
・価格上昇による上がり幅が小さい
・資産の上下動が少なく、資産を維持しやすい
・倒産リスクが小さい

などの特徴がありますが、個別株に投資する投資家は集中投資を志向している方が多い印象です。

集中投資派の根拠としてよく挙げられるのがウォーレン・バフェットの発言
「分散投資は無知へのヘッジである」

というものです。企業分析・研究をして自信のあるのであれば資金を集中させたほうが良いというもので裏を返せば、「自信がないのであれば分散投資をした方が理解不足をヘッジする」ということ(だから、バフェットは同時に自信がないのであればS&P500(インデックスファンド)に投資すれば良いと言っている)なのですが、集中投資をする方にとってバフェットの発言は支えになっているようです。

あのバフェットがいうのであれば間違い無いであろう。というやつです。

また、ピーターリンチも著書「ピーター・リンチの株の法則」で個人投資家に最適な投資銘柄数として「5銘柄」という数字を出しています。

管理できる銘柄は限られているのだから多く持ちすぎない方が良いというのが5銘柄の理由ですが、同じ本でセント・アグネススクールの講師が10銘柄程度に分散させた方が良いと述べたことを紹介したり、別の著書「株で勝つ」では5銘柄とは断言せず3〜12銘柄程度と幅をとっています。

とはいえ、世界的投資家が5銘柄と言っているのは効果絶大で、支持している方が同じく多いです。

成長株投資の第一人者、ピーター・オニールも多くの銘柄に投資することには反対しています。ある程度資産が拡大するまでは自信のある1,2銘柄で良いとの考え方です。

さらに、バフェットに多大な影響を与えたフィリップ・フィッシャーも多くの銘柄を保有することには反対の立場で、分析をしっかりしているのであれば少ない銘柄に資金を集中させた方が良いという主旨のことを述べています。

2.銘柄数を絞ることによる「弊害」

一方で分散投資も多くの方に支持されています。

インデックスファンドは言わば究極の分散投資と言えます。
VTやe-Maxis Slim全世界株式に投資すると8000銘柄に分散したことと同じ効果が得られます。

分散投資最大の特徴は「1銘柄の影響を強く受けすぎない」こと。1つの銘柄の極端なパフォーマンスに一喜一憂することなく投資できることがメリットです。

このためインデックスファンドに投資する方はこのメリットを享受するべく、特定のインデックスファンドに集中的に資金を注ぎ込むことになりますが、投資額が拡大しても8000銘柄に分散していると思えばそれほど不安にはならないと思います。

この「投資額が増えることの不安感」が集中投資派の課題だと思います。

最初は例えば100万円を5銘柄に分散した場合1銘柄20万程度ですが、1000万円まで増えると1銘柄200万まで膨らみます。

200万円投資して50%ダウンすると-100万円。これを放置するのは勇気が要ります(投資法によってはこれでも我慢しないといけません)。

銘柄数を絞る、あるいは上限を決めて投資する場合、投資資金が増えるほど
・1銘柄あたりの投資金額
・投資銘柄数の上限の見直し
・許容できるマイナス額の再設定

など考慮点が増えていきます。

これを負担だと感じる方もいると思います。

3.分散投資の「デメリット」

ここまでは集中投資のデメリットを書いてきましたが、分散投資もデメリットはあります。それは「資金拡大ペースが抑えられてしまう」ことです。

例えば100万円を20銘柄に分散させると1銘柄の投資金額は5万円となります。

仮にこの銘柄が2倍になったとしても5万円が10万円になっただけなので、なんとなく失敗したなと感じてしまうと思います。

投資初期段階は特に元手が少ないので、上昇幅・上昇額に気を取られてしまうことが多くなり分散投資のデメリットの部分を強く感じてしまうことになります。

分散投資をする場合、「時間をかける」ことが必須です。極端な言い方ですが生涯に渡って投資をするぐらいの心構えでじっくり増やしていくことが求められます。ある意味状況と性格によっては困難な投資方法とも言えます。

