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見てるこっちがハラハラ

最近気付いたことがある。


こいつらは

三角関係だ。


「バカ美波ー、アホ美波ー、
追試美波にドジ美波ー。」

「ちょっと。
変な歌、歌わないでくれる?!」

「だって俺は追試じゃねーもーん。」


いや、前から薄々何となく
そんな気がしてなくもなかったが

この間、流星が横溝に
誕生日プレゼントを
買っているのを見た時に

俺はほぼ確信した。


こいつは横溝が好きだ。


「流星、ほんっとムカつく!!

野上っ、流星がムカつく!!」

「なんだよお前ら、
また喧嘩してんのかよ。」


そしてその渦中にいるこいつらは
こともあろうに誰一人、


その状況に気付いていない。


「…あ、そうだ。

美波、野上に補習、
手伝ってもらえば??」


流星の言葉に横溝と野上は
顔を赤くしている。


…お前らどう考えても

両思いだろうが!!


気付けっ、そして早く付き合え!!

つーか、野上はどうして俺達に
なにも相談しねーんだよ!!


「で、でもっ、
野上は今日部活でしょ??

流星が教えてくれれば良いじゃん!!」


はい、出た!!
横溝の無意識なその態度!!

その態度がよくねーんだよ!!

誰にでもそういうことしてっから
野上も今ひとつ踏み込めねんだろうが!!


「今日はサッカー部、
試合の翌日だから休みだろ。

俺は伊達と仲良く帰る。

な、伊達??」

「…おう。」


切ない…。
切なすぎるぞ、流星。

お前が本当に切ない立場にいることに

どうしてお前以上に
俺が切なくならなきゃいけない??


「…なぁ、流星。」

「あ??」


アホ面しながら俺を見るお前に
なんかもう、怒りすら込み上げる。


「お前…、

横溝のこと、どう思う??」


俺の質問に流星は
瞬きして、またアホ面。


「どう、って…、
すげー大事だぞ。

部活の仲間だしな。

あ、伊達ももちろん大事だぞ。

フクとカクと大澤も大事だ。」


流星は多分、

恋ってのがどういう感情か
よく知らないんだと思う。


誰も『恋』ってものを
教えてやらなかっただろうし、

そういう目で女を見たことも
ないんだと思う。


…ほら、そう考えたら
なんかほっとけねーじゃんか!!


でも教えたら教えたで

また流星が辛いだけだろーが!!


「でもさ、お前、さ。
横溝にプレゼント買ってたよな…??」

「え??あぁー。
なんか、誕プレ欲しいって。

それに美波にはなんだかんだ
いつもお世話になってるしな。」


横溝のそういう
天然の魔性の女っぷり、

だいっきらいだ。


「なぁ、流星。

それって横溝は
特別ってこと、か…??」


やめとけ、おれっ!!

中途半端な気持ちで
流星に感情を教えるな!!

傷つけることになる!!


「とくべつ…??
いや、お前らにも誕プレ買っただろ。
まぁ、美波は女の中では
一番大切かもだけど、…」


すると流星は
ハッと気付いた顔をして。


「美波は俺からじゃなくて、
野上から欲しいのか!!

間違えた!!俺が買っちまった!!」


あぁ…!!惜しい…!!

気付く所、ズレてる…!!

いや、気付かれても
それはそれで切なすぎるけど…!!


「じゃあ、野上に今度、
美波が欲しいって言ってたもの
教えてやらないとな。」

「いや…、えっと…。
そしたらお前の買ったプレゼントは…??」

「うーん、
桃子にでもやるか。」


笑顔でそんなこと
言わないでくれよ…。


「え??伊達??
なんか、泣きそうじゃね??」

「そんなことねーよ。」


俺の友達はみんなアホだ。

自分の気持ちに気付くことも
相手の気持ちに気付くこともなく、


いつも周りを

振り回す。




見てるこっちがハラハラ







**


だから、スズちゃん。


本当、マジで、

多分、俺は誰よりも

君に感謝してる。


誰も気づかなかった三角関係を

誰も気付かないうちに


ぶっ壊してくれて

ありがとう。






2011.09.14
確かに恋だったサマ
見てるこっちがハラハラ

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