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地方観光振興×自治体

「観光振興×自治体」と言った時、その言葉(関連)に違和感を覚える人はあまりいないと思います。
しかし積極性のある自治体もあれば、消極的な自治体もあることでしょう。

自治体としては、「自治体を発展繁栄させたい」のそもそもには「税収を増やしたい」があるはずです。そう思っているにもかかわらず、民間の力での発展を願うだけでは…いつまでたっても変わっていきません。だからといって慣習的には「何かを起こす、始める」意志は起こりにくく、今ある仕事をきちんと遂行し、「現状維持=安心安全」と思っている人が多いのではないでしょうか?それはそれで大切なことです。時が進んでいく以上、現状維持でいるのにも、何もしないではいられません。自分にとって余計だと思うこと、これまで以上の負担は避けいたいという気持ちが先行してしまう人もいるのでしょうから、何かを成そうという気持ちも生まれないのかもしれません。中には「何かを成そう」と思っても、組織やシステムがそうはさせてくれないということもあるでしょう。「やっても無駄、ただの歯車、給料さえもらえれば…」という意識が芽生えないような組織体制やシステムが欲しいところです。これらは自治体に限ったことではなく、民間企業で働いている人も同じようなことが言えるのかもしれません。

<自治体の新しい役割>

自治体からすれば、私たちの目が届かないところで多岐の役割や業務があると思いますし、その上自治体内の様々な問題や苦情等が寄せられ、大変なこともあると思います。ここでは組織的慣習やシステムの話は置いといて、観光において自治体の新しい役割を考えたいと思います。
自治体において、観光振興となると、改めて組織(第3セクター)を作って~か、観光振興を生業とする会社への委託が多いようにも見受けられます。しかし、そのほとんどが「丸投げ」という気がしてなりません。アクションを起こしているのはいいことなんですが、問題は「その後」にあると思っています。
私はこれだけSNSが発展しているのですから、「過程」をなるべくアップするようなカタチで、自治体民に知ってもらうのがいいと思います。お堅いHPを作って終わりの自治体が多いですし、SNSの方が拡散しやすく、自治体民以外の関心も生まれやすいのではないでしょうか?ローカルTVで放映されればなおいいでしょう。
ところで、自治体「直」であっても、団体を通じてでも、「効果の検証」はしなくてはなりません。短期的、中長期的の施策ならば、その一定の期間内の検証が必要です。その検証によって、その後が大きく左右します。検証の上、意味がないところにお金や労力をつぎ込んでも、結局効果は生まれない可能性が高いと思われますし、何か改善していける方向を見出していけるかもしれません。

では、「自治体の新しい役割」についてです。
「自治体が自治体民に対して、観光振興を通して能動的な働きかけをしていく」という役割です。
「自治体観光振興産業振興」ということなら名目も立つでしょうし、その「きっかけ作り」や「実際の場を設ける」ことを推進していきます。自治体民に「チャンスの場」を与えていくのです。
こうした切り口から地方再生までも目指します。
これまでの自治体の仕事内容や慣習からすると、かなり突っ込んだ役割となるでしょう。

<観光振興の舵取りするのは誰?>

最初に結論を言えば、観光振興の舵取りはやはり「自治体」がすべきでしょう。「名目」的にも実際も、一番舵取りをしやすいと思うからです。
そして中心に動く人物を自治体の長が「指名」すべきです。
具体的には自治体の観光振興担当者か観光協会の誰か、あるいは観光コーディネーターや観光振興会社等の第3セクターになると思われます。
そして重要なのは、それ(観光振興)に携わる人選、会社選びです。
よくある募集要項で「熱意ある方、経験不問」等の記載が多く、誰もがチャンスがあるように思えて実際はそうではありません。その点では私自身、何度も苦い思いをしています。
結局のところは「経験者」に落ち着いてしまいます。確かにもっともらしいですが、そうであるなら最初からそう謳えばいいのです。どの業界もそうですが、求人募集はそういう傾向がありますね。ここが「日本的な嫌なところ」だと思ってしまいます。こういうところでの建前は、双方にとって時間の無駄です。そうであるならば、「オファーしてスカウト」の方がよっぽどイイと思います。
ところで、そうして選ばれたとして、その者達によって生まれた効果は検証されているのでしょうか?
また「変化」は、時としてあるアイデアによってや熱意ある者によって変わっていくことがることを忘れてはなりません。
そして変化を求めていくとき、実は変化を求める関係者も同時に変化(思考進歩)していかなければならないのだとつくづく感じます。

