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読書レビュー 六法推理

 面白さ★★★★☆
 オススメ★★★★☆
 難しさ★★★☆☆
 ページ数:341

 ひとことで表すと……未熟な主人公と相棒の相補関係が心地よい推理小説

 今回の本は、以前読んだ作者の推理小説が面白かったのでそれで選んでみた。結論から言うと、今回の作品も読みやすくて面白かった。個人的には前回の「原因において自由な物語」の方が若干好みではあるが、今回の方が好きな人も多そうだと思うような内容となっている。

 主人公の古城行成は法学部の大学生で、無料法律相談を行っている。そこに事件を呼ぶ、同大学の経済学部で作中では相棒のポジションとなる戸賀夏倫が現れ、一つ目の事件が始まる。この小説は、各章別個の様々な事件に関わっていくオムニバス形式のような形で構成されており、それぞれの事件がテンポよく解決されていくため、読みやすい。また、主人公はあくまでただの大学生で、推理等には穴があったり的外れだったりと不完全であり、そこを知識などはないが違った見方ができる相棒と補い合うような形になっており、バディものとして面白かった。

 事件の内容としてはそれぞれ大学生が扱うにはかなり重大なものが多いこともあり、若干展開への違和感はあるが、テンポが良いためそこまで気にならなかった。最終的には主人公と相棒の関係性や、成長的な要素もありこういったタイプのミステリー小説として基本がしっかりおさえられていて読みやすい、万人におすすめしやすい良い小説だと思った。

今回の本:六法推理 著 五十嵐律人 株式会社KADOKAWA 2022

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