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【マンガから学ぶ vol.3】「蒼太の包丁」から学ぶ修行の本質。"職人の本道"と"能率"とは

こんにちは、Squad beyondというデジタルインフラで全てのビジネスの成長をサポートしたい、株式会社SIVA代表の杉浦です。

実は創業初期からコーポレートサイトでたまーにブログを書いています。
完全にその時の気分で書いてますので、某ハンターマンガより更新は遅いです。

ちなみに余談ですが、ワンピースではモモの助の初登場からすでに約10年が経つそうです。その間に鬼滅の刃などなど人気マンガが開始から完結まで至ってると思うとまじでやばい。尾田先生ホントにすごい。すごすぎる。

そんな私のブログに、【マンガから学ぶ】というシリーズ(と言っても全2回なんですが)があります。


ありがたいことに、特定の漫画キャラの検索キーワードで1位をとってしまうなど地味に読んでいただいているようで、もっと読みたい!というお声をちょこちょこいただきます。

そこで、約2年前の下書きを引っ張り出してきて今回晴れてVol.3の公開に至りました。
※コンテンツ集約の関係で、vol.3からはnoteにて書いていこうと思います。
というわけで、ゆるい気持ちで読んで行っていただけると嬉しいです。

「蒼太の包丁 銀座・板前修業日記」とは

今回取り上げた漫画は

『蒼太の包丁 銀座・板前修業日記』

です。
2003年から2013年まで『週刊漫画サンデー』で連載された作品。

主人公北丘蒼太の実家は北海道静内で「きたおか」という料理屋を営んでいたが、母の事故死により父が気落ちして店は寂れてしまった。蒼太はそんな実家を立て直そうと上京したが、思うような修行ができないでいた。
定食屋の店員として働いていた時に、仕入れの帰りに偶然落とした一本のニンジンをわざわざ拾いに戻った所、それを見ていた富田久五郎と出会いそのまま東京でも五本の指に入るという料亭「富み久」へとスカウトされる。山村、青柳といった良い先輩にも恵まれ念願の和食の修行を始めた蒼太は「心を伝える料理」を目指し日夜料理修行に励む。

※2017年7月から『新・蒼太の包丁』が連載されている。

wikipediaより

北海道出身の蒼汰が、ひょんなことから東京で5本の指に入ると言われ、次期総理大臣候補なども通う銀座の超名店「富み久」の富田久五郎に弟子入し「心を伝える料理」を目指し成長していく物語。

現実を超越した設定はなく、派手なマンガではありません。
一人の青年がお客様や師匠・先輩・後輩との修業の日々を通して職人や料理人として成長していく様が描かれています。

実はこの漫画、主人公である蒼太になぜか厳しいことで知られています。
蒼太の恋は実らず、富久の後継者にはいつもタイミングが悪くなれず(蒼太の意志もあるのだろうけど)後輩にゆずり、自分の店を持つも富久に駆り出され使われ、自分自身は多くを望まず、その人の良さから誰かを助ける側にいつも回ってしまう。
ともすればいいように使われてるだけに見えてしまいます。

しかし、じつは蒼太ほどいつどんなときでも人に恵まれている人はいないかもしれません。
蒼太の腕はたしかなものですし、その人柄からとても高名な方に気に入られ懇意にしていただいたり、ふと出会った謎の人に助けられたり、他にはない出会いで人に助けられています。
どこの誰にでもありそうな出来事や出会いを大切にし、人にまず与え、巡り巡って人に生かされる。そして道は開け、物事は少しずつ動いていくんだなと。
リアルなストーリーだからこそ「自分自身の生活でも頑張ってみようかな」とそんな事を思える漫画です。

今回は、そんな「蒼太の包丁」から。
その後、順に富久を次ぐことになる先輩・山村さんと、後輩・須貝くんのエピソードから職人とは何たるか、本当の能率とはどういうものかを学びます。

成長への焦りから「能率」を求めて結果を急いでしまう

話は第12巻の4話「須貝の知識」にて展開されます。

須貝は蒼太の弟弟子、つまり後輩です。
高校を中退しちゃらんぽらんな日々を送っていましたが、富久に入り蒼太を始めとする先輩のひたむきな姿勢に触れるうち真剣に仕事に打ち込むようになります。

そんな、仕事に打ち込むようになった矢先、そんなときだからこそ
「早く次の仕事がしたい」
「もっとたくさんの仕事を任されたい」
「ステップアップしたい」
と思い始めていた時のこと。

