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好きで好きでたまらない夜向け

誰かを好きになることは、時に不格好で恥ずかしい。手を伸ばしても届かない人を思う夜は寂しく、虚しく、そして惨めだ。

生きていると色々な出会いがあるから、人は不毛な恋をすることもあるだろう。好きでいればいるだけ辛くなる恋もある。どれだけ好きでいることを止めようと思っても、視界に入った瞬間に好きで溢れてしまうから。

夜の静けさと暗闇は思考を整理するに丁度いい。でも、暗い闇に飲み込まれることもある。なぜか夜になると好きという思いが広がってしまうことも多くある。

どうしてなんだろう。自分はなぜまだ好きでいるんだろう?

布団にくるまりながら手を伸ばしてみた。オレンジ色の光が手のひらに重なるからぎゅっと握ってみたけれど当然、それを掴むことはできないままだ。

私の手のひらはふわっと空気をつかんで、また広がった。

そこには何もない。

近くにいると思っていたけれど、手を伸ばしても心まではつかめない。そんな人を好きになってしまい、好きでいることがつらいのに、大好きでいる。ずっと。

触れることができた。体温を、感じることができた日があった。でも気持ちまでは見えなかった。気持ちまでは、自分のものにできなかった。

この先好きということを伝えることはしないだろう。だけど好きでいることをやめることもしない。好きだから。だって、大好きだから。

愛している。その言葉を声に出すのは簡単だ。

だけど、伝えることはできない。

私の思いは風船みたいにふくらんで。簡単に割れそうにないのに、ずっとずっと大きくなっていくから、いつか割れてしまうのかなあ?

割れた先に残るのはなんだろう。

その時の私は、どんな顔をして

割れた風船を見ているんだろう。

わからない。今は何も見えない。ただあなたが好きというだけ。その思いだけしか理解をすることができない。

こんなにみっともなくて、どうしようもない気持ちはなくしてしまえばいい。だけど、いつになってもなくならないから、心においておくことしかできない。

今はぎゅっと抱きしめて、割れてしまうその日が来るのをずっと待っている。

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