[小さなお話] ぐだぐだと想いを馳せよ我が命

facebookの時間線に、
「ノーベル平和賞を受賞したICAN国際運営委員でピースボート共同代表、川崎哲(あきら)氏」
という文章を見かけて、はてなと首を傾げた。

このご時世に日本人がノーベル平和賞を受賞していたらネット上で大騒ぎになるはずで、いくらぼくが天竺で仙人を決め込んでいるとはいえ、この耳に入らぬはずはないではないか。

調べてみると、文の区切りが違った。

ノーベル平和賞を受賞したのは、NGOの連合体である「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN、アイキャン) であり、その国際運営委員をしている川崎哲氏個人ではなかったのだ。

川崎氏の名前はなんとなく見覚えがあったが、何者であったか思い出せない。

調べてみると環境活動家の田中優氏とともに「戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法」(https://amzn.to/3qQUCQW )という本の編者をしている人だった。

田中優氏はNPOバンクの元祖・未来バンクの設立者としてその界隈ではよく知られた人だが、むかし江戸川区役所に勤めていた。

二十世紀の終わり頃にはぼくも江戸川区に住んでいて、近所のカラオケ・スナックが夜中までうるさいことを区役所に相談したら、騒音計を持って音量を測りに来てくれたのが田中氏であった。

その後、リサイクルの集会をきっかけに、田中氏が中心に活動していたグループKIKIという環境団体で、いろいろと勉強させてもらった。

川崎哲氏が共同代表をしているピースボートを設立したのは、立憲民主で衆院議員をやっている辻元清美氏だが、社民党所属で議員をなって早々の頃に、一度だけ環境関係の会合の場でお目にかかったことがある。その会合に参加したのも田中優氏の関係によるものだった。

そのときの辻元氏の、前向きのエネルギーを発しながらはきはきと喋る姿には、とても好感が持てたのをはっきりと覚えているが、それは余談である。

話を元に戻して川崎哲氏のことだが、彼は東大の法学部を出たが就職はせずに、反戦運動や外国人労働者や路上生活の支援をしていたとこちらの記事にある。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASP2F6DD0P1XUTIL02P.html

東大出でそんな活動をするとは変わった方だなと思ってwikiを見ると、武蔵高校出身ということでなるほどと思う。全国の普通の高校から普通に立派な人になろうと思って東大に入る人とは、やはり出自が違うものだ。

氏は1968年生まれで、ぼくより四つ下になる。

1988年にイラン・イラク戦争直後のイランにバックパッカーとして行ったことが、氏の活動の原点の一つとなっているようだ。

ところでぼくは、1988年に大学を出て就職は一応したものの二年足らずで会社をやめて、1990年の初めにひと月ほどをネパールとタイで過ごしたのだった。

江戸川区に引っ越して田中優氏と知り合い、環境運動に足を突っ込んだのはそのあとのことで、川崎氏の人生航路と見比べて、どこやら似たものを感じないではない。

そこでぼくはつまらない空想をするのだ。ぼくだって星の巡りが少し違えば川崎氏のように、人に知られる人生を送っていたかもしれないのになと。

しかしこれがまったく根拠のない間違った想像であることは、誰よりもぼく自身が一番よく分かっている。

高校の頃に何かのきっかけで法律に興味を持ったとしても、わざわざ法学部に行って七面倒臭い法律を勉強しようなどと思ったわけがないし、イランの文化や風土に惹かれることがあったとしても、戦争直後のイランに飛び込む勇気があったとは思えない。

まして環境運動などについては、同じ時代の同じ空気を吸っていたわけだから、そこで川崎氏は一つの道を歩き続けたからこそ今の彼があるのであり、ぼくには一つの道を歩く根気がないから、あっちに手を出し、こっちに足を突っ込み、ふらふらと浮世の巷を彷徨してきた結果として、今のぼくがあるというものではないか。

この文章の書き方にしたところで、ぼくのぐだぐだ人生をそのままに表している。

多くの人に読んでほしいのなら、もう少し構成をすっきりとして、足りない説明は補い、無駄に滑り出た言葉は刈り込む必要がある。

けれども自分の覚え書きに毛が三本生えた程度のものと割り切って、写し得ないものをおぼろに写すしかないと心得ているのだから、移ろうままに心に浮かぶ言葉の切れ端を、手当たり次第にうち並べて、あとから多少の化粧は施すものの、おおむね垂れ流される想念の羅列をもって良しとする。

ぐだぐだをぐだぐだのままに、何の役にも立てずに、何の役にも立たないことを持って工業社会へのアンチテーゼとしての役割りを、担いたくもないから放り投げることにして、ただ手当たり次第にその辺りへと乱雑に並べるだけのこととして、この駄文をあっさりと締めくくるものであるよなあ。

#エッセイ #コラム #茫洋流浪

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