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【第23話】静岡で現代版・東海道五十三次!?

こんにちは、旅する自転車です。
今週もよろしくお願いします。

第23話からは場所を変え、私の故郷・足立区を拠点に関東地方を周りたいと思います。サイクリングにぴったりの10・11月に、静岡と神奈川を巡ってきました。まずは2017年10月8-9日、静岡ツーリングのお話です。

げんこつハンバーグお願いします

朝6時前に自宅を出発し、JRを何本か乗り継いで9時30分過ぎに富士宮駅へ到着した。今回のプランは富士宮から海岸線に沿って西へと進み、景勝地を周りながら浜松を目指すというものだ。以前に富士五湖の方からJR富士宮駅まで走ったことがあったので、その続きという形でここからスタートする。静岡まで来たからには、まずは食べておきたいものがある。それが「さわやか」のげんこつハンバーグ。静岡県内にしか店舗展開していない、まさに静岡を代表する名物グルメだ。げんこつ大のハンバーグは牛肉100%使用で肉汁たっぷり。250g1155円という安さも魅力だ。駅から5㎞ほど離れた富士鷹岡店へ向かうことにした。開店前にもかかわらず、すでに店の外には客が数組並んでいた。まだ11時だったが早めの昼食を楽しみ、自転車に乗り南へと向かった。1泊2日の静岡サイクリングが始まる。富士宮駅を主発し富士駅を過ぎ、富士川沿いを走り新富士川橋で国道1号と合流した。国道1号の富士市から静岡市清水区を結ぶ区間は富士由比バイパスになっており、自転車走行不可のため道路の下を通る狭い道路を進んでいった。

山岳路線で知られる身延線の富士宮駅。駅前はそこそこ栄えている
中身を切ってみると牛肉本来の赤色をしていて、そのまま食べられるのだ
富士川河川敷を走る。10月の青空が気持ちい
バイパスに並走する下道は海岸管理用の道路らしく、車の走行はできないようだ

歌川広重が描いた東海道随一の名所

国道1号に並走する県道396号を走っていると、由比駅を過ぎた辺りで薩埵峠の案内標識を発見した。この薩埵峠が今回のプランの目的のひとつだ。駿河湾の向こうに雪化粧をした富士山が聳える風景は、歌川広重の浮世絵『東海道五十三次』でも描かれ、現在もポスターに使われることも多いので目にしたことのある人がほとんどだろう。海岸から約80mアップ。どんな景色が見えるか、坂を登って確かめに行ってみよう。さほど険しい道ではなかった。峠へ到着し、後ろを振り返って景色を眺める。富士山には雲がかかり裾野は隠れてしまっていたが、山のてっぺんは顔を出していた。浮世絵で描かれた景色ほどは美しくなかったが、それでも迫力十分なパノラマが広がっていた。

国道1号を左に見ながら、少しずつ標高が上がっていく
途中から一気に斜度を上げ、山の中へと入っていく
急な斜面のわずかな平地に東海道本線、国道1号、東名高速道路が走る

世界遺産・三保の松原へ

薩埵峠から17㎞ほど、続いてやって来たのは三保の松原。世界遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産に登録されていて、羽衣伝説の舞台でも知られる。駿河湾の向こうに富士山や伊豆半島を望むというが、残念ながら雲に覆われ見ることはできなかった。人で溢れた砂浜でしかなかった。三保の松原を過ぎてからは、見晴らしの良い平坦な海岸の道が続いた。国道150号に並走する形でサイクリングロードが整備されていて、とても走りやすい。しかし、進行方向から照りつける西からの日差しが厳しかった。すでに15時30分を過ぎていた。そろそろ宿を探さなくては。すぐにでも宿で休みたい気分だったが、明日走る距離も考慮し、ここから40㎞先にある牧之原市の小さな旅館を電話で予約した。なかなかハードなスケジュールだ。

三保の松原で富士山方向を眺める。これでけ見てもどこの写真かわからないだろう…
海岸沿いの道を抜け下川原の市街地へ。西日と向かい風のせいで、たかだか10㎞の移動に1時間あまり要してしまった

大崩海岸から焼津、そして牧之原へ

国道150号をそのまま進めば最短ルートで宿まで行けたものを、どうしても訪れておきたい名所があったため、回り道となる県道416号を走ることを選んだ。標高300m程ある崖が4㎞にわたって続く大崩海岸。その名の通り崩落が多く、現在は海上に架けられた橋で迂回する形になっている。橋やトンネルで断崖を貫く道路のため、アップダウンはそれなりにあった。大崩海岸を過ぎると17時をまわっていて、すでに夕空に包まれていた。宿まであと20数㎞。みどころも特になく、ひたすら走るだけだ。宿に着いたのは18時30分頃。途中で日没を迎え、完全にナイトランだった。予想以上に気力体力が削られてしまったようで、倒れるように眠りについた。こうして静岡サイクリング1日目は無事に(?)終了したのだった。

大崩海岸を走る旧道のトンネルを確認できる
晴天時には富士山や伊豆半島を一望できるらしい
大崩海岸のトンネルを抜けると夕空に包まれた焼津市街が広がっていた
沈む太陽を反射してオレンジに染まる田園。ほぼノンストップで走った
旅館では親切にも、自転車を館内階段下のスペースに停めさせてくれた

1日目は薩埵峠、三保の松原、そして大崩海岸といくつか景勝地を回りましたが、2日目にはいったいどんな景色が待っているのでしょうか。

第24話へと続く…。

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