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「道化師の蝶」とひらめき

どうも、とったんです。

なにか書こうと思ったアイデアは忘れやすい。
実際このnoteを書く前に書こうと決めていたアイデアは雲のように散り霧のように消えてしまった。

例えその場でメモを書き留めていても、あとから見返したとてそのアイデアに対する感動は薄れ、つまらないものに思える。単に飽きっぽいだけかもだけど。

アイデア、ひらめきは移ろいやすい。
さながら蝶のように気ままに見える。
そんな着想から生まれた(と思われる)小説が円城塔の「道化師の蝶」である。

富豪・エイブラムス氏をアルルカン、道化師と名指しした小説を書いた謎の多い作家・友幸友幸。彼はその小説を無活用ラテン語(人工言語の一種らしい)で書いた後、様々な形で翻訳されたバージョンの原稿を各地に残していた。
エイブラムス氏は資産を投げ打って友幸友幸を追うのだが…。

幾重もの入れ子構造のストーリー、言語(特に翻訳時の意味のズレ)に焦点を当てた複雑で壮大な物語の小説で、芥川賞を受賞している。

えっ、芥川賞!?
読後感としてはSFを読んだ気分なんだけど!?
まあ当時の文壇も賛否両論あったらしいけど。

言語を扱うSFという円城塔っぽさが出ている作品。劇中のキーパーソン「友幸友幸」というネーミングがとてもよい。西尾維新好きなのでこういう言葉遊びは好きだ。
ラノベ作家の入間人間みたいなネーミング、嫌いじゃないです。

作中(劇中作)でエイブラムス氏がジェット機などの移動している乗り物の中で特注の虫取り網でアイデアを捉えているシーンがとても印象に残る。なるほど、端から見りゃアルルカン(道化師)にみえルンバ。

本筋とは関係ないが「その場所で読むのに適した小説」というものが出てきて、例えば「新幹線に乗りながら読むのに適した小説」、「猫の上で読むのに適した小説」(?)などがある。

読むのに場所を指定するの…?と思うが、でも確かに読んだ場所で読む印象が変わる本は割とある。

アイデアを捉えるためにぼくも新幹線で虫取網を振り回そうかな。
警察の御用になるから止めろ。

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