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ビジネスで必要とされる「センス」とその磨き方

最近よく「これからのビジネスにはセンスやアートが必要だ」と耳にするようになりました。

本屋などを歩くと、センスとビジネスを結びつける書籍が多数置かれているのを目にします。

では実際、

何のためにビジネスにセンスが必要なのか?
どうすればセンスを磨くことができるのか?

ここではその2点について深堀りして答えを見出していきます。

そもそもセンスとは何か?

まずは高く評価されるもののなかで、”センスがある”と言われるものと、そう表現されないものを各分野で分けてみました。

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こうみると、必ずしも良い結果を出すことが「センスが良い」と表現されるものではないのだなと感じます。

サッカーであれば、得点王になる人が必ずしも「センスがある」と言われるわけではなく、
むしろ、ハッと息を飲むようなパスを出す選手や華麗なボールタッチで見てる人を魅了する選手を「センスがある」ということが多いです。

経営者でも売上を上げいても長時間労働を社員に強いていたり、一時的に需要が増えているだけかもしれないので、「センスが良い」となかなか言われない気がします。

むしろ、業績は横ばいでも将来性のある事業を他社に先駆けて実施していたり、従業員の満足度が高かったり、社員を育てる施策を打ち出しているような会社の経営者の方が「センスが良い」と感じます。

比較してわかることは、「センスで表現されない」ことは”数値で表しやすい”ものが多いということです。

サッカーの得点数や企業の売上高ははっきりと数字で出てくるし、高級な服は値段でわかる。

“数値として具体化しやすい”ものはセンスが良いとは受け取られにくいもので、また数値化しやすいものは”結果”であることがほとんどです。

逆にセンスがいいと言われるものを見ていくと、数値として具体化しにくいものばかりです。しかし、何か二つを並べられたときにどちらにセンスを感じるかは何となくわかる。。

「数値化できないものの最適解を見出せる」
「センスとは結果出なく過程に宿る」


これが、センスがあるということの定義であると言えそうです。

ビジネスでセンスが求められるようになった背景

『情報の文明学』で著者は以下のような産業の発展を予言しています。

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産業の第一段階では人間はまず食べることに追われるため、農業などの食料生産の技術を発展させます。

食糧が充足すると次に、肉体を用いて行っていたものを産業にしていく。つまり、自動車や電気など工業化の時代に入ります。

そして、肉体的に満足したいという欲求が満たされれば、次は精神的な満足を得たいと考え、より良い体験や情報を求めるようになる。

家電や家具、自動車、携帯電話などが社会に行き渡り、
便利さや機能性という意味で、頭打ちを迎え始めているのが現在と言えます。

iphoneなどのApple製品では、パッケージデザインから、ユーザーインターフェースにまで至るまで、鮮やかな色やアイコン、なめらかな外装など、細部に至るまで入念にデザインすることで、ユーザーを感動させているのは有名な話ですが、

現在は、便利な機能をどんどん積み上げていくプロダクトデザインから、
ハード、ソフトの両面で使用者にどれだけ良い体験を提供できるかが重要になってきています。

具体的にビジネスで必要とされるセンスとは何か?

市場調査の落とし穴

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センスは知識から始まる」で著者は日本の製品開発で行われる市場調査がセンスを阻害する要因になっていると述べています。

市場開発とは6人くらいのグループに分かれて、「A、B、Cの商品のうちどれがいいと思うか答えてください」というような質問に答えてもらい、その結果から優れた製品を判断するというものですが、

① 普段の生活とは違う異質なシチュエーションで選択をするうえに
② 目の前にあるものとの比較でしか良し悪しを判断できない状況で
③ 人の性質として、自分の常識や価値観とあまりにかけ離れたものは選ばないので

結果的に、その中で悪目立ちするものが採用されたり、センスのよい新しい商品のアイデアが悪く評価されやすいという問題が生じます。

そして、判断の所在を調査結果に依存することは、「自分の何がいいと思い、どんなものを作りたい」という「考える力」を奪ってしまうということを指摘しています。

精度の高いアウトプットを出す能力が求められる

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精度の高いアウトプットとは、いいと思うデザインや決定をした根拠について、深く理解し説明できることを指します。

センスとは非常に感覚的で抽象的な印象を受ける言葉ですが、「なんとなく格好いい、かわいい」では信頼を得ることはできません。

洋服屋の店舗販売をしている知人から聞いた話ですが、
同僚でお客さんが選ぶ洋服に対し何でも「かわいい」と同調するだけの人がいたそうで、ある日お客さんから「あの定員とは話したくない」と苦情を受けたそうです。

お客さんが選んだ洋服は実際、本人に似合うものだったとしても、それでは同意する背景にどのような思考をたどったかが全く見えません。

仮に黒の細身のパンツを選んだお客さんがいて、「細身のパンツは長めのコートと合わせるとYラインシルエットができるので、足元のシルエットが美しくなります 」などの情報があれば、同じ同意でも信頼性が全く違ってきます。

そのため感覚に頼らないで、「確かな知識的裏付けのある、精度の高いアウトプット」こそこれから求められるセンスと言えます。

どうすればセンスは磨かれるのか?

