「ぼく モグラ キツネ 馬」を読んで泣いた話

「ぼく モグラ キツネ 馬」を読んだ経緯

現在僕はシェアハウスに住んでいます。家に帰ると一冊の絵本がありました。

一緒に住んでいる友人 (Tら) が突然この本を買ってきたようです。
これを買ってきた人と、それを読んだ人 (Cふ) が二人とも泣いているので、最初どうしたことかと思いました。
その日は有志で自分の取説を作る予定だったのですが、ただ事じゃない雰囲気を感じて、その場にいた4人で読むことにしました。

最初は僕一人で黙読していました。数ページ読んだところで、Tら氏より「ネットには声に出して読むのがオススメと書いてあった」と。そんなわけで僕の朗読が始まりました。

……もうね、途中で泣けてきちゃって、言葉が詰まって進まなくなりました。みんなに向けて朗読しているからという理由で自分を奮い立たせて、なんとか読み終えられましたが、読み終わって、良かったページを見返すと涙がボッロボロ出てしまいました。

どんな本?

明るい本です。元気がでる本です。言葉に励まされる本です。

話の流れとしては、「ぼく」が「モグラ」と「キツネ」と「馬」に出会って、旅 (散歩?) をしながらいろんな会話をする展開です。起承転結みたいなのはなく、1ページごとに温かい詩的な受け答えと絵が書かれています。作者はまえがきで、どのページから読んでもいいと書いています。

・モグラはひょうきん者。ケーキがだいすき。
・キツネは孤独。ツンツンしてるけど寂しがり屋。
・馬は穏やか。年の功を感じる。

「ぼく」と、この動物たちとの受け答えが、とーってもあったかいんです。
多くの読者が持っているような悩みや恐れに対して寄り添ってくれるような、背中を押してくれるような、美しくも素朴な文がページをめくるたびに目に飛び込んできます。

絵も美しい。ブラシ1本で書かれたようなモノクロの線画。強い線と余白のコントラストで、白と黒で描かれたキャラクターに躍動感が生まれています。表情や背景の書き込みが少ない分、読者の想像力が掻き立てられている感じがします。

僕のお気に入りの一節を紹介します。

ぼく: 「いままではっしたことばのなかで、いちばんゆうかんだったことばは?」
うま: 「たすけて」

このやり取りが僕の涙腺をがっつりこじ開けました。
人に嫌われるのを恐れて、避けて、自分を追い込んだ過去。
今やっているちょっとした挑戦と、助けてくれる友人。
そういうのが一気にフラッシュバックして、心がいっぱいになりました。

要するに名言集+絵なんだが…

なので響く人もいれば響かない人もいる。きっと。

僕も学生時代に名言集みたいなのを読み漁ってた頃がありまして、「深い言葉」耐性があると自認していたんですよね。例えば他の人がとある本や作品にハマっていて、その中の登場人物がいいこと言う!と紹介されても、僕の心の中では「ふーん」となってることとか多いです。

僕が慣れ親しんだ名言って、わりと成功者の言葉が多くて、物事を成し遂げるためのマインドセットを学べる系が好きでした。

ではなぜ僕はこの本に心を動かされたのだろう?考えてみました。

「ぼく モグラ キツネ 馬」の中で輝いている言葉たちは、成功の定義を揺るがしてくる。幸せな生き方を問うて、一緒に考えてくれる。そんな気がしました。

ひとりじゃない。
今は弱くてもいい、弱さを認めることが強さなんだ。
自分にしかできないことが必ずある。

そんな励ましをこの本からもらいました。

きっとタイミングもある。心にすっと入ってくるタイミング。縁とも言えるかな。この本と出会えたことと、この本を紹介してくれた人、一緒に泣いてくれた人と出会えたことに感謝しかない!

一人ひとり違う個人だし、考え方も違う。でも、そんな個人たちが

「一緒にいることが、それだけで素敵なことじゃないか」

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