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【投機の流儀 セレクション】米地銀の経営不安は止まらない。

本稿では、3月10日のシリコンバレーバンク破綻の直後から「米金融不安はこれで収まったわけではない。まだ続くはずだ」と言い続けた。

逆イールド現象(中長期金<短期金利)が生じてから13ヶ月を経ている。安い金利の短期資金を集めて、高い金利の長期資金で貸し出しをして、その差額が利益になるというのが銀行のメインのビジネスモデルだ。
逆イールド現象が起これば、それが成り立たなくなるわけだから、銀行の財務や収益力の悪化が懸念されることは当たり前だ。
米株式市場で銀行株の下げが止まらない。特に、地銀に財務や収益力の悪化が懸念される。

但し、米国はやることが早い。FRBの動きも速いし、地銀の吸収合併も早い。
リーマンショック以来、史上二番目の規模だというファースト・リパブリック・バンクは5月1日に破綻したが、JPモルガンが救済買収して、動揺は直ちに収まった。

ファースト・リパブリック・バンクの3月末の預金残高は昨年末に比べて4割以上も減り、株価は大幅に下げた。投資家は預金残高の動向を、銀行存立の区別の目途にしているように見える。ファースト・リパブリック・バンクの破綻前は、過去に低金利のローンが金利の急上昇のために含み損となってしまった。それで買い手探しに難航したと推察できるが、JPモルガンは米連邦預金保険公社から13%の割引価格で貸出債権を買い取ったという。

他の地銀が資産売却をする場合も大幅な売却損が生じるであろう。逆イールド現象(長期金利<短期金利)が起こって、11ヶ月目に景気後退が来るというのが「50年間の米国のアノマリー」であると本稿で何度も述べてきたが、その一つの表れでもあろう。
米国で逆イールドが起きたのは昨年4月だったから、既に11カ月は3月で過ぎている。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)連休中の海外市場の動向
(2)5月3日開催の米FOMCはインフレ抑制を優先して、0.25%利上げを決めた。
(3)米地銀の経営不安は止まらない。
(4)米銀行不安は収まってはいないということを、三度言いたい。
(5)3月から始まった米銀行破綻と来年の中間選挙の関係─銀行救済が民主党への逆風となる
(6)米市場からの影響
(7)植田日銀に好感を持って迎えた4月月末の東京市場
(8)4月はこういう月だった。
(9)日経平均はボックス相場を継続
(10)レンジ相場の中で、バフェット氏のバリュー投資は既に目覚ましいリターンを上げた。
(11)ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハザウェイの株主総会
(12)この環境の中で、市場に処するには・・・

第2部;中長期の見方
(1)アメリカ・日本が景気後退を迎えるか?─当然迎える。但し、アメリカの場合は政府・FRBの対策は驚くほど早い。
(2)日本株の需給関係に関する強気材料
(3)PBR1倍割れ企業、1800社
(4)米国経済と米国金融政策
(5)国内生命保険会社10社は、全社が23年度内に日銀が政策修正に踏み切ると予想した。
(6)植田新総裁が金融政策修正に踏み切る上で考慮する要素
(7)植田日銀の方針を予測する。
(8)日銀の出方に要注意─総裁は「サプライズ」を好まない人ではあるが・・・
(9)景気後退懸念を秘め、同時にしたたかな面もあるアメリカ経済
(10)核兵器とエネルギー以外では、小国ロシア

■第3部;読者との交信欄

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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