優しい嘘ならついてもいいでしょ?
「あなたのことはもう好きじゃないよ」
友達を続けるために必要な嘘だった。安心させることのできる唯一のセリフだ。これがないと私はきっと近くにいることすら許されなかっただろう。
だから嘘をついた。大好きだけど、好きじゃないと言った。
嘘をついてでも私は、ずっと近くにいたかったの。一緒に笑って過ごしたかった。
「もうなんとも思っていない。」
–そんなの嘘。毎日あなたのこと考えてる。
「自分でケリつけたから大丈夫だよ。 」
–そんなわけない。どうしたらいいか路頭に迷って毎晩泣いてるんだ。
嘘で固められた私に安心してそばに来てくれるの。あなたは友達としていたいから。ね。そうだ、私たちは友達だからそんな感情はあってはならないもの。
優しいの、私。あなたより年上だからね。
余裕があると思われたいし、必死になる姿見せたくないし。いつまでもズルズルしてるのなんてみっともないじゃない。
早くなんでも相談できるお姉さんに戻りたい。
だから嘘をつく。
私の本当の気持ち?
大好きだよ。
あなたのこと、どこがこんなにいいのか、私もわかんない。でも大好きなんだずっと。バカみたい。私はあの夜を忘れられないまま。楽しかったあの頃から、前へ進めないまま。もう一度唇に触れたい。出来ることならもう一度、抱かれたい。好きだ。好き。大好きだ。
これが私の「ほんとう」。
あなたには教えてあげないよ。
優しい嘘くらい、ついてもいいでしょう?
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