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【投機の流儀】この30年間の日本衰退の諸現象

第1部 当面の市況

(1)膠着状態のまま1週間を終えた
週末はSQ日であった。2万7779円という値は一日の高値ではクリアしているが終値では下回った。当面の市況は(4)(6)(7)(8)項に続く。

(2)週末引け後に日銀次期総裁の件
4月からの日銀総裁は雨宮・中曽・植田(★註)という順番で就任可能性が高いと本稿で述べたことがある。その後、雨宮総裁説ということで市場も筆者もそのつもりでいたが、雨宮氏が辞退したので植田氏が就任する動きとなった。週末の大引け後のことである。
植田総裁の流れが出た、その瞬間に円高に振れた。5時30分現在で129円台となった。先物は立ち合い時間中は200円弱を上昇していたし、TOPIXは6か続伸だったが、植田総裁説後は先物が130円安に転じた。強いて言えば、市場は「円高・株安」のシナリオを緩やかに描いているようだ。
(★註)植田氏は東大・MITの学者であったが時間軸効果を編み出した人でMIT出身で金利に詳しい。社会保障制度審議会部長も務めており年金にも詳しいはずだ。東大では理学部数学科から経済学に回った人で理論家で数字に強い(ノーベル賞受賞者のサミュエルソンもMIT教授でこの類である)。
植田氏はGPIF(年金資金管理独立行政法人)の委員長も務めており市場を知っている人とだと思う。2011年~2012年まで日本経済学会会長も務めた。(筆者もそこの会員で年2回の学会の大会には必ず出席している)。
学者出身の中央銀行総裁と言えば、FRB前議長のジャネット・イエレン女史も、昨年ノーベル経済学賞受賞したベン・バーナンキFRB前々議長も学者出身であり、イエレン女史は現在米国財務長官。在任中は4%前後幅の難しい金利引き締めを市場を波立たせることなく優しく巧みにやってのけたユダヤ人出身の巧みなFRB議長だった。
土日の間に植田新総裁や4月以降の日銀について色々なニュースや憶測が出るであろうが、基本的には、ここに要約したような経緯の人であり、短い期間ではあるが大蔵省に勤務した人であり、岸田首相と気脈が通じているという話しは以前からあった。

植田氏は異次元緩和とゼロ金利政策採用の頃に日銀審議委員を務め、それを理論的に支持した人だった。週末の午後6時の記者の質問に答えて、今の日銀の在り方は適切だと答えた。そうであろう。就任前から云々するのは越権であるから。
副総裁の人事をみれば理論派の総裁に配して海外派の副総裁(パリバに居た)と実務派の二人である。

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