見出し画像

【第54話】秋の信州ツーリング② ビーナスライン

こんにちは!
10月の3連休を使った、秋の信州ツーリング。
初日はJR中央線・上諏訪駅をスタートし、660mのアップで白樺湖へやって来ました。2日目となる今日は、ついにビーナスラインを走ります。目指す美ヶ原は標高2000m越え。この場所からだと1150mのアップです。果たしてマウンテンバイクで登りきれるのでしょうか。そして、“天空の高原”にはどのような景色が待っているのでしょうか。

▼ビーナスライン第1ラウンド▼

ビーナスライン第2ラウンド - 霧ヶ峰

アドレナリン全開で起床。宿を出発したのはまだ早朝6時で、白樺湖の辺り一帯はしんと冷え込んだ空気に包まれていた。湖畔を通る県道40号を走り出すと、すぐに上り坂が始まった。しばらくは白樺湖を見下ろす景色が続いたが、標高が上がるにつれて湖は見えなくなり、その代わりにウネウネと起伏のある丘陵地が広がった。このエリアは、車山高原と言うらしい。大きくカーブを描いた道が続き、沿道にはいくつかの展望場が設けられている。その一つ伊那丸富士見台からは、遠くに小さく富士山のシルエットが!この先はゆるやかな下り坂が続いた。坂の突き当たりには牧場が広がっていて、観光施設が数棟建っていた。どうやらレストハウスのようで、8時過ぎにもかかわらずバイクや車が停まっていた。出発してから2時間半、休憩にはちょうどいい。このレストハウス「霧ヶ峰ビーナス」を過ぎると、しばらく補給スポットはないらしい。

湖畔に建つ「民宿なかや」。外観は洋風だが、部屋は古き良き和室
白樺湖畔にはリゾート地を感じさせる立派なローソンが建つ。朝食と補給食はここで決まり!
ビーナスラインを構成する県道40号。スタート間も無く370mのアップをお見舞いされる
車山高原の眺望。穂を実らせたススキが昨夜降った雨に濡れ、まるで紅葉しているような姿に
伊那丸富士見台からは八ヶ岳や南アルプスが織りなす壮大な景色が見られる
ロイヤルミルクティは間違った水分補給

ビーナスライン第3ラウンド - 三峰山

レストハウスはちょうど交差点に位置していて、ここからは県道40号から県道194号へ右折し進んでいく。これまでの高原風景とは大きく異なり、眼下に諏訪湖を望める切り立った山道が続いている。県道194号はうれしいことに下り基調の道だったが、9㎞進んだところで県道460号に合流すると、再び240mの上り坂が待ち受けていた。その頂には三峰大展望台があり、駐車場から1分も歩けば、360度視界を遮るもののない、霧ケ峰や美ヶ原の大パノラマが広がっていた。この展望台周辺は尾根道になっていて、斜度も比較的緩やかだった。森林限界を突破したのか木々は少なく、見晴らしはとても良い。峠までもう少しか……。よくある峠越えならそう思っても普通だろう。だがここはビーナスライン、この程度で終わるはずがない。

県道194号からの眺め。左側が諏訪湖、中央の街が岡谷市
見晴らしの良い森の中を通る県道460号
三峰大展望台はビーナスラインの中でも規模が大きい。茶屋もあったりと、貴重な休息ポイントだ
草原と森林が織りなすコントラストは見事

ビーナスライン最終ラウンド - 美ヶ原へ!

美ヶ原までラスト4㎞、県道178号と合流すると最後の関門が待っている。333mアップ、平均斜度8%のヒルクライムだ。断崖絶壁に張り付いたようにヘアピンカーブが連続する光景は、見る者を絶望の淵に叩き込む。進めど進めど登りは続くばかり。いったい幾つのカーブを越えただろうか。突如、それまで視界を塞いでいた樹木はなくなり、頭上には広い空が広がった。長い道のりにもいつかは終わりが来る。「美ヶ原」の案内が見えた。走り始めて5時間30分、ついに登頂に成功した。何はともあれ、まずは飯。美ヶ原に着いて、最初に迎えてくれたのはレストハウス。昼12時前ということもあり、駐車場はほぼ満車状態だった。標高価格のカレーライスを5秒で飲み干し、美ヶ原の牧場を散策してみることにした。なだらかな起伏のある牧草地に、ホルスタイン牛たちが放たれている。標高2000mということもあり、遠くに山脈が見える以外は見渡す限り360度何もない。いつもより空が近くに感じられる場所だった。