<自治体の利点>

自治体は、自治体が所有している物件を恐らく広く多く持っているはずです。
一般の者は、当然のことながら事業を行う資金を用意しなければなりませんし、事業企画、そして適当と思われる場所を探して…と言うような過程を踏まなければなりません。
自治体であれば、場所はあり、あとは予算(そんな簡単ではないと思いますが…)やシステムの問題だけです。観光振興や地域発展の為、観光になり得る周りの土地に観光商業施設を建て、あるいは使用頻度の低い自治体建築物をリノベーションして、賃貸するのです。
個人での開業は、何から何まで個人でしなければなりませんが、自治体がその一部を担うことで、個人の負担を減らす(より事業に専念する)ことができます。また地域に精通している自治体ですから、組織の利用や有益な情報入手(手段)が比較的容易にできる可能性もあります。これが継続的にうまくいけば、自治体民に起業精神が以前よりも増すかもしれません。
自治体の所有する土地でなくても、市営住宅方式で、土地を一括借り上げして、何十年かかけて使用料を払っていくという手もあります。
他には観光振興を進めていくにあたって、公平さを求められる自治体は利害関係が絡まない点があります。実際はかわかりませんが、そうであるはずで、そうしなければならないでしょう。それでも実際問題として、事業者同士の利害関係の問題や苦情というのは出現する可能性がありますが、なるべくそうならないよう広い意味でコントロールしていきます。

<一極集中は古いかも!?>

「観光振興」に限ったことではないかもしれませんが、一極集中はもう古いかもしれません。
特に地方では、駅前が繁華街というのがお決まりだった時代を経て、今はそうではなくなってきている地域があります。駅とは離れたところ(工場跡等まとまった土地があるところ)に、大型ショッピングモールが出現し、駐車場が無料であることからも、自動車社会の地方には人気があります。店舗数も揃えられ、見どころもあり、地方にはない都会的なエッセンスが少なからずあり、楽しめるからでしょう。そうしてほとんど有料駐車場の駅周辺は元気がなくなってしまっているという状況です。有料駐車場であるならば、大型ショッピングモール以上の魅力を放たなければ、かつての繁栄は難しいのかもしれません。
ショッピングモールは、ひいきのブランドや商品があればとても重宝します。大都市に行かなくても、そこで実際見て手に取ることができ、買えるわけですから。ジャンルもいろいろあって数多い店舗、冷暖房も効いており、何を買わなくてもウィンドウショッピングが楽しめ、ちょっとした食事等、時間を潰せる場所でもあります。
でも実際、そういったショッピングモールに行くというのも、実際飽きている人も増えてきているのではないでしょうか?ショッピングモール側も飽きさせない為に、新しい店舗を入れ替えたり、リニューアルしていますが、大して「珍しくない・魅力を感じない」という感覚に陥っている気がします。
あとは建物の外観や内装、構造が同じ感じなので、普通に目新しさという部分がなくなるのは当然かもしれません。それと大型ショッピングモールは、「無料駐車場付きのかつての駅前デパート繁華街」と同じ感覚です。違うところは、シャッター店がないことです。入れ替わりで空き店舗がまずありません。それをコントロールするのは会社であり、シャッター店がないことでその雰囲気(状況)は保たれています。
現在地方において、「駅前デパート繁華街→大型ショッピングモール→?」の流れです。駅前もそうでないところも同時に繁栄していればいいのですが、繁栄場所の移動に過ぎません。
人気店舗で繁盛している以外の個々の店舗というのは脆さも抱えており、「ダメになれば潰れていく→新しくできる」の繰り返しは世の常ですが、そう割り切ってしまうのも悲しく思えます。改善されて運営していけるのならそれはそれでいいはずです。また「潰れていく→次はない」という地域も結構あるのではないでしょうか?それが進行するとそうするとあからさまに「衰退」が感じら、皆の意識が離れていってしまいます。
観光者としては、よほどの目的がない限り、どこも同じような大型ショッピングモールに、あえて行こうとは思いません。
個人店舗では、大型ショッピングモールへの出店も難しいでしょう。またすでに観光街となっている地域も難しいのかもしれません。しかしこれからの観光街としてなら十分可能なはずで、少なくても集客面では個人だけで興すというよりはメリットがあると思います。
そういう観光商業施設の場を自治体が用意してあげることで、今まで民間起業が困難としていたいくつかの問題が解消されるはずで、「主として店舗で起業する環境を提供すること=自治体民(需要側も供給側も)の為」にもなります。

