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#75 日本語吹替え版が好きなんです

よく巷で論争が起こる究極の選択。映画を字幕版で観るか日本語吹替版で観るか…。私個人的な意見として結論から言いますと、「どっちも楽しめば2倍楽しい!」に尽きます。

字幕版支持者は外国の俳優さんの肉声が聞けた方が、実際その場で話された臨場感があることを主張されると思います。それは当然のことです。私も映画館で観る場合はさすがにこっち優先です。

でも字幕版には限界があることをご存知ですか?

字幕は決められた時間の中に、文字を凝縮してあります。たて書き、横書きにもよりますが、最大で30字前後を4~5秒間表示しています。アメリカ映画は1カット当たりのセリフの量が10年前に比べて、2倍になったと言われています。しかし字幕の文字の量はそれに合わせて増やすことはできません。つまり字幕はその映画のセリフを全て翻訳しているわけではないのです。

短いセンテンスで端的に伝えるための字幕制作は、その道のプロの方(戸田奈津子さんやアンゼたかしさんの名前を映画の最後に良く見ますね)がやっておられるので安心して見てられるのですが、話し言葉より制限がある分、伝わるニュアンスとかで、吹替版に軍配があがることもよくあるんです。

あと豆知識ですが、字幕版がある国って世界的に見ると実は少なかったりします。むしろ母国語に吹替して上映している国の方が多いです。
 

でも字幕版の限界を補うからという理由だけで、吹替版も見たほうがいいとは言いません。それには、「なぜ僕はこれほどまでに吹替版が好きなのか」をお話しさせていただきましょう。

過去エントリにも書いたとおり、私は自称「配役マニア」です。

配役といっても、ドラマや映画に限りません。もちろん声優さんにも当てはまります。中学生の時に声優さんを調べると「面白い」って事に気が付きました。映画や、アニメで結構同じ声優さんが、全然イメージの違う役を演じていることがすごいと感じるようになったのです。声優さんが演じるのは「声」だけですけど、外見を見られないで済むこともあり、むしろ普通の舞台やドラマの俳優さんよりも、遙かに演じる幅が大きいです。
 

例えば、山ちゃんこと、山寺宏一氏を例に挙げてみましょう。山寺氏はブラッド・ピット、トム・クルーズのような2枚目俳優から、トム・ハンクス、ロビン・ウィリアムスのような名俳優、そしてジム・キャリー、エディ・マーフィ、マーク・マイヤーズのような個性派俳優まで演じます。

そして極めつけはクリス・タッカー!彼を演じれるのは山寺氏だけと言っても過言ではないでしょう。「フィフスエレメント」では、クリスのDJ部分まで吹き替えてました。歌といえば「48時間part2」では護送車内で熱唱するエディ・マーフィ、そして「オースティンパワーズデラックス」ではDr.イーヴルのラップまで歌ってました。

映画って、山寺氏のような声優さんが吹き替えると、いい意味で【別モノ】になって、それはそれですごく面白くなるんです。なので、映画館では字幕で見て、DVDやサブスクリプションで観るときに吹替版で観ます。


フィックス声優といえばジャッキー訳の石丸氏


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「フィックス声優」という言葉をご存知でしょうか。その俳優の吹替えはこの声優でほぼ決まっている場合、この声優を「フィックス声優」と言います。トム・クルーズは森川智之、ヒュー・ジャックマンは山路和弘、ロバート・ダウニーJr.は藤原啓治、ナタリー・ポートマンは坂本真綾、最近ではベネディクト・カンバーバッチは三上哲といった具合。その中でもやっぱりはずせないのがジャッキー・チェンは石丸博也氏!

すごく古い例で悪いのですが、吹替版の私的大傑作として、「大福星」という映画があります。五福星、大福星、七福星、十福星…と合計7作にもおよぶ福星シリーズの第2作目にあたります。内容はジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウ揃い踏みの刑事ものです。ジャッキーはもちろん石丸さんが吹替えていて、サモハンは水島裕、ユン・ピョウはチョイ役なんですが堀秀行。

この映画にこんなシーンがありました。刑事役のユンピョウが、ラスボスの右腕の男(眼帯してるんだよ…)とタイマンはるシーンでのやりとりなんですが、字幕だとこんな感じ。

敵「ご苦労なことだな」、
ユン「これも給料分だ」。

しかし、吹替版だとこうなる。

敵「なんでそんなにしゃかりきになるんでえぃ?」、
ユン「決まってるだろう!出世のためだあ!」

文字だけだと上手く伝わらないのが、少し歯がゆいのですが、イラストに描いてみたので伝わればいいなぁ。これに限らないのですが、声優の名演によって、映画の魅力が何倍にもなることがあります。

世の中にはここで取り上げた「字幕版vs吹替版」のように、よく二項対決の図式で煽ったりすることがあります。例えばきのこvsたけのこみたいなヤツです。そのような場合は「どちらも楽しめれば二倍楽しいかも」と考えてみるのも必要なことかもしれません。

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