昆布だしを引きながら、兄弟子である山村が後輩たちに昆布についての知識を教えていると、妙に饒舌に須貝が喋りだします。

先輩たちの間で微妙な空気が流れているところに、山村が言います。

食い下がる須貝。

しかし、、、
普段は感情を出すことなく、根気よく弟弟子に教える山村が珍しく強い語気で言い放ちます。

まだまだ未熟な自分なりにできる精一杯の努力をした須貝でしたが、思っても見なかった結果にへこんでしまします。

昨今では、「寿司屋の下積みに何年も必要なのか?」など、SNS上で議論が展開されていたりします。
そんな時代ですから、山村の指摘は「古臭い」と映る人もきっといるでしょう。

山村の意図は一体何だったのか。このときはまだ誰にもわかりません。

常連からの無茶振り「昔食べた幻の魚を食べたい」

スッキリしない日々を送っていた須貝。
そんなとき「富久」の常連のお客様から

「昔、能登半島で食べた鍋を食べたい」

という無茶な依頼が来ます。

お客様が持っているヒントは

「表面にぬめりのある白身魚のぶつ切りが入っていた」
「料理屋さんに"幻の魚だよ"と言われた」

という、まったく当てにならない手がかりのみ。
先輩料理人が様々な提案をし、試しにコレだと思う魚で振る舞うなどしますがどれも正解には行き着かず。
皆途方に暮れてしまいます。

頑固ながらも行動をやめなかった須貝

状況を見ていた須貝は、活躍するチャンスとばかりに動き続けます。

この須貝の行動をみて、
「頑固なやつだな〜、そこは素直に言うこと聞いとけばいいんじゃないの?」
と思う方もきっと多いでしょう。
しかし、そこは後に花板(料理長)にまで上り詰める男。この後の行動が素晴らしいのです。※ネタバレごめんなさい。

ネット検索でなにかヒントを得たかもしれない須貝、早朝の時間に自らの足で正解を確かめに向かいます。

そして聞き込みを繰り返した結果、ついに…

須貝は正解を見つけ出したのです。

苦悩し、工夫し、原点に立ち返り、成長した弟子。
大切なことを教え、きちんと認めた兄弟子

その魚は、通称「ノロゲンゲ」という魚でした。
底引き網で獲れる深海魚の仲間で、昔は食べずに捨てていたことから「下の下」と呼ばれていたものがなまって「ゲンゲ」になったとか。
また一方では、食べると幻のようにウマイということで「幻化」と字を当てたとも言われています。

しかし、実は別の呼ばれ方や地方ごとに同じ呼び名でも違う魚のことを指していたり。

足を使って現地に赴きたくさんの人と話したことで、話さなければわからない情報や、他の業界のプロの心意気を須貝は自然と学んでいました。

須貝は、お客様からいただいたキッカケを通して、「自分自身の今の実力でできること」と自らの体と時間を使い「その道を目指すなら必ずすべきこと」の両方をやり遂げたのです。

人は誰しも、「自分にしかできないこと」を追い求めます。
しかし、自分にしかできないことは99%以上の「誰もが確実にこなさなければならないこと」の上で初めて成り立ちます。

「自分にしかできないことがあるからみんながやっていることをやらなくても良い」ではなく、「みんながやっていることを当たり前以上にできて初めて、自分にしかできないことの価値が出る」ということです。
例えばサッカーなどのスポーツでも、どんなにシュートがうまくて百発百中決まったとしても、走らない選手は試合では使えません。
「誰にもできないことができるが、誰もがすべきことをしない」では成り立たないのです。

頑張りを認める兄弟子

安易に能率を主張した須貝に厳しく指摘をした山村兄さんでしたが、結果を出した須貝を素直に認めます。

そして須貝自身も、結果を出しながらも天狗になることなく兄弟子の意図を理解し、成長のキッカケをくれていたことにしっかり気づいていました。

そして、他のプロと触れ合いのなかで気づき、感じとり、自らに足りなかったものを理解したのです。

全てを話し、「いい経験になったな」と言える兄弟子と、素直に受け入れられる弟弟子の関係が眩しい。

道具はあくまで道具。使いこなせる経験とセットになった時、初めてほんとうの意味で真価を発揮する。

道具やツールはあくまで「本道(目的)を達成するための補助道具」です。

しかし時にそれらを使うことが目的になってしまい、本来の目的を忘れてしまいます。それでは、仮に短期的に成果を得られていても「経験」に落とし込まれてるとは言えません。応用も効かないことが多く、場当たり的な解決が癖になってしまいます。