観光振興を掲げると、やはり「一極集中」的になって不公平感、そこに全てを押し込もうと無理が出たり、あるいは公平さを期すことに囚われ、全体を~というようなぼんやりとしたものになってしまえば、あまり変化が見られないような結果になってしまうと思います。
私はどちらも賛成できません。
そこで私からの提案です。

<地方自治体観光振興推進構想>

観光プロデューサー・クリエーター等(第3者)を交え、観光ビジョンや方向性、観光地になり得る場所意識して吟味決定。特に広域自治体であれば、複数の観光振興予定地を選定する。複数地であれば、もちろん自治体としての特色を踏まえつつ、その場所ごとに観光ビジョンを複数、あるいはテーマ分割することができる。それぞれに個性を持たせなければならない。
広域自治体であれば、一極集中ではなく、地域内(観光地となる主な場所)をぐるりと循環できるようなイメージ。また複数であるというのは、未来に対してある程度計画的に観光者の選択肢を増やしていく点にあります。一極集中では「点」であっても、複数であればそれらを結んで「線」に、その線が「面」になって全体的な魅力を向上させ、地域全体を楽しんでもらうようにするのがその目的。

複数地であれば、同時に進行していくか、順番に進行させるかは、自治体のキャパによって決定する。順番に進行させる場合であったら、次の予定地はいつ頃を予定しているかを予め明示する。明示しておけば、開業を望む人が、そこに向けての計画や準備をする時間的・金銭的・労力的猶予等が生まれる。それを望む人が多ければ選抜も考えられ、自治体としても効率がいい。自治体ならではの補助金助成金設定も考えられる。

場所や建物のキャパにもよるが、無料駐車場を必ず設置する。完全無料駐車場ではなくても、2時間までは無料というカタチでもOK。駐車場が確保できない場合は、公共交通機関に頼らざるを得ないが、地域内を網羅していなかったり、あまりに遠かったり、1時間に1本といような少ないダイヤ、交通料金が高いのなら、公共交通機関に問題点打診、難しければ諦めることも必要。公共交通機関が例えあったとしても駐車場を確保するべき。

予定地が決まったのなら、その場所のキャパを踏まえ、店舗数、店舗ジャンル、店舗規模を考慮(コントロール)しながら決定。賃料はなるべく安価に設定するか、売上%設定にする。一つの場所で、各店舗同一の会計士等にして管理する。その前に内外装他考えられることについて、自治体と事業者のどちらがどこまで行うか、どこまで変えていいか等を検討すべき。自治体がある程度用意した上で、あとは事業者が作っていく。このことは募集までの段階で決めておきたい。

具体的構想を自治体民に発表(予告)、事業計画(者)募集、プレゼン等を経て選抜、決定。事業計画募集前には銀行の融資担当者や経営アドバイザーによる講習があったら親切ですし、審査の上でも用意しておきたい。店舗の入れ替えをどのように行うかも決定しておき、周知。
自治体の慣習として、やたら手続きが面倒臭いという欠点があるので、簡略化、あるいは効率化していくのがベスト。

オープンに向けて推進。自治体は新建築物・最低限のリノベーション、システム等を完成させていく。
決定事業者はアドバイザーとの話し合い等調整を繰り返しながら準備を進めていく。
同時に具体的広報を進めていく。

オープン

オープン後、事業者は改善を重ねながら運営していき、その間にもアドバイザー等のサポートを受けられる。

自治体民の起業応援として、実際に事業スタート前からスタート後の想定としてアドバイザーを交えながら練っていくオープンなサービスやサポートにより、なるべく事業者の負担を減らしたり廃業をなくし、発展協力支援が得られる点を自治体が役割として担っていきます。

「自治体をいろいろな意味で伸ばす」提案です。

自治体にその気があり、真剣に取り組んでいきさえすれば、最初は手探りでも、その経験が後に生きてくるはずです。
トライ&エラーの繰り返しの中で、そういう取り組みを可視化し、住民へのアプローチを続ければ、さらに大きな力になっていく、そんな気がします。
自治体が率先して行っていくことで、自治体民がポジティブな(生き生きとした)方向へ進められれば、自治体としてプラスの効果が生まれていくと思うんです。評価されれば、「住みたい街」の名に上がるかもしれません。

観光は第六次産業。観光振興をかわきりに、第一~三次産業への発展波及、地域再生まで期待します。


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