ありそうで意外と少ない観光コンテンツ① 展望テラス(デッキ)編
例えば、山から見下ろす景色、崖の上から眺める海の景色等、展望テラス(デッキ)があればいいなぁと思うところに意外とありません。
また山に行って、ちょっと見渡がいいところに、小さなデッキがあったりするのですが、「いい景色がここから眺められますよ」的な、あくまで遠くを眺める為だけに造られたもの。
いやいや、素晴らしい景色、そしてその雰囲気を味わいながらデッキというよりテラスでゆっくり過ごしたいですよ。
このように、「1つの目的でしか捉えていない」設備が作られることが非常に多いように思います。そういった意味ではベンチも同様で、「ただ休憩する為の設備」と言えそうです。
もっと「過ごす」を意識してもいいのではないでしょうか?
<日本平夢テラス(静岡県)>
いつだったか、隈研吾さん設計の静岡市にある「日本平夢テラス」という360度パノラマ展望回廊に行ったことがあります。
実はその横からロープウェイで久能山東照宮に行けるので、それが目的で行ったのですが、「何か変わった建築物がある」と思い寄ってみたところ、「日本平夢テラス」だったわけです。丁度TV放映があったようで、案外お客さんも訪れていて、建築物はもちろん、そこからの眺めは海や街、富士山も眺められ、最高のロケーションでした。確か夜も訪れることが可能で、そこからの夜景はさぞかしキレイなんだろうなぁ~と空想したのを覚えています。
しかしそこには飲食できる場所が1店舗のみ(?)だった気がします。自動販売機もあったか否か…周りは庭や公園のようになっているのですが、日差し避けのスペースもなくて…休憩できるベンチ類もない!?そういえばトイレもあったか否か…??
こんな立派な建物さえも、やっぱり「眺めるだけの施設」なんですよね。
展望台としてそれでもいいですが、問題はその周り(付随施設)ですね。
確かに周りには、商業施設(道の駅規模)がありましたが、あまり充実していなかったですね。日本平夢テラスの隣にあるとはいえ、歩いていくにはちょっと大変かな!?という印象でしたし。
自動車であれば他には日本平ホテルがあります。昼食を食べようと思って行きましたが、人がいっぱいでやめました。ただ、ホテルの庭はものすごく広く開放感があって気持ちがいい上、景色も富士山や清水の街、海が見られて最高です。寝転がっている人もいました。誰でも利用できるので、是非!
日本平夢テラス、せっかく立派で素敵な建築物で話題にもなっていたのにもかかわらず、ちょっとお粗末な感じがしてしまいます。その時はもしかしたら「これから」とも思いましたが、出来上がり具合を思うと、もうこれで完成形かな!?という感じもしました。
また「造って終わりかな…」と。
「有名建築家のテラス」で、その名前や作品に頼りきってしまって、確かに人は訪れて、新名所にはなったかもしれません。話題になっている内はいいですが、改善を重ねないと観光としては眺めて帰るだけの場所になりかねないなと思いました。
<横山展望台(三重県)>
三重県の横山展望台にも数年前行きました。
その展望台からは、英虞湾(あごわん)が見え、リアス海岸が一望できます。絶景です!かなり立派な展望台で、テラスも大きいので解放感が感じられ、時間を選べばいろいろな風情ある景色に変貌しそうです。
そこへは友人と行ったのですが、そのテラスに近い駐車場まで何故か行けなくなっており、それよりも坂を下った下の駐車場で駐車したので、行くまで少々大変でした。
カフェが1つありました。行った時にはやっているかやっていないかという感じで、利用はしませんでしたが…
休憩所もあって、休むことができる点は良かったのですが、ちょっと席が少ない印象を受けました。行った時には数える位の人しかいませんでしたので、それでも足りてしまうのかもしれません。お土産屋さんもあったかもしれません。
こんな絶景が見られ、展望台としてはかなり魅力的なのですが、ここもまた、演出がないなぁ~という印象でした。下の駐車場にも店舗はありました。その周りには確か植物園?公園?があったと思います。そこからトレッキングのような感じで、展望台まで歩けるようになっていたと思います。
ここもまた「景色を見に行っただけ」になってしまったような気がします。
「眺める」目的以外に「過ごす」を考えてもらえれば、何が必要かもわかってきて、人が集まる場になるはずですから企画の段階で意識してもらえたらなぁ~と思います。「絶景だった!」というだけの場所にしてしまわぬように、その記憶と一緒に残るドラマティックな何かがあったのなら、「素晴らしい場所から見られる絶景」となり、新たに人を呼び寄せるのではないかと思います。
展望テラスなら、デザインされた、あるいはアーティスティックベンチ、軽食でいいので飲食を楽しめるオシャレなカフェが「複数」あるだけでも、また違ってくるのにとよく思います。
展望テラスは観光コンテンツとして十分成立します。あとは「感動と共に充実の時間をどのように創れるか?」だと思います。