【解説】マンガ「主体性評価の悪夢」について

※本記事は、twitterでも投稿した下記のマンガの解説となります。

「主体性評価」とは、2021年度大学入試から導入される予定の新制度です。学力試験一発勝負ではなく、部活動や生徒会活動、資格や検定、探究活動などの「主体的な学びの活動」を加味して評価する、というものです。

現役教員の炮筒子(@paotongzi)先生が作成された資料も参照ください。

本編漫画に描いた通り、「主体性評価」では部活や探求活動(数学オリンピックなど)の「勉強以外の活動」が重視されます。それ自体は悪いことではないのですが、「主体性」という客観的評価が難しいものを数値化しようとすると、途端におかしなことになります。

高校生は、「受験で有利になる」という理由で生徒会活動をしたり、運動部に入ったりするようになるでしょう。「高校生は何かしら生産的なことをするべきだ」という風潮も生まれるでしょう。
留学などができる家庭とそうでない家庭との経済格差も、広がっていくでしょう。

家庭の事情で部活等ができない生徒や、健康などの事情で高校に行けず大検等のルートで大学に行こうとしている生徒は、そうした評価軸から外されます。

最近、聖マリアンナ医科大学で女子や多浪の受験生が不当に点数を引かれていることが問題になりました。主体性評価が普及すると、「うちは運動部をしていた生徒に高い点をつけるから」という名目で、男子を優先的に合格させることができるようにもなります。(女子は男子より統計的にも運動部員が少ない)


大学入試から多様性を排除し、「大人が喜ぶような」活動を忖度して行わせる。最悪の場合、差別的な選考を助長するおそれさえある。こういう悪夢のような制度が、来年度から導入されるのです。

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