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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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2023年5月の記事一覧

【投機の流儀 セレクション】世界の分断がもたらしたインフレが日本に物価高(インフレとは違う)をもたらした

日本の物価が上がった原因はインフレではない。インフレは、需要が供給よりも強いことから起こる。ところが、今、物価が上がっているのはその意味のインフレではなく、世界の分断がもたらした供給不足による物価高が原因になった単なる物価高である。 そういう意味では「連合」の迷会長が言った「物価高のために賃上げした」という意味の物価高という言葉の使い方は正しいであろう。 ところが、世界の分断がもたらした物価高が長年の日本の課題であったデフレを反転させて、本当の意味でのインフレにつながる可能

【投機の流儀 セレクション】電力業界に吹いた「神風」の正体

「神風」という表現は、週刊ダイヤモンド誌5月20日号の電力10社の決算に関する記事の見出しの文言である。 東京電力ホールディング(HD)は最終赤字だったものの、23年1月時点で予想していた赤字額から61%も赤字を圧縮する結果になった。関西電力は通期予想で1450億円の巨額赤字を見込んでいたが、176億円になった。中部電力は通期1300億円の赤字を見通していたが、382億円の最終黒字になった。 通期決算を見れば、半年前の懸念が嘘のような驚くべき結果になった。これは電力業界が

【投機の流儀 セレクション】下がって欲しい投資家が沢山いる間は下がらない──「押し目待ちに押し目なし」

米景気に暗雲漂う中で、日経平均は年初より1割高いレベルでボックス圏の上限に近いところに張り付いている。日経平均は9日に2022年1月以来の高値を付け、週末にはそれを更新して2021年11月以来の高値を採ってきた。 弱気型のETF(日経ダブルインバース[1357]、下がれば利益になる仕組み)は、先週半ばで過去最高口数に達した。つまり、下がって欲しい投資家が過去最高になったということである。 だから、下がらない。「押し目待ちに押し目なし」とは江戸時代の大阪堂島のコメ相場以来の

【投機の流儀 セレクション】米地銀の経営不安は止まらない。

本稿では、3月10日のシリコンバレーバンク破綻の直後から「米金融不安はこれで収まったわけではない。まだ続くはずだ」と言い続けた。 逆イールド現象(中長期金<短期金利)が生じてから13ヶ月を経ている。安い金利の短期資金を集めて、高い金利の長期資金で貸し出しをして、その差額が利益になるというのが銀行のメインのビジネスモデルだ。 逆イールド現象が起これば、それが成り立たなくなるわけだから、銀行の財務や収益力の悪化が懸念されることは当たり前だ。 米株式市場で銀行株の下げが止まらない