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風がまだ冷たいとはいえ、すっかり春めいて来ました。
朝の明けるのも早くなり、季節の移り変わりが感じられ、素晴らしい気分です。

日中の陽差しもポカポカで、境内のそこかしこに花が咲き始めています。 草木の芽吹きも急速で、雨の潤いは恵みです。しかしこれは同様に雑草にも慈雨となって、グングンと成長します。一生懸命に地上に出て来た“いのち”ですが、雑草はやはり気になります。そんな時は少しづつ摘むことになりますが、仲々草の成長に追いつきません。そこら中にどんどんと生えてくるのです・・・・。
私に仕事として授かったようです。 

その昔、釈尊のお弟子に周利槃特(しゅりはんどく、チューラバンタカ)という人物がおりました。その人物は大変愚直で、お経や勉強が苦手で修行が全くすすみません。

見かねた釈尊は周利槃特に一本の箒を与え、掃除に専心するよう告げます。「チリを払わん、垢を除かん」と。

彼は来る日も来る日も掃除に励み、やがて「ちりやほこりはあると思っているところばかりにあるのではなく、こんなところにあるものかと思っているところに意外とあるものだ。」ということを知ります。そして「自分は愚かだと思っていたが、自分の気づかないところにどれだけ自分が愚かなところがあるか分かったものでない」と驚き、彼はついに高い悟りを得たといいます・・・。
これは目的をもって一生懸命に励めば、やがて”一験”を得ることが出来る、ということでしょう。

彼は後に釈尊の十六大弟子の一人と称せられました。

(住職 記)

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