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【投機の流儀 セレクション】高校野球が始まると相場は留守になる?

週末のSQ値は一度もその価格が付かなかった所謂「幻のSQ」であり、こういう場合は波乱が待っているというアノマリーがあった。
果然、300安を演じて週末を引けた。

25日線と75日線と200日線とが週末レベルの一か所に固まったと既報で述べた。
今、3本の移動平均が22400円前後に収斂している。
TOPIXの3本の移動平均はその上に株価がある。
いずれにしても、各種の移動平均が一か所に収斂しているという状態は、これは相場の方向感が消えたという象徴だ。
方向感が消えるのは一時の仮の姿である。
この状態は、昨年10月の衆院選挙の時、一昨年11月の米大統領選挙の時にこの現象が出て、「膠着状態は一時の仮の姿であってそれは沸騰相場か冷氷相場かへ、いずれかに動く動意だ」と本稿で述べた、結果は約20%ほど勢いよく上放れた。
2度あることは3度あるとも言うし、柳の下にドジョウは居ないとも言う。
お化けは同じ顔では出てこない、とも言う。
上か下かどっちなん! と性急に回答を出す必要はない。
それは本稿が良く言う「思惟活動の放棄」であって知性の放棄である。
上ばなれる理由は「貨車に積んでやってくる」ほどあるし、下ばなれる背景も同じだけある。
年初から本稿では「今年ほど好悪両材料に富んだ年は近年稀である」と述べ続けた。
いずれにしても1割か2割の動きだろう。
既に3倍近くになったものを1割か2割を追究するということは筆者ならしない。
人それぞれに流儀というものがある。
自分流に行動するのが超長期的に見て誤り少ないだろう。
強いて言うなら、銘柄別に妙味ある個別の動きは常にあるから、資金のゲリラ部隊程度を投じて乗ってみるのは、相場と離れないためにもよいことだと思う。

大手証券会社の株式セミナーでは多分、十中八九は、相場下落への構えよりは乗り遅れることへのリスクを避けることを優先しようと呼びかけるであろう。
その方が耳障りがいいし明るい夏を過ごせる。
老婆心から一言、昔から「高校野球が始まると相場は留守になる」と言われてきたがこの俚諺は必ずしも事実ではない。

変に応じて争わずして勝つ、これで行きたい。

【今週号の目次】
●【当面の市況】昨年、一昨年は移動平均の収斂状況状態の時は上放れたが……
●【当面の株式市況2】「迷うて迷うて迷い抜くべし。迷いつきたるところ、それ即ち三位(さんみ)の伝(でん)なり」
●非鉄金属相場の総崩れは世界経済への警鐘か
●「好決算だが膠着状態」の根底にあるもの
●新興市場株の続落
●玉虫色の金利上昇容認
●貿易摩擦が世界経済の失速を早めるか
●トランプ発の貿易摩擦:80年代レーガン発のそれと同じく、次は為替介入か
●再び米中貿易戦争について
●トランプ発の保護貿易に対抗して行動する日本
●膠着相場の悩み
●日本企業の業績は絶好調で史上最高益を更新する企業も多いが株価が解散価値よりも低いという異常事態の銘柄が4割ぐらいある
●機関投資家に弱気感広がる
●日本株に弱気広がり第一市場は膠着相場の中でマザーズが動意
●外部要因
●トランプ関税の影響:This is Japan銘柄に大影響
●大統領令だけでできる関税の権限は中間選挙の支持層を集める上でトランプにとって便利な道具だ
●上海株についての要約
●長期金利を見る一端としての個人向け国債
●日本株を左右するのは海外勢だと言われていたが、実は日銀であった
●既報で述べた通り「幕が上がった途端に芝居は終わっている」が……
●日本の政官の荒廃は長期的に見て日本株市場には宜しくない
●野村證券時代の先輩との交信:先輩からの親切なアドバイス(8月6日)
●読者Hさんとの「85年8月の航空機事故について」の交信(8月8日)
●匿名氏との「地銀のビジネスモデル」についての交信(8月8日)

【来週以降に掲載予定の項目】
●景気と株価(大勢的に大底圏内を見逃さないための確認事項)
●今のうちに老婆心ながら一言ご注意:「霞が関文学」の真意を見抜こう

【お知らせ】
「投機の流儀 セレクション」のアーカイブは、電子書籍の紹介サイト「デンショバ」にてご覧になれます。

デンショバ
http://denshoba.com/writer/ya/yamazakikazukuni/touki/

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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