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【投機の流儀 セレクション】史上最大の悪だくみ

1985年プラザ合意を、本稿では標題のように述べてきた。
「史上最大の作戦」は連合軍によりノルマンディー上陸作戦だった。
それに匹敵する。

アメリカの対日貿易摩擦は通貨相場に介入という禁じ手・兼・奥の手を使って1ドル240円を10年後に一瞬79円台にまでさせた。
これは貿易摩擦を解決する裏技であったが、もう一つ別の意味があった。

当時は日本とドイツが強大な対米債権国となっていた。
中国はまだ小さかった。
日本とドイツと言えば、第2次世界大戦の日独伊の三国同盟の中の2ヶ国である。
しかもGDPの規模で世界で2番目3番目の国であった。
そうした2ヶ国が債権国どうしとして結託したらどうなるか、その恐れが米国にあったはずだ。

そこでプラザ合意で為替を操作し、日本を円高にして弱らせてアメリカを貿易増大で太らせる策にでた。
これはアメリカにとってはまんまと成功した。
プラザ合意は意図した通り作動し、日本はそれを境に過剰流動性を深めさせ猛烈な平成バブルをつくり出す結果となった。

これは一見国力があるように見えたし日本の経済力も当時最高ではあった。
GDPは7%成長した。
アメリカのこの企みを見抜けた者は日本の政・官・民間にはほとんどいなかった。
バブル処理のソフトランディングに失敗したのは90年前半であり、これは株価の景気の先行指標からはずしていたことが大きな原因になった。
しかし、それに輪をかけたのはプラザ合意である。

このよう為替相場の大変動は先進国には後にも先にもない。
オメデタイことには野村證券も「円高=国力の現れ=株高」という妙な論理を振り回して株式市場をリードした。
「シナリオ営業」と称する強烈なセールストークで全支店が一丸となって無理な営業を拡大し、強力な推進力が国力衰退の幇助犯の役割を果たしたと言わねばならない。

全国を覆う野村證券の強力な営業網は、強引な商法で個人法人を作動させプラザ合意から2年後には利益で日本一にとなり株価は上場以来の最高値を付け6,000円弱になり33倍になったという経緯がある。


【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。

デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/


【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

【著書】
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