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【投機の流儀 セレクション】下がって欲しい投資家が沢山いる間は下がらない──「押し目待ちに押し目なし」

米景気に暗雲漂う中で、日経平均は年初より1割高いレベルでボックス圏の上限に近いところに張り付いている。日経平均は9日に2022年1月以来の高値を付け、週末にはそれを更新して2021年11月以来の高値を採ってきた。

弱気型のETF(日経ダブルインバース[1357]、下がれば利益になる仕組み)は、先週半ばで過去最高口数に達した。つまり、下がって欲しい投資家が過去最高になったということである。

だから、下がらない。「押し目待ちに押し目なし」とは江戸時代の大阪堂島のコメ相場以来の口伝である。信用取引の含み損のカラ売り筋はマイナス6%だ。このカラ売り含み損のマイナス幅は、20年6月の「景気の谷」以来の大きさである。
あの当時は2020年3月19日にコロナ相場の出発点16400円から1.8倍高に移行する大相場の最中であった。

一方、下がって欲しい投資家が多いことを示す日経ダブルインバースの膨らみ方は、弱気派が多いうちは下がらないという事実を示す。日経レバ(1570)は売り残の方が多く、3日で15銭の逆日歩がついている。ご承知の通り、逆日歩というのはカラ売りの激増極致である。

下がって欲しい投資家が過去最高になったという現象が、このように多く発生しているうちは直ちには下がらないものだ。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)市況コメント
(2)週末の全体像と個々の銘柄の動き
(3)下がって欲しい投資家が沢山いる間は下がらない──「押し目待ちに押し目なし」
(4)一見、好調に見えるNY株に三つのリスク
(5)米FOMCの後に米地銀急落
(6)FRB貸出金利、史上最高額を記録
(7)日経平均1年半ぶりの高値と言うが、個々の銘柄によって異なる─「株式市場は心理で動く」(J・M・ケインズ)
(8)“Sell in May.”「5月には売り抜けろ」は、実現しないという可能性が強い。
(9)決算発表シーズン
(10)国内設備投資の堅調と「コロナは感染法上の5類」へ
(11)NY株の中長期の見方

第2部;中長期の見方
(1)日本のGDP成長のために
(2)米国という「実験国家」の歩み
(3)世界的にも原発回帰の動きがある。
(4)「高齢者の投資と認知能力」
(5)新型コロナが3年超の対応に区切り、株価は既にそれを織り込んだ─コロナ禍の学習体験を生かすには、100年後の伝染病を待たねばならない。
(6)バフェット氏「地政学的に見て、台湾より日本を選ぶ」
(7)米中摩擦の高まり
(8)第三次世界大戦
(9)「日本人のノーベル経済学賞受賞が近づいたことを伺わせる」
(10)ウクライナ戦は休戦も停戦も、当面は難しい。
(11)必然的に、原発の必要性が生まれる。原発推進を狙う経産省
(12)米ドルが基軸通貨であることは揺るがない。BRICs連合でも及ばない。
(13)ファンダメンタル面から見て、円は弱い通貨である。
(14)ESG投資は、企業が多様性や脱炭素に配慮した持続可能な経営を促しているかどうかを見る。

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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