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【投機の流儀】霞が関文学の「神髄」とは?

【今週号の目次】
(1)当面の市況
(2)長期の趨勢を示す200日線が下落に転ずる
(3)財政出動という手がある!
(4)トルコの通貨安・債券安の悪循環、世界の金融市場の神経機能に激震を与えた
(5)トルコ通貨、新安値、2割急落
(6)DJ-【コラム】トルコ通貨危機、世界が進む「金融戦争」への道
(出所:ダウ・ジョーンズ、2018年8月16日)要約文責:山﨑和邦
(7)人民元安、2015年の切り下げ後の安値圏
(8)「高校野球が始まると相場は留守になる」というアノマリーについて
(9)NY株高は続くか
(10)景気変動について:次の景気後退を考える「後(ご)の先(せん)」について
(11)景気と株価(大勢的に大底圏内を見逃さないための確認事項)
(12)今のうちに老婆心ながら一言ご注意—-「霞が関文学」を見抜こう
(13)DJ-【焦点】ハイテク株に広がる暗雲、テンセントが震源地に
(出所:ダウ・ジョーンズ、2018年8月17日)文責:山崎和邦

【来週以降に掲載予定の項目】
○中国の諜報戦

(1)当面の市況

8月10日(金)は、大国トルコの通貨リラが一日で20%急落するという歴史的な事件を演じ、これが世界の株式市場に影響を与えた。
週末のその動きは週明けの13日、日本株は440円安を演じた。
リラの安定に不可欠と見られる政策金利の引き上げをエルドアン大統領が否定、世界の投資家の慎重姿勢が広がった。
トルコ向け債権が多い欧州の金融機関への財務不安が広がっており、世界市場全体で投資家が萎縮した。

翌日13日(月)は、トルコ発の金融市場激震は「トルコショック」と呼ばれようになった。
世界の金融市場に対して強い影響力を持つ米国がトルコに経済制裁を加えるなどしてむしろ問題を激化させることになった。
危機対応の担い手がいなく火消し役が不在、その上に米国が激震を積み上げたことになった。
そこで先週週初13日(月)は440円安をし、窓を開けて下がった。

翌14日(火)は499円戻し、窓を埋めた(★註)。
10日(金)と13日(月)の2日で740円安、翌14日は一日で449円高、「波高きは天底の兆し」と古くから言われているが、これは必ずしも実証的根拠はない。
但し、セリング・クライマックスをつくる場合は別である。
この場合は出来高が格段に膨らむという特色を持つ。
今回のトルコショックの場合はそれではない。

(★註)8月10日(金)の安値は22,272円、13日の高値は22,124円、そこでこの二日の間に148円幅の窓を開けた。
その窓を14日(火)に完全に埋め切った。

10日(金)と13日(月)の二日間で740円安は7月11日以来1ヶ月ぶりの節目の22,000円を割りこんだ。
これは1月末の高値24,100円台と3月下旬の安値20,400円台とのちょうど中値である。
ここが因縁場となっている。

暑中休暇で市場参加者が少なく商いが細っているため、短期筋が下値を模索する仕掛けが効いた感じである。

東証マザーズ指数が大幅安となり、個人投資家が売りに動くという憶測もあり得る。
14日は499円と大幅反発した。
上げ幅は今年で3番目の大きさだった。
夏休みシーズンで売買が低調だったため真空地帯が上がった感じだった。
短期筋の買い戻しが一斉に入った感じである。

一方、信用取引の買い残が2週間連続して増えた(東京証券取引所、14日発表)。

8月の第2週は日経平均がトルコリラの急落などを背景に227円安を1週間で演じたことになる。
株式の信用買い残は2週間連続して増加した。
株式投資が下落した局面で投資余力のある個人投資家が信用取引で突っ込みを買ったと見られる。

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