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オリジナリティのあるローグライクを考える RogueEna

矢印キーだけで遊べるローグライクから、操作体系を大幅に変更したローグライクに作り直す作業をしていますが、だいたい基本的な仕様は実装が終わりました。主にアイテムの取り扱いの自由度を上げています。矢印キーだけではそれがネックになってしまい、面白さを実現できなかったのです・・・。

ということで、ごく一般的なローグライク系のゲームとしての基本機能はほぼ実現できたので、作りたいものが作れそうだという確認が取れました。そして、これからはゲームデザインをよく考えていく段階に入ります。少し前から考えていますが、この数日間新たな実装をしていないのは、それを考えていたからです。今日はその辺りを紹介しようと思います。

アイテムマネジメント

大好きな風来のシレンシリーズをはじめとする一般的なローグライク系のゲームでは、アイテムをいかに利用するかが主な戦略になります。シレンやトルネコでは特に「壺」という機能が強力で、インベントリ拡張や合成といったアイテムの運用方法を広げる役割があります。また「ものを入れると効果が発動する」というベース機能に対して「効果」を考えることができるので、機能拡張としても使い勝手がよい素晴らしいアイデアだと思います。

この「壺」に勝るような新たな別案は無いだろうかと最近ずっと考えています。

ローグライクは探索してアイテムを集めることで「様々な局面に備える」ゲームですから、そのアイテムを集めたり取捨選択したりすることに重点して面白さの要素が含まれています。「収集や整理のしやすさ」「識別」「合成」の3点を中心にアイテムを集めて備える面白さを引き出せる新たなものを考えています。見つかるのかな?見つからなかったら壺になってしまう可能性もありますが・・・。できたら新規性の高いものを作りたいですね。

罠チェックの面倒くささ解消

罠という仕組みは入れたいなと考えています。まずはシレンシリーズでの罠チェックの話しをしますね。

シレンシリーズなどでは罠チェックというテクニックがありますが、これは人によってはとても面倒な作業となっています。素振りといって、敵の居ない場所に攻撃をすると、その方向のマスに見えていない罠があれば姿を現してくれるという機能です。

これは1歩動くのに2ターン掛けることと、罠がないか確認してからその方向に移動する、という慎重な行動を取ることの2点に面倒を感じる人も多いようです(YouTube のプレイ動画などを何人か見ているとそう感じます)。99階を目指すなら、最終的にこのテクニックはほぼ必須(少なくとも敵に隣接する前にチェックするなどは最低ライン)なのですが、結構しんどいですね。大部屋モンスターハウスでアイテム集めをしている時とか、スイスイとアイテム集めして次に行きたいのに、落とし穴やデロデロの罠などハイリスクな罠が沢山ありますので、罠チェックをしないと厳しいです。

この仕様は、罠感知系のアイテムや罠に対する防御能力(おにぎりを保存の壺に入れているとか、呪いよけの腕輪を付けているとか)があればリスクをへらすことができ、対して罠チェックの煩わしさと空腹度の節約がトレードオフ関係になっています。にしても、やはり対策は不十分な場合が多く、落とし穴やモンスターの罠のような避けることが難しいリスキーな罠もありますので、罠チェックの優先度は面倒な割に非常に高いのです。

しかし、罠をチェックせずに移動しなくてはならない場合もあります。それは敵との間合いの問題が発生している場合です。自分が有利な位置に1ターンで移動しなければ罠より強力な攻撃を食らってしまい致命傷を受けるような場合です。その1歩が罠を踏む可能性は低いので敵の攻撃や魔法から逃げるために移動するほうが合理的ですが、低確率とはいえ罠を踏んでしまうと即死する可能性すらあります。例えば睡眠の罠は、数ターン行動できない状態で敵から好き放題攻撃されることになります。中盤以降だとどんな局面でもゲームオーバーか瀕死になる可能性大です。つまり、罠チェック済みでない場所に移動することのリスクは1つしかない命を扱う上では慎重にならなければなりません。石橋を叩いて渡るということです。

これがシレンの罠の仕様の話ですが、元の話に戻すと、この罠チェックやが面倒だという点を解消したいなと考えています。

ということで考えているのが「草むら」という機能です。

「草むら」がある場所には罠がある可能性があり「草むら」がなければ罠は絶対に存在しない、という仕様です。また素振りをすると草むらが刈られて罠チェック済みの状態にすることもできます。つまり、予め罠チェックのマークが付けられた状態+自分でチェックした場所の罠もマークしていくようなマッピングシステムですね。

これの利点は、罠チェック済みが(記憶ではなく)きちんと目で見えていること、また罠がある場所が予測しやすくなるため面倒くさい石橋を叩いて渡る罠チェックはしなくて良いこと、そしてどうしても局面的に草むらに移動しなくてはならない場合が出来てしまう事態になればハイリスクを負うことになるので、そうならないように心がける立ち回りで防ぐことができる、というようなものです。草むらの多い部屋とかフロアがあったりすると緩急があって良いかなとも思います。

