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【投機の流儀】株価は景気に先行する。その景気は6年ぶりに「悪化」して「後退局面」に入ることがほぼ確実視された

【今週号の目次】

第1部 当面の市況
(1)米中貿易戦争に対して世界の市場は身構える
(2)中小型株市場に主役の変化
(3)短期筋の手詰まり感
(4)漂流する強弱感
第2部 中期的視点からの相場観
(1)将来の新しい相場への幕開け期待、これの既視感
(2)「貿易戦争は簡単には終わらない」
(3)「米中貿易戦争」と往年の「日米貿易摩擦」との相違点から米中貿易戦争の先行きを読む
(4)中長期的視点からの相場観
第3部 中期的相場観に関する重要項目
(1)株価は景気に先行する。その景気は6年ぶりに「悪化」して「後退局面」に入ることがほぼ確実視された
(2)今の相場は「相場の流れ」という流動的な変化ではなく、「株価構成の基本の変化」という構造的な変化が伏在する。
(3)内需不振を内包した「GDP2%成長」
(4)景気動向指数――「悪化」を発表、月例報告は「引き続き緩やかな回復」
(5)24日発表の月例経済報告――「霞が関文学」の典型・客観的な景気動向指数との違い
第4部 海外の事情
(1)来週6月4日は天安門事件から30周年に当たる
(2)英国メイ首相の辞任
(3)ふたたびMMT(現代金融理論)と、すでに選挙ムードに入っているトランプ、および「ダブルパンチ」を受ける恐れがある日本
(4)米中貿易戦争によって日本はダブルパンチを受ける
(5)米中貿易戦争激化すれば世界成長率0.3ポイント下押し
第5部 中央銀行の問題
(1)政策手詰まりの日銀
(2)中央銀行の独立性を脅かすトランプ
(3)FRBの政策――中央銀行と市場との「対話」は長期景気の終盤になればますます難しくなろう
(4)難解な日銀――さすがの黒田日銀も「市場との対話」にズレを生じたかに見える
(5)FRBと日銀――FRBは政権派が多数を占める日銀の政策委員会のような構図にはなりにくい。一方、黒田日銀を「政権側に立った協力者だ」と言うのは酷である
第6部 そのほかの重要問題
(1)トルコリラ急落の背景について 
(2)令和の高値、円と日経平均、QUICKと日経ヴェリタス紙の共同アンケート
第7部 読者との交信

第1部 当面の市況

(1)米中貿易戦争に対して世界の市場は身構える
不況の兆候とされてきた長短金利の逆転(「逆イールド現象」。短>長)が3月に現れたが、また再び現れた。
世界の流動資金は安全資産と考えられる先進国の国債に集まり→国際価格上昇→長期金利低下→長短逆転を生じさせる。
IMFは米中貿易戦争が激化すれば、世界経済の成長率は0.3ポイント下振れするという試算を公表した。3.0%というのは「好」と「悪」の境目とされる。世界景気はそこまで行くという。
現にその予兆は景気に先行すると言われる銅相場の4ヶ月ぶりの安値に現象した。原油安もその一つだ。米増産圧力を意識した動きもあろうが、世界景気縮小の予兆であろう。

市場内部要因に目を転ずれば、リスク回避資金の受け皿だった内需中心のディヘンシブ銘柄にもその兆候が現れた。電力・ガスなどのディヘンシブ銘柄の代表銘柄から資金が流出した感がある。
一方、オプション市場で日本株の下値警戒感が強まっている(週末24日の東京市場の日経平均オプションのプット(売る権利)の買いが膨らんだ)。
目立ったのは6ヶ月もので、次の下値として2万円が意識された(ちなみに現在のPBR1倍は日経平均で2万40円である。

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