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インドは旅行じゃないよ。冒険だよ。6.ブッダとスジャータと痴漢

仏陀が悟りを開いたとされるブッダガヤからほど近い所にナイランジャナー川がある。
乾季の為、カラッカラに乾いていた。
川幅は50m近くあり、恐らく地下を水脈が走っていると思われる。

そこは、王子だったゴーダマ・シッダールダ(仏陀)が、苦行の末、身を投げたとされる川だ。
身を投げた瞬間、オーム(凡・悟り)という声を聞いたという。

でもこれは諸説あり、苦行で死にかけていた・・・と言われることが多い。
何だか、仏陀を美化しているように思えて仕方ない。
まあ、後世の人は、好きに思ったらいいんじゃないかなw
どちらにしろ、仏陀は仏陀なのだから。

で、死にかけていた仏陀に粥を捧げ、献身的に尽くしたと言われているのが、その土地の娘、スジャータだ。(ミルクでお馴染みのw)

僕は万感の思いを込めて、その川へ飛び込んだ。
パフッと砂が舞い上がっただけだけど・・・。

広い川を歩いて渡った。
小さな集落があり、そこでチャイを飲んだ。
遥か昔、お釈迦さんも、ここでチャイを飲んだのだろうか、などと考えながら。

そこは、川以外になーーんもなく、滞在時間、一時間で帰路に着いた。
まあ、そこに立って想像を巡らせるのが楽しいんだけどね。

インドでバスに乗る・・・舐めたらいかんぜよ。

インドの歩き方の基本は、バス移動だ。
チャーターしたバスじゃなく、ただの公共バスだ。

先ず、バス乗り場・・・ここで大抵、へこたれると思う(*´д`)
人の数もさることながら、バスの数が半端ない。
俺は一体、どれに乗ればいいんだー! と、叫びたくなる。

もちろん、文字なんか読めるはずもない。
仕方なく、誰かれ捕まえて教えてもらう。
英語が通じないので、ヒンズー語で・・・。

「私、ここ、行きたい」こんな感じで地図を見せる。
「知らん、知らん」と冷たくあしらわれる。
自棄になって目的地を叫ぶ。
すると周りの親切な人が、あのバスだろ、たぶん・・・と、いい加減な情報をくれる。
基本、インド人は親切だ。だけど、尋ねたら知らないというのは失礼だと思っている。だから適当に教えてくれる(つД`)

で、徐々にバスを絞って行き、一番有力だと思えるバスの運ちゃんに聞いてみる。すると、それはあのバスだと教えてくれる。
最初から、運転手に聞けばよかった・・・・。

軽く反省して、小汚い小屋のチケット売り場で切符を買う。
ここではあっさりと買え、拍子抜けだ。

そしてバスに乗り込む。意外と空いている。
が、発車時間が近ずくに連れて混みだす。
荷物を膝の上に置く。

網の荷棚にも人が横になっている。
そして僕の肩にも・・・・。
「おい、てめえ、どけよ」と、日本語ですごむ。
しかし男は周囲を指さす。
見ると、みんな座席の背もたれ、と言うか、ほとんど肩に座っている(゚Д゚;)

「な!?!」みたいに、男はドスンと僕の肩にお尻を落とした・・・・。
な!?! じゃねーよ! と心で怒りつつ、隣を見る。
奥さんがケラケラ笑っている。
楽しいでしょうよ。女性の肩には流石に乗らないから。

一時間ほどガタゴトと揺られて、僕の肩に乗った男は降りて行った。
ふぅ・・・と一息つく間もなく、今度は大きな荷物を僕の膝に乗せられた。
睨みつけると、「お前は座ってるからいいじゃんよ」と、訛りのきつい英語で言われた。
けっ・・・どいつもこいつも!

と、今度は山羊が僕の隣に来た。
メエ~~~・・・じゃねーよ!
臭いんだよ!
腕を舐めて塩分を摂るんじゃねえ!
痛いんだよ! 山羊の舌って、超絶痛い><;

何度か乗り換え、最後に最後尾の座席に座った。
ちょっとヒスイ臭い(垢臭い、酸っぱい臭い)さえ我慢すれば、そう悪くはない。

でも奥さんの様子が変だ。
チラチラと僕を見る。
「どうしたの?」
「なんか・・・肩を触られるの」
「誰に?」
「そっちの人に」
注意深く観察すると、どうやら僕を挟んで反対側の男が手を伸ばして、奥さんの肩を指先の爪で触っているらしい。奥さんが気付かないほどのソフトタッチだ。
これが噂に聞いていたインドの痴漢か!

僕は吹き出しそうになりながら妻に言った。
「いいじゃん、そのぐらい。触らせて上げなよ」
「もう、いやよ。バカ!」

奥さんが嫌がっているのに許せない。
僕は男を睨んで警告した。
しかしまだ止めないようだ。
仕方ない、最後の手段だ。
僕は男の胸倉をつかんで、「やめろ!」と飛び切り低い声ですごんだ。
男は急に怯えた表情になって手を引込めましたとさ、めでたしめでたし。


さあ、いよいよ聖地バラナシだ。(バナナシとか色々言われてる)
僕はここでインドの洗礼を受けることになる・・・・。



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