ちなみにシレンでは罠を利用した識別や稼ぎテクニックも存在するのですが、そういったものを見つけやすくなるという点も大きな違いになります。その分、罠のリスクは高めに設定したり、稼ぎは稼ぎで面倒くさいので、それも別途で解消できたらいいな、など考えています。

ですので、草むら機能にマッチする罠の種類を考えていくことにもなります。

お店や泥棒

一般的にローグライクではお店があって、お店でできることはお金と交換してアイテムを入手する以外に、アイテムの売買価格による識別、そして泥棒というものがあります。

価格による識別はプレイヤーの記憶力か別途メモを見るなどして行うことになりますが、これはプレイスキルとはまた違った要素だと思うので、仕様的に要らない、もしくはあっても頼らなくて良いようなものにしたいなと考えています。販売価格と売却価格の差や回数・呪い・祝福状態での価格の違い、同じ価格の別のアイテム、色々覚えたり計算しなければいけないものが多く、最適に行動したい人にとっては、お店での作業はとても面倒くさいわけです。急にクロスワード的なゲームが始まってしまう感じですね。なので、その面倒くさい作業を不要にできないだろうか、ということを考えています。

泥棒については、悩んでいます。これは非常に面白い仕組みで、1ターンの重みが極端に上がる分、成功したときの快感は堪らないものがあります。モンスターとの戦いとアイテム探索だけだと単調になってしまうので、こういった短期的な目標が自分で選択できるのは重要な要素です。今持っているアイテムを沢山消費したり死亡する可能性があるような大きなリスクを負いながらも、持てるだけの品をすべて盗むような大きなリターンを得る、という駆け引きがあります。また、その際は将棋のように熟考する楽しみもありますね。パズル的な面白さはありますが、これは価格による識別とは違って、知識より頭脳プレイを求められる場面です。
なので、泥棒機能は代わる物がなければ作りたいですね。なおモンスターハウスも(プレイヤーが選択しづらい場面ですが)緩急をつけるための短期的目標になっていますから、似ていたりはするのですが。

泥棒するべきか判断するときに価格による識別が有効に働く場合もあったりするので、実際は両者を簡単に切り離して考えることの出来ない部分です。

ローグライクは環境シミュレーター

もっと言えば罠だって泥棒を利用するために使えるし、罠のせいで泥棒できなくなったりすることもありますから、個々の仕様より相互的な関係こそ面白さにつながると思います。組み合わせが無数にあって、解法がパターン化しないことはこの手のゲームでは特に求められているものです。

ゲームは、そのゲームの世界の物理法則上で営まれる遊びとも捉えることができ、それは「環境シミュレーター」とも言えると考えています。特にローグライクではその法則にはかなり厳密な規則が設けられていて、一部のランダム性を除けばニュートン物理学のように現在の状態から次のステップの状態を人間の頭の中で予測できるような仕様になっています。

泥棒という仕組みは、アイテムを床に並べて販売するというスタイルのお店では、その物理法則によって必然的に生まれてしまうものだったりします。壁に穴をほったり、ワープしたり、そういう魔法を使えば店から物を持ち出せてしまうからですね。それを無理やり防ぐのは物理法則に反するので奇妙な仕様になってしまいます。無論、部屋から持ち出したら追いかけてくる店主というような新たなハイリスク要素でそれにゲーム性を追加する必要はあります。法則を封じ込めるのではなく、法則上可能なことでもペナルティやリスクがある、法律的なものがあるという感じでしょうか。泥棒テクニックは物理法則的には行えるが、法律違反なので刑罰を与えられるリスクがある、ということです。

このように、ゲームの法則を作って無限的な組み合わせが生まれると、そこにはテクニカルな攻略方法が生まれたりするわけで、それが面白いわけです。なので、何度も繰り返して言いますが、個別に機能を取捨選択するのではなく、総合的にみて面白くなるかがとても重要です。

加えて、物理法則のようにプレイヤーにとって分かりやすい結果になることも重要だと思います。毎回、解法が無限にある新たなパズルが出てくるようなものなので、そのルールが曖昧だったり分かりづらいと、解き方を編みだす面白さは失われます。クリボーは踏むと倒せるけど、トゲゾーは踏むとマリオが死ぬ。そのようなわかりやすさが必要ですね。

まとめ

しばらくは考える時間です。なのでしばらくは日記に書く内容があまりないかもしれません。ペーパープロトタイピングや他のゲームのプレイ感想のような結果がでたものはなるべく書こうと思います。

今日挙げただけでも

・アイテム探索が最も重要なゲーム性である
・緩急をつけるための短期的目標を設ける
・たとえ最適な行動のためだとしても、面倒な作業はなるべく減らす
・法則はシンプルで組み合わせで面白くなるようにする

の4つの柱でゲームデザインしていくことが見えているので、これらを満たす風来のシレンのマネじゃないローグライクが作れるように頑張っていきたいです。

応援してくださると嬉しいです。よろしくお願いいたします!