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つくりながら考えていること

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エッセイ集。つくるためにつづけていることや、考えていることを書いています。現在 原稿用紙129枚分。
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2022年8月の記事一覧

ペペロンチーノ愛してる

ペペロンチーノ愛してる

 久しぶりに1番シンプルな形で、ペペロンチーノをつくった。最小限の材料。ガーリック、鷹の爪、オリーブオイル、パスタ、塩だけでつくる。言葉の意味で言うと、「ペペロンチーノ」とだけ言うと「唐辛子」のことであり、いわゆる日本でもベーシックなこの材料のパスタは正式名称では「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」となるはずだ。アーリオがにんにくで、オーリオがオイルのこと。だがとんでもなく文字数が長くなってしま

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「読んでいたら、筆者が消えた。」

「読んでいたら、筆者が消えた。」

 友人が家に遊びに来てくれた。どら焼きを持ってきてくれた。家に来てくれる時に美味しい食べ物を持ってきてくれる人は、無条件に好きだ。美味しい食べ物というのは、それくらいに尊い。餡から台湾茶の香りがぶわっとしてくる、とても美味しいどら焼きだった。羊羹づくりが趣味なので、台湾茶を使った羊羹を今度つくってみよう、と思った。

 お茶を飲んでどら焼きを食べつつ話していたら、あっという間に3時間ほど過ぎていて

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ぼくは速い

ぼくは速い

 俳句と自由律俳句が好きで、句会に参加したり、自分で時々つくったりする。自分が気になる俳人の中で、千野帽子さんという人がいる。この人の書いている「俳句いきなり入門」という本があり、これが純粋な感覚で「俳句をやりたい」と言われた時にタイトル通り最初に友人におすすめするかどうか一度躊躇うほどにパンクな内容であり、ぼくはそこがたまらなく大好きなのである。この本の中で論じられていることの1つに、特に大好き

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「君が文章を公開するのはちょっと意外だなって感じることがある。」という話をしてくれた

「君が文章を公開するのはちょっと意外だなって感じることがある。」という話をしてくれた

 ぼくの文章を読んでくれた友人が「君が文章を公開するのはちょっと意外だなって感じることがある。」という話をしてくれた。確かにすごく個人的な話ばかり書いているなと自分でも感じる。では、自分の中でだけ、誰にも見せない秘密の日記に文章を書いても、ある程度満足してくれますかね、と自分にきいてみる。…答えは、そうとも言えるし、そうとも言えない、という何とも曖昧なものだった。ある部分ではすごく満足しそうだし、

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続けることができないと思っていた自分にも続いていたことがあった

続けることができないと思っていた自分にも続いていたことがあった

 カバー写真は友人の伸太朗さん(田淵伸太朗)の写真です。クレジットに代えて。西粟倉の森林での写真。いいなぁ。

二年ほど前に友人のあかしさんが書いてくれた記事 【「縦の変化」を続ける、彼らのこと。 https://note.com/akyska/n/n7f5b4c5dea71 】をふと読み返していた。この頃から色々なことが変わった。それでも、根っこにはあんまり変わっていないようなこともあると思っ

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頑張ることを辞めてみる、穏やかになるほど悲しくもなれる

頑張ることを辞めてみる、穏やかになるほど悲しくもなれる

 三週間の岡山県北部、西粟倉村での滞在を終えた。木工の仕事をするためだった。今は実家のある倉敷の方に戻ってきていて、来週には東京に戻る予定だ。

 毎日ひらすらに木と向き合った。少しは仲良くなれただろうか。素材と向き合ってつくるということは、仲良くなれたと思ったらまだ知らないことがあった、というようなことの連続だ。だからつくることは楽しい。素材って楽しい。素材のことをもっと知るために、素材と会話を

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自分に興味をもたせてあげる

自分に興味をもたせてあげる

今日は西粟倉での木工のお仕事の最終日。3週間ほど働かせて頂きました。ひたすらに毎日木と向き合い、木を触り続ける日々。アルバイト形式でのお手伝いなのでそこまで複雑な業務というわけではないのですが、少しずつ木のことをより知っていく日々は、発見の興奮に満ち溢れていた。例えば、傷の補修。水を含ませた布を挟んでアイロンをあてるだけで、みるみると膨らんで傷がなくなる。これは、木の幹が水分を葉や果実に運んで

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言葉が好きだったことを思い出した

言葉が好きだったことを思い出した

 日曜日であることをいいことに、FUJI ROCKのストリーミング配信をききながら、パイプたばこを吸ってビールを飲んでいた。奇妙礼太郎のライブを見ていて突然、自分は言葉が好きだったんだ、ということを思い出したような感覚がした。素直に、言葉っていいなと思ったというのも勿論そうなのだけど、もう少し正確に説明してみると「元々言葉のことが好きだったはずだった。」というような感覚を覚えた。

 思えば昔から

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