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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、… もっと読む
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#日経平均

【投機の流儀 セレクション】NYダウの長期の見方──10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない

筆者が社命により4人でウォール街を訪れた1972年の秋、キーストーンファンドというファンドを日本国内で売ろうということでキーストーン社に行った。歓迎を受けたが、その時にNYダウの創始以来のグラフを見せられてびっくりした。創始以来と言っても1972年の話しだから、創始以来76年間である。長期的にはずっと右肩上がりであった。今、これを創始以来128年の流れで見てみると次のようなことになる。 中期的に見ると、こうなる。 1. NYダウの2万ドル超えが2017年1月 2.

【投機の流儀 セレクション】現状では「失敗する可能性もないことはない万博」に見られる日本の政治・社会の特質

日本社会では、一旦物事を決めるとそれに固執し、状況が変わっても変化することができず、中止することもできないという特色がある。第二次世界大戦に踏み切ったこととその後の日本の態度はその典型であり、大きな歴史的教訓である。このことについては40年程前、筆者が組織の指導者としての基礎的教養として精読した「失敗の本質:日本軍の組織論的研究」(戸部良一・寺本義也・鎌田伸一・杉之尾孝生・村井友秀、中央公論新社 、1991年刊)に詳しい。 やってはいけない戦争を何故やったのか?とか、物流や

【投機の流儀 セレクション】投資の「終活」をどう進めるか?

これは日経ヴェリタス紙4月14日号の2頁を割いた記事の文言である。認知症への備え・相続への備え・高齢になった際の投資をどう整理するかという問題であるが、これは人それぞれによって違うから一概には言えない。 証券保管振替機構によると、個人株主全体に占める比率は60歳以上が43%だという。金融庁は75歳以上の高齢者に対する勧誘・販売ルールを設けている。75歳以上に対しての投資は役職者による事前承認が必要だという具合である。認知症と診断された場合には証券口座は凍結され、家族であって

【投機の流儀 セレクション】大幅下げがあっても、右往左往しない方がいい。むしろ、買い場探しだ

先々週末5日(金)は一時、日経平均900円幅を下落した。今年二番目の下落だった。米景気は底堅いとされ、インフレは沈静化するとし、日本はメガトレンドの変化を買う相場だとしてきたが、この楽観相場は一瞬冷や水を浴びた形であった。 しかし、本稿では「3ヶ月で7000円上がった分のスピード調整だ。値幅調整ではなく、時間調整であり、日柄整理だ」と4月7日号でも述べ続けた。原油の一段落で、シナリオの修正を迫られた投資家もいたかもしれない。そうなると、瞬間的にパニックに入ったかもしれない。

【投機の流儀 セレクション】今はバブルではない。自分が儲けていない人々が、嫉妬でバブルというだけだ。「嫉妬は正義の仮面を冠って主張される」

日本は今年になってから年初来7000円幅を上昇して、他の先進国の市場を上上回った。それは決して説明できない上昇ではない。平成バブルの時に比べて経常利益は3倍近い。PERは16倍前後で、89年バブル当時の4分の1である。PBRは当時の3分の1である。バブルが崩れて一番底を付けた後の95年と比較するとしても、一株当たり利益は当時の8倍ある。決して不合理な値段ではない。また、日本株を支える基本的な要因も不合理なものではない。 一つは明らかに数字で出ている春闘である。昨年、春闘が3

【投機の流儀 セレクション】今はバブルの欠片もないが、将来は必ずバブルめく時が来る。その時のために、今から心構えを練っておきたい

世界のバブルの歴史に関心を持って調べてみると、一つのことが言える。記録に正確に残っている最も古いものでは、1637年にアムステルダムで大天井を突いたチューリップバブルである。 それから後、ニュートンも大損したという1700年の南海泡沫会社、あるいは大正末年の日本のウサギのバブル。あるいは1929年のアメリカフロリダ州の土地バブル。また、平成元年の日本国内の株式・不動産・土地・ゴルフ会員権・絵画等の史上最高のバブル・・・。 これらを全部合わせて言えることは、そのバブルの真っ最

