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読書レビュー ゲノム編集とは何か

 面白さ★★★☆☆
 オススメ★★★☆☆
 難しさ★★★★★
 ページ数:231

 ひとことで表すと…ゲノム編集についての専門的な基礎知識が得られる本

 まずこの本の1ページ目で自分の誤解に気づいた。ゲノム編集と遺伝子組み換えは別の技術だった!(その筋の人にとっては当たり前だと思うが)

 ゲノム編集の技術が開発される前は、人工突然変異や遺伝子ターゲティング(これは想像できる内容だった)によって遺伝子の突然変異を行っていたらしい。ではゲノム編集とは何か。それは人工制限酵素(人工ヌクレアーゼ)とよばれる、DNAの特定部分を切断することができるものの開発によってなされた。
 つまり私がこの本を手に取るまで想像していたゲノム編集(ガンマ線で突然変異させたり、沢山繁殖させて特定の性質を見出したり)といったものはゲノム編集ではなく、特定の物質を使ってゲノムを狙って編集するものがゲノム編集のようである。簡潔に言うと、遺伝子組み換えは偶然的に起こす(起こる)ものであり、ゲノム編集は遺伝子組み換えを狙って実行するものと言える。

 その説明の後は、ゲノム編集の活用について書かれている。有用なゲノム編集された細菌の開発や、作物の品種改良、アレルギー対策や医療への活用など様々な活用方法について知ることができる。

 この本では、このゲノム編集の基本的歴史や背景、現在の活用、これからのゲノム編集について知ることができる。多少専門用語が多く難しい内容になっているが、ゲノム編集の基礎について詳しく知りたい人にオススメできる本になっている。

今回の本:ゲノム編集とはなにか 「DNAのハサミ」クリスパーで生命科学はどう変わるのか 著 山本卓 講談社 2020

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