最終的にこういう道になる。谷間を縫うように橋が架かる
美ヶ原は目前!!
カツカレー1200円。何杯でも食べたい
ホルスタイン牛や黒毛和牛がのびのびと暮らす。牧場の向こうはどうなっているのだろうか

秘密のショートカット

さてこの後の予定だが、下山して安曇野の方面へ向かいたい。ビーナスラインは美ヶ原で終わりだが、一応この先も県道は続いている。このまま進んだらどうだろうか。800mダウンした先で再び800m登るという悪魔の所業が待っている。……さすがにこれは無理だろう。こんな時のための抜け道は考えてある。美ヶ原高原を突っ切った先には県道62号、通称「美ヶ原高原道路」という道があり、ここを通れば山を登ることなく安曇野へ向かうことができる。といっても美ヶ原高原は車両通行禁止の遊歩道なので、自転車は手押しで進まなくてはならない。レストハウスをスタートして、美ヶ原高原道路までは歩いて5㎞。これも相当しんどいが、おかわりの800mアップに比べれば大したことはない。1時間30分ほど歩いて、美ヶ原高原道路の終着点・美ケ原自然保護センターへ到着した。

美ヶ原高原のシンボル「美しの塔」。美ヶ原は濃霧が発生しやすく、霧鐘の役割で建てられたものだそうだ
標高2034m、美ヶ原高原の最高峰にあたる王ヶ頭からの眺め。ここからさらに先へ進むと、車両通行禁止(手押しOK)の下り坂になる
雲よりも高い所にいる!!

美ヶ原高原道路&美ヶ原スカイライン

美ヶ原高原道路は全長約5.4㎞あり、緩やかな起伏のある尾根を通っている。視界を遮る樹木がほとんどなく、見晴らしは抜群だ。標高1900mということもあり、目線と同じ高さに雲の塊がふわふわと浮かんだ景色は幻想的だった。片道行き止まりの道路なので、ビーナスラインに比べると交通量は圧倒的に少なく自然味に溢れている。美ヶ原高原道路を抜けると景色は一変、森の中を抜ける長い下り坂が始まった。美ヶ原高原の起点にあたる武石峠と麓側の美鈴湖を結ぶこちらの道路は「美ヶ原スカイライン」と呼ばれているが、名前の割にほとんど眺望は望めない。ここからは落差1100mのダウンヒル。ほとんどペダルを漕ぐことなく16㎞ほど進み、あっという間に山麓の町へ。あとは安曇野を目指すだけだ。

美ヶ原高原道路はビーナスラインと結ばれる予定だったが、自然保護のため美ヶ原周辺で寸断されたという歴史があるらしい
美ヶ原スカイラインでは、景色を楽しむ余裕のない程の下り坂が続いた
美ヶ原スカイラインの起点にあたる美鈴湖
国道254号と合流。ひと安心だ

しかしここで問題が発生。
3連休の2日目ということもあり、当日取れる宿がなかった。何軒か電話を掛けたがどこも満室。沈みそうな夕日を眺めながら、セブンイレブンの駐車場で途方に暮れる。無事に下山できたことだし、もう輪行して家へ帰るか。松本駅に行けば特急に乗れる。予定を変更して松本へ向かうか。いや待てよ、松本市街なら寝泊まりできるのでは!? 幸いなことに松本駅付近にネットカフェがあるみたいだ。ナイトランになる前に急ごう。

道中、銭湯に立ち寄り
ライトアップされた松本城の風格たるや

車の流れに身を委ねてペダルを漕ぎ進めるうちに、松本の市街へ到着。無事にチェックインを済ませ、フラットシートの狭い個室で対角線になって爆睡したのでした。

明日もちょこっと走ります。
ビーナスラインを完走した今となっては、もはや惰性です。
当初の予定通り、安曇野へ向かいます。

それでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?