【投機の流儀 セレクション】デフレマインドを脱却して、インフレマインドへ移る

「成長と分配の好循環」は、平たく言えば「分配」は「賃上げ」である。「ほど良いインフレ」が起こって「それを上回る賃上げが起こる」これが「成長と分配の好循環」だ。 ところで、大手は5%超の賃上げが続いている。順調である。春期交渉は人材確保に配分して、どこの企業でも賃上げをほとんど(8割)が満額回答である。特に、製造業の8割が満額回答である。 植田総裁が睨んでいるのは「2%インフレ」の実現と「それを上回る賃上げの継続」である。これが「好循環」である。これが順調に行きそうになってき

【投機の流儀 セレクション】「落ちていくナイフを途中で掴む」(拙著の言い分)「落ちてゆくナイフを2度掴む」(タワー投資顧問の清原達郎氏の言い分)

どんな相場にも中間反落はあるから、その時に銘柄を絞っていたのでは間に合わない。「落ちていくナイフを途中で掴む」底値を打った後は反発が早いから、下値覚えという病に取りつかれているから手が出なくなる。したがって、落ちていくナイフを途中でつかむ。そして、また落ちたらまたつかむ。これがナンピン買いだ。そのためには、今から銘柄の候補に目を付けておく必要がある。 筆者の大学資金を運用してもらったタワー投資顧問の清原達郎氏の近著『わたしの投資術』では「落ちてゆくナイフを2度掴む」と言って

【投機の流儀 セレクション】日経平均が史上最高値を付けた2月末の投資部門別売買動向における奇妙な風景

日経平均が史上最高値を付けた2月末における投資部門別売買動向には奇妙な風景が見られた。証券会社が自社の資金で自社に帰する損益で売買することを「自己売買」略称「ジコバイ」と言われているが、これは2月第3週で自己売買は5077億円の買い越しとなった。 一方、海外投資家は786億円の売り越し、個人投資家も918億円の売り越しとなった。これは東証の投資部門別売買動向の発表の数値であるが、証券会社が自らリスクをとって最高値近辺の日本株を大幅に買い越したという見方はしない方がいいと思う

【投機の流儀 セレクション】史上高値更新は通過点に過ぎない。「34年2か月を要した壮大なダブルボトム」を脱したが、どんな長期大相場でも必ず中間反落はある。乗り遅れた筋は、そこを買おう。

週末の22日(木)は4営業日ぶりに大幅反発し、837円幅を上げて、史上最高値を34年2ヶ月ぶりに更新した。 さしたることではない。メディアが大騒ぎしているだけに過ぎない。変化は昨年から始まっている。 34年2ヶ月を費やして 1.2003年の7600円(不良債権山積みという、国内要因による日本経済の大底)を一番底とした。 2.小泉郵政改革相場で、日経平均は約2倍半になった中間反騰を経た。 3.アメリカ発の海外要因によるリーマンショックで、2009年に7000円まで下がり、

【投機の流儀 セレクション】今の相場付きは、後年「半導体バブル相場」とあだ名とされる相場付き

昨年4月までの1年以上に及んだ大保合を離れて以降、今日までの経緯を見ると、1.TOPIXと2.「日経平均から半導体関連10銘柄を除いた価格」との両者は約20%上がった。 それに対して、3.「半導体関連株(ソニー・東京エレクトロン・信越化学・スクリンなどの10銘柄)で合成し、22年末を100とした指数」は、昨年春の大保合離れから約60%上昇した。 ここで判ることは、1番と2番が3番の半導体関連株の大幅高に引っ張られた株高だと言える。しかも、それらは時価総額が大きいから日経平均

【投機の流儀 セレクション】世界の分断がもたらしたインフレが日本に物価高(インフレとは違う)をもたらした

日本の物価が上がった原因はインフレではない。インフレは、需要が供給よりも強いことから起こる。ところが、今、物価が上がっているのはその意味のインフレではなく、世界の分断がもたらした供給不足による物価高が原因になった単なる物価高である。 そういう意味では「連合」の迷会長が言った「物価高のために賃上げした」という意味の物価高という言葉の使い方は正しいであろう。 ところが、世界の分断がもたらした物価高が長年の日本の課題であったデフレを反転させて、本当の意味でのインフレにつながる可能