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知識の積み上げがセンスを磨く

身の回りにいるおしゃれな人など、いわゆるセンスのいい人はどのようにして今のようになれたのでしょうか?

一つ確実にいえることは、その人は多くのファッション雑誌に目を通し、ファッションイメージの積み上げを行い、頻繁に洋服屋さんへ足を運び、試着をしたり店の人に着こなし方を聞いているということです。

下の図は持っているデータソース量で表現できる幅を色のグラデーションで表したものです。

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データソースが2個だと、表現できる幅は非常に単調なグラデーションになります。
「普通(データソースの中央値)」を認識する際の精度も荒くなるし、普通よりもちょっと明るいデザインで表現する際も多彩な表現はできません。

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データソースが5個になると、ソース2個の場合と中央値の色彩も変わります。情報量が増えたことでより高い精度で「普通」を認識できるようになったためです。

さらにデータソースの幅が広がれば、普通より明るい色など、選択肢(表現力)も格段に上がり多彩な表現が可能になります。


なぜ美しいと思うのかを分析する

これまでの話だけ聞いてると、「ただ知識を詰め込むだけでいいの?」って思いますよね。

まるで、表参道を優雅に歩くモデルや原宿にいるファッションリーダーは家ではジャージにメガネのガリ勉タイプでした!みたいな 笑

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それならそれで、隠キャの僕としては嬉しいのですが、
もう一つ大事な点があります。それは

「なぜ美しいと思うのかを分析する」

ということです。

例えば、以下のような野菜ジュースのキャンペーンバナーがあります。個人的に一目で「野菜ジュース感」が伝わっていいなーって思いました。
そこで、いったん落ち着いて、このバナーの情報を分析してみました。

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すると、使う画像は4色程度や緑色や、オレンジ色を使うこと、
強調する文字は基準文字の6倍くらい大きくすることなど

野菜のキャンペーン情報を伝えるビジュアルイメージの場合、
どんなものなら自分は魅力的だと感じるかが具体的に理解できます。

分析した結果出来上がる脳内イメージがこちら↓↓

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こうして、分析したものが脳内シナプスのように繋がっていけば、「このケースのときはこういう見せ方をすれば美しく見える」といった、引き出しが自分の中にたくさんできて、センスのいい見せ方や考え方が身についていきます。


センスを磨くための具体的な方法

Pinterestで情報を蓄積する

情報を蓄積するツールとして最適なのがPinterest(ピンタレスト)というイメージストックツールです。

ファッションやイラスト、ロゴなど検索すれば、何でもおしゃれなデザインが出てきて、ボタン一つで気に入ったデザインをストックできます。

気に入ったデザインと関連性の高いデザインも次から次へと出してくれるので、いつでもスマホ一つで鮮度の高いデザインを見ることができます。

デザインをストックする機能もあり、デザインを創作するときにも気に入ったデザインをいつでも引き出すことができて、すごくおすすめです!

雑誌を読みあさる

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雑誌は質の高いレイアウトの宝庫です。
特に企画書などは定型的な雛形になって思考停止になりがちなので、雑誌をたくさん読んでレイアウトデザインのインプットと蓄積することはセンスアップにすごく効果的です。

歴史を勉強する

流行は繰り返される、、、次にくるトレンドはかの有名な織田信長の甲冑を模した、
ヨロイファッションがきます!

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はい、すみませんでした。。

どんなデザインにもその背景には意味や出自があります。
例えばアルファベットの書体でも、古くからあるものはヨーロッパでできた書体、新しいものはアメリカでできた書体など。

ラフで躍動的といったアメリカンなデザインなら、アメリカ生まれの書体が合います。

デザインの歴史を知ることで、デザインをより深く理解してアウトプットすることができるようになるのです。

まとめ

ながながと話してきましたが、
センスを磨くには

・知識を蓄積して自分の中のデータソースを増やす
・デザインの分析を通じて脳内シナプスを増殖させる


この二つです。

あのイチローさんでさえ、
「僕は天才じゃないです。なぜなら自分のバッティングのメカニズムについて、全て説明できてしまうからです。」と言っています。
『イチローに糸井重里が聞く』 (朝日文庫)より

イチローさんが天才じゃないなら、もう天才なんていないですよね笑
そんなこと言ってみたいなぁ〜、なんて思いながら、お互いセンスを磨いていきましょう!!

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