小手先の料理人になるのでなく職人としての「道」を極めようとしている彼らにとって、職人の本道を忘れてしまうことは何より危険なことでした。
食材を通し、味や匂いで構成される「料理」は人の体験や記憶と密接に繋がります。
それらがすべて合わさった時、お客様は「もう一度行きたい」と思ってくれるのではないでしょうか。

きっとこのお客様は別の場所でたまたま出会ってたよりも、こうしてたくさんの時間を使い。若者の成長に関わったというストーリーも体験として受け取り、また来たいとより強く思ってくれるのだと思います。

それを、山村兄さんは教えてくれたのです。

【まとめ】目の前の事に向き合い、職人になっていますか?

いかがでしたでしょうか。

今回、須貝は成長を焦りモノに頼り少しでも知識をつけようと努力をしました。そして、山村兄さんはその浅はかさに気づいていました。

しかし、お客様からのお題という偶然のチャンス、つまり「事(コト)」に出会ったことで、パソコンと自分自身の体というモノを使い、目的を達成し、成長につなげることができました。
(チャンスだと気づいたときに自ら動き出せる。そもそもコレも素晴らしいですよね。)

これは私の個人的な考えですが、、、
須貝はきっと、結果が出るまでは「何が目的か」なんてことには気づいていなかったのではないでしょうか。ただただ、お客様の役に立ちたかった。
彼のとった行動は、周りから見れば努力に見えたでしょうが、彼の中ではお客様の喜び=自分の目的になり、努力をしている感覚ですらなかったのだと思います。
そうして結果を出すまでの過程で使えるものは全て使うということを自然とした結果、何が目的で、何が道具で、本当に大切なことは何かを気づけたのではないかと思います。

こういった体験を通して成功体験が身につくと、「成果の出し方」がわかるようになります。そうして再現性が生まれ、成功確率が上がり、成長スピードが加速的に上がり良いサイクルに入るのだと思います。

我々ビジネスマンにとって、それぞれの目の前の事に向き合うということはどういうことでしょうか。
自分は目的に向かい、事に向き合えているでしょうか。
結果を急ぎ、小手先の技術に頼り、場当たり的な結果に終始していないでしょうか。そんなことを考えさせられるエピソードでした。

【終わりに】早い成長だけが全てではない 

世の中では、「わずか○年で年商○○億円!」「最年少○○」のような早い成長を称賛する風潮があるように感じます。
それ自体、良い面もあり悪い面もあると思いますので否定も肯定もしませんが、私の考えていることは少し違います。

私は前々職で結婚式場の口コミメディアの営業をしていた際、星野リゾートさんの婚礼部門を担当したことがあります。
たくさんの提案をしましたが、他の式場でもわかりやすく成果がでていて、私自身も満を持して提案したきらびやかな広告は好まれず、いつも地味な提案を発注してくださっていました。
ある時理由を聞いてみました。

「ウチは、ブームを作りたくないんです。ブームは去るものなので」
「一貫した価値観で、価値の提供を続けます」

10年近く前に広告の仕事をしていた26歳の私の心には、とても刺さったのを覚えています。

「早く得たものは、早く失う可能性が高い」
「簡単に得たものは、簡単に失う可能性が高い」
「地道に培われたものは、そう簡単には失われない」

同時に私はこの様に受け取りました。
ともすれば急成長とは真反対の考え方かもしれませんが、ある意味、得たものを失わないという能率の良さにつながると考えるようになりました。

社会に出る時に起業することは決めていたのですが、この時に「粛々と努力を重ねて長期に渡り成長できる会社を作ろう」と決めたことを覚えています。
(奇しくも、現京橋オフィスがこの時話を聞いていた星野リゾートブライダルカウンターの目と鼻の先であることにも勝手になにかの縁を感じます笑)

人にはそれぞれ旬があります。
15歳でピークの人もいれば、30歳でピークの人もいますし、50歳でそれが来る人もいるでしょう。
変わらず言えることは、どんな人でも努力が必ず必要です。
15歳でピークが来たら、その後はそれを保つために
30歳なら、早熟な人を横目で見ながらしゅくしゅくと
50歳なら、ずっと諦めずに地道に
いずれにしても強い精神力と、本道を見失わない心が必要です。

自らの仕事の本道を見失わず、本当の意味での能率をこれからも追い求め会社としても個人としても成長していきます。


以上、Vol.4もお楽しみに!

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