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やる気はどうすれば出るのか~「勉強法の科学」から考える

保護者の方に相談されることが多いのが「どうすればやる気ができますか?」という話です。「やる気がないのは仕方がないのでは?」というのは答えになりません。基本的にはやる気にならなければどんなことも効果がないのは確かです。

しかし、やる気にさせるための工夫は必要です。まあ林修先生はやる気がないのは仕方がないみたいなことを言っていたと思いますが、そんなこと言われても親としては仕方がないですし、お金をもらってお子さまを預かっている以上、そんなことを言っていたら何のために教室事業をやっているか分かりません

ではどうすればやる気が出るのでしょうか。今回は以下の本をまとめながら考えたいと思います。

やる気が出る・出ないの仕組みとは

結果期待とは、自分がある行動をとれば良い結果が得られる陀という期待のことで、随伴性の認知にあたります。一方、自分はそのような行動を実際にとれるかという期待が効力期待と言われるものです。
(中略)
勉強の計画を立てるときも、「これをやればいい結果になる」という確信をもてる内容にすると同時に、「これなら自分でもできそうだ」という実行可能性の高いものにしないと、やる気は湧いてこないのです。
(92-93頁)

つまり、自分はこれをやればできるようになるということと、これは自分でもできるというものでないとダメなんですよね。それで「やる気がない」というのは「学習された無力感」だと言われています。

これまでの経験の中で、「どうせやっても無駄」と感じ、「こんなの自分にはできない」となってしまっているわけです。これ、両方揃っている場合は結構大変です。どちらかだけなら何とかなるのですが。

やる気を出し惜しみする状態とは

無意識のうちにやる気を控え、仮に成績が悪くても「自分は本当は頭がいいのだけれど、勉強しなかっただけだ」という言い訳を用意しているのではないかというわけです。なぜそんなことをするのでしょう。それによって、自分の自尊心やプライドを維持する、あるいは、人からの評価を損なわないようにするためです。
(94-95頁)

本気出せばできるけど出さないのは、人の評価が怖いんですよね。「ほんとは俺は勉強ではなく、バスケがやりたいんだ」というので、バスケを勧めると「バスケではプロにはなれない」と言うんですよね。

結局、やる気を出さない言い訳を探しているわけです。人の評価は怖いですからね。ここが吹っ切っていると人は人、自分は自分となって頑張れます。

「やらなかったからできなかっただけだ」「やればできたはずだ」と思い込んでいる状態というのは、努力しなくても自尊心や評価が保てる状態なので、ある意味、居心地がいいのです。セルフ・ハンディキャッピングは「自尊心を守るための心のメカニズム」ではありますが、それを続けていると、いずれ、自尊心も評価も失うときがやってきます。…やってみたら、できるようになった、おもしろくなった、という経験をつかむことが重要です。
(95-96頁)

ちょっとやってみてできるようになる、おもしろくなるはとても大切ですよね。算数が全くできなかった子がいましたけど、できるようになったら、その後、嫌がらずに勉強するようになりました。そうすると、成績も上がるのは当然ですよね。

やったらできるようになると思ってもらうこととやれる課題を提供することが大事

外発的動機付けは報酬や仲間などいろいろありますが、本人がどうやる気になるかはとても重要ですよね。先ほどもかきましたけど、「自分はやったらできるようになるんだ」という自信がまず必要です。

ただこれが意外とやっかいで、これまでそうした経験をしてきてないとなかなか難しいんですよね。でもひとつひとつ付き合いながら、やったらできるということを実感してもらうしかないでしょう。

また本人がやれる課題を提供することが大切です。全く分からないものを渡されて、「はい、やりなさい」と言われても、拒絶して終わりです。そうならないためにも何を子どもたちにやらせるかはとても重要だと考えています。

そういう意味ではカリキュラムをどう作るのかはとても大切なんですよね。そしてその中で、何を教えて何を考えさせるのかをしっかりしておく。それをレベルに合わせて調整できるようにしておけば、いいかなと思っています。

正直なところ、それがうまくできているとは思っていません。しかし、課題をしっかりと提供できるようになれば、今よりもやる気を出して勉強に取り組んでくれるのかなと思っています。

まとめ

やる気を出させるというのはとても大変で、特に小学生を相手にしていると、どうしてもやらされている感が出てしまうんですよね。でも、それだとほとんど効果がないので、自分で勉強しようと思えるようにあらゆる手を尽くしています。

「やる気がないやつはダメだ」と切り捨てることは簡単なのですが、自分も小さい頃にやる気がある方ではなかったので、やる気がない子どもたちの気持ちを分かるんですよね。なんとか子どもたちがやる気になればなあと思って日々奮闘中です。


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