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【感想】【洋書】BEFORE I GO TO SLEEP

毎朝、記憶が…

クリスティーンが朝起きると、一切の記憶を無くしていた。ここがどこか、自分が誰なのかもわからない。そして鏡を見てみると20代の感覚だった自分は、中年女性となってたー。

クリスティーンは毎朝同じように鏡の前で驚愕し、隣に寝ていた見知らぬ男性から、自分は夫で、君は病気なのだ、と告げられる。彼女は眠ってしまうと、その日の記憶を失ってしまう病気だった。

何も信じられない

これは怖い。何が信じられるでしょう。彼は本当に夫なのか、医者と名乗り、毎日のように彼女に電話している、という男性は味方なのか。

そして自分はどんな人間だったのかー。

彼女は記憶を「記録」することで、昨日までの自分に追いつく「日記」を書くことに。この日記だけが、彼女に隠された不可解な状況の謎を解く唯一の鍵となっていきます。

この本の大部分は、彼女の日記を読者が読んでいくことで、物語が進む形になっています。しかしこの日記の内容も本当なのか、彼女と同じように、読者も不安になりながら、ページをめくるのです。

「何が真実なんだろう…?」クリスティーンの恐れや苛立ちは、そのまま、読んでいる私も感じて、自分がクリティーンになったように読みました。

しかし、徐々に封印された忌まわし記憶が断片のように現れたはじめ、食い違う夫の説明にも疑いを持ち始めます。

記憶喪失ミステリの醍醐味

毎朝記憶なくしていたら、まったく物語が進まないですよね…。
しかし、あの日記があるからこそ、彼女は昨日までの出来事を取り戻せるので、物語が進みます。

その繰り返しで、徐々に記憶を取り戻していき、物語の真実の姿が見えてくるのが、記憶障害が出てくるミステリ物の面白いところですよね。

しかし、徐々に現れてくる実際の自分は、本当に自分が望む姿なのでろうか。こんな不安はとても大きいと思います。

私はメモやブログの下書きをスマホで入力することが多いのですが、もし、記憶を無くした自分が、このスマホにだらだらと書かれたメモの断片を読んだらどう思うだろう…。ちょっと「人格」を疑ったりして。

最後のいわば「解決編」のところはちょっと説明的になってしまってて、ちょっと残念。最後も盛り上げて欲しかったな、と思います。

映画の原作にもなりました

S・J・ワトソンのデビュー作にしてベストセラーにもなり、また映画の原作として、「リピーテッド」という題名でも公開されました。


リドリー・スコット監督で、主人公がニコール・キッドマンというのも驚きです。なぜか今はAmazonで見ることができません、残念。

English

文中の英単語はそれほど難しくなく、一文一文、短めで比較的楽に読むことができると思います。

登場人物も少ないので、ミステリ系の物語でもプロットが複雑になりすぎることなく、楽しめると思います。多読初級としても挑戦できそうです。

日本語訳書はこちら▼


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