4.投資銘柄数についての一定の結論

では、集中投資・分散投資どちらが良いのでしょうか。

私の意見は「分散投資が望ましいが、銘柄数にはこだわりすぎない方が良い」です。

集中投資は企業分析・投資先への理解度の深さが求められます。成功した投資家が共通して集中投資の理を説いているということは裏を返せば「このレベルに達するまでは集中投資をしたらいけない」とも読み取れます。

バフェット、リンチ、フィッシャーぐらい投資に対する理解が深まらないと銘柄を絞り込むのは困難。一介の個人投資家がそのレベルに達するのは難しいと判断し、無知の部分をヘッジするために分散させた方が賢明と考えます。

さらに個人投資家が調査・分析するレベルには限界があります。
個人投資家が知り得る情報には限界があり、さらにその情報は機関投資家など「資金を持っている投資家」は既に知っているものです。

小型株であれば機関投資家は手出しできないという意見もありますが、小型株は不安定で将来の不確定要素が大きいもの。だから当てると大きいのですが、当たるかどうかは全く読めないものです。読めないので、小型株メインだと自然と複数の銘柄に分散することになると思います(不安を和らげたいと思うため)。

理論的には等しいパフォーマンスである場合
・良い銘柄に10銘柄投資する
よりも
・良い銘柄に100銘柄投資する
方が当たり前ですがパフォーマンスが上回るので、銘柄数は多い方が良いと言うことになります。

また、自分の中で一番重要だと思うのが「投資はなるべく継続すること」だと思います。株式は時間をかけるほどに上昇していく商品という前提があるので、「長続きするやり方」を模索することは投資を継続することに繋がり、結果的に上手くいくものだと考えます。

ゆえに分散して個々の銘柄の良し悪しの影響を抑えた方が良いということなのですが、一方で投資する銘柄数にこだわりすぎるのもよくないと考えます。

先ほどの例では無いですが、例えば30銘柄に投資すると決めた場合「31銘柄目の投資候補」が出た場合、諦めたり入れ替えたりするのかという話です。上限があることで入れ替えるのは合理的な判断ではありません。

この画像は分散投資の限界効用で、これは「銘柄数に上限を設けるべき」論の支えにもなっている(分散しすぎても効果がなくなるので避けるべきという意見)のですが、見方を変えると「50〜60銘柄は持っても良い」と言うことなので、大半の個人投資家はまずここを目指すで良いと言うことになります。私も50銘柄当面の目標としていますが、それ以上増やしても良いとも考えています。

50銘柄を保有すると言うことは1銘柄10万円程度でも500万は必要です。日本株を単現株で50持ったら、よほど価格が安い銘柄ばかり集めない限り1000万以上になると思います。

分散することで、リスクは低減されます。インデックスのように銘柄数を増やすことで長続きするだけでなく、持っている銘柄の中で2倍・3倍・・・10倍となる銘柄が出てくる楽しみも味わえます。

長く投資して、良い銘柄を発掘する楽しみを味わい尽くした方が良いという考えから「上限を設けない分散投資」をお勧めします。

(おまけ:その1)


インデックス投資は究極の分散投資であり、究極の集中投資だと思います。
先ほど述べた通り、VTに投資すれば8000銘柄に分散したことになりますが、自分が買ったものはあくまでVTのみなので、見方を変えると「VTに集中投資」していることでもあります。

投資効果は分散投資と同様ですが、目に見えるものは1つの商品のパフォーマンスなので「1つの商品のパフォーマンスに一喜一憂されやすくなる」というデメリットを引き取ることにもなる点は注意が必要です。

(おまけ:その2)


以前はこの本のような集中投資がトレンドでした。
この本は小型株の1銘柄集中投資から始めることを推奨していますが、これが成立するのはマーケットが安定して上昇している時のみであるということが、不安定になった時にようやく理解できるようになるというのが集中投資最大のデメリットだと思います。

「時既に遅し」の危険性があるということです。

よろしければサポートをお願いします。 頂いたサポートはより良い記事の執